マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

朝吉も食べたうどん

2008-10-29 13:16:11 | 


  星がきらめく夜明け前  大きな夢を追いながら
  今日も始まるうどん屋稼業  捏ねて丸めて寝かせておいて
  足踏み百回生地づくり  うどん一代おれの道

              「うどん一代おれの道」 作詞森岡一彦 


朝吉が来たかどうか確証はないが、八尾の釜揚げうどんの名店へ。
開業35年。上は30年を記念に主人が書いた歌。
住宅街の中、何処の駅からも行きにくい場所にある。



釜揚げうどんの専門店「一忠」。

できますものは、釜揚げうどんのみ!この潔さ。

おみやげ用を置くのは、元々製麺所をしていた名残り。



特大を頼む。うどんが来るまでに、土生姜を擂り、
昆布の佃煮、かつおの佃煮をつまんだりして待つ。

酒類で儲けようなどというスケベ心もなし。


主人森岡さんは製麺所で働いていた若き日、茹でたての旨さに感動、
これを出したくて、讃岐の長田うどんに飛び込みで修業した。

讃岐うどんのだしはいりこ中心だが、大阪に合うように試行錯誤、
ウルメ、メジカ、イリコ、昆布を使う。醤油も変えた。

青ネギ、擦りゴマ、天カス、すだち酢などで変化をつける。


熱々の釜揚げうどんがデ~~ン!つゆの大徳利もアツアツ。



一気呵成に食うべし!食うべし!すするべし!


麺は完全手打ち。モチモチだがスルスルと入って行く。

昨今の余りに強い太打ちはともすればむせてしまうが、ここのは程よし。

小さく見えるだろうが、掘っても掘っても、なかなかうどんが減らない。




う~い、ごっそぉさんでした!


実にストイックというか。近年稀に見る一筋の店。

ここの出身者たちが、大阪の釜揚げうどんの一脈を担っている。




      うどん一忠  大阪府八尾市松山町2



ジーグル!(地元グルメ、略してミマシタ)

2008-10-29 01:32:13 | 




そろそろ、おでんの恋しい季節。
やっぱり味の滲みた大根からだろう。 「とん平」




大粒の牡蠣は軽く温める感じで。
だしを含んだ牡蠣はプリッとして美味!燗酒とも相性バツグン。



いかの塩辛 



今年できたラーメン屋を覗くとやっている。豊中麺哲の姉妹店。



つけ麺とラーメンにゃ文句がない。
いつもはヌルイと敬遠するつけ麺も比較的熱かった。



文句があるのは亭主の態度である。12時~16時と営業時間が書いてあり、いつも時間が合わず食えないので、諦めて見たら電気が点いていた。「あれ~?」と店を覗く。亭主「どうぞぉ」「やってるんですか?」「やってるから、どうぞと言ったんだけど」 カチン!と来た。

いつもは4時で閉めてると思ったものを、7時過ぎてもやってりゃ不思議に思うだろうよ。他のブログでも「太った主人はタメグチを叩く」とあったので、こちらにだけぢゃないらしいがね。私のように口のきき方にうるさい客には美味い不味い以前の問題。次はないということを学習すべきである。



こちらも、この秋にできたニッカショットバー。
総じて女性バーテンダーは気が散って苦手なのだが、ここの人たちは会話にそつがない。
ブラックニッカのハイボールでクールダウン。長居は無用なり。



       阪急高槻市  城北町界隈





だるま大臣、道頓堀に現る!

2008-10-25 14:17:47 | 



だるま大臣の巨像がビルに張り付く。どう見ても怒っている。

道頓堀の惨状に怒り心頭なのだ。大魔神のように夜な夜な寝静まった

ミナミに現れ、よからぬ有象無象を踏み潰してもらいたい。

だるまは極楽商店街屈指の繁盛店だったが、この9月で撤退。

道頓堀浜側に今月、新店を出した。




報道のように3月で極楽商店街が閉店となる運び。

角座、中座もダメ、東映も閉館、くいだおれに継いで、ここも・・・。

大阪の顔といいながら無策すぎる。個々の店に任せた結果、

こんなことになった。無法地帯の駐輪もとっとと無くすべし。




そのだるまのプレオープンへ。
新しき店は気持ちがよろしい。




串カツの揚がり具合は変わらず。
一番上は紅生姜。これがなけりゃ大阪の串カツちゃう。





どて焼き。かなりシャバシャバなタイプ。ぶわっと一味をかける。
この夏、民主小沢一郎がボクの目の前で続けて2杯、たいらげた。
う~む、食の片寄りが今回の体の不調を招いたか・・・
何がなくとも屈強な体がないと一国の総理は務まりますまい。
願う近日復活。




二階の個室からは道頓堀が見下ろせる。
そもそもは川側が玄関口。船で到着した旦さんや御寮人さんは
芝居茶屋にあがり、一服してやおら向かいの芝居小屋へ向かった。
水辺がもっと賑やかになってほしい。
D社の観覧車はどっちゃでもいいが。



本当は「今井」さんや「たこ梅」さんたちと足並みを揃えて、大人の街だった道頓堀を取り戻す方に力を注いでもらいたいが、
現状を見るとそんなことも言ってられない。なんでもやってみなはれ。

「くいだおれ太郎が芸能界デビュー」など笑止千万、鼻白むニュースが
報道で流れる太平楽な大阪である。あっと言わせてやれだ。

ただただスクラップ&ビルドではなく、道頓堀に出るだけの哲学がいるのだろう。大阪をどうしたいかという精神的な統一感が必要な気がするのだが。
まあいいだろう。せいだい暴れたんなはれ。


このカオスの中から、新たな道頓堀が形成されるのを期待して。






     道頓堀だるま  中央区道頓堀浜側 大だこの近く



緑橋は都会の穴場

2008-10-24 00:17:39 | 

大阪のど真ん中を東西に走り、全ての営団地下鉄と乗り換え可能なのが中央線である。その中央線で本町からわずか5駅で「緑橋」に着く。
ところが、めったなことではわざわざ降りる用事がない。
今回はよさそうな店を探してうろつく。



まず、老舗の串カツ屋『鈴屋』へ。どて焼き110円。
この味噌のまったりとした甘さが大阪のどて焼きである。うま!
すじ肉もこうして手をかければ美味しく変身する。
焼酎、一番札を所望。

東京で住んでた頃、おでんのために肉屋にすじを買いに行くと、
「犬にやるんですか?」と聞かれ、
「大阪じゃおでんに入れるんです!」とむっとして言い返した。




コアなファンがいる、ここの串カツ。ふんわりと揚げてあるのが特徴。
かつ@90。全体のことも串カツと言い、基本の牛カツのこともカツ。
この辺が地方の人にはにわかに理解しにくいだろう。
旗のような形状なのも珍しい。
もちろん気取らない、二度浸け禁止系。ウマい!



この日から入荷した牡蠣@170
そう言われれば、食わないわけには行かない。むちゃウマ!
ウスターがよく合う。

まだ明るいうちから生ビールで串カツを楽しむ母娘がいて、
仲のよさそうな姿がよかった。


名物のエビ。シラサエビかホワイトタイガーか。20cmもあろうかという大物。(一味の瓶並べてみました、わからんか)
値段は時価でこの日@800 もう少し安くてもいい気がするが。
800円を無造作にソースにドボンと浸けるのは躊躇する。
頭は塩でバリバリ食べた。




緑橋の名物店だ。デパートの催事で何処かで揚げて来たと言ってたが、いつまでも地元密着でいてほしい。



駅の裏道を歩いていて、見つけた町家を改造した店。
覗けば「桂(KEY)」という名の帽子屋さん。
オリジナルのキャップなどをオーダー生産している。
主人の桂田さんと立ち話。一口に帽子屋といっても、キャップ屋、
ハット屋、ビロード屋(ボルサリーノのような)、パナマ屋など7種類ほど
に職分されるとか。



台所だった間を覗くと、古いおくどさんが原型をとどめていた。
店のデザインは空堀商店街界隈で町家の再生にあたった六波羅さんという方。偶然いらして紹介してもらった。



裏から入ってきてしまったのだが、表へまわるとこんなシャレた
ことになっていた。一角に立ち呑みスペースがある。



緑橋から森之宮方面に3分ほど、『広島焼き 大ちゃん』がある。
大きな鉄板のカウンターはすでに満席。

緑橋っ子の主人は広島のお好み村の文ちゃんに弟子入りして
広島焼きの技術を持ち帰った。ついでに奥さんも。
奥さんが手際よく生麺を湯がいて、鉄板にジャ~ッと広げる。

ネギたっぷり広島焼きと、二色焼き。
うどんとそばが両方入る。



そばは味付けされていないので、食感と香りがよく分かる。
しかし、なかなか食いにくいもんだ。正体がわからんようになる。
中は基本キャベツ、もやしなどの野菜なので、腹にもたれず
このボリュームでもさくっと食えてしまう。
ただ、よくをいえば食べているうちにちょっと単調になる気がする
広島焼き。
いっぺんご本家を訪ねて、粉もん三昧に会ってこなければ四の五の
言えた義理ではないだろう。

ともあれ、緑橋、なかなか穴場ですぞ。便利ええしね。


        串カツ鈴屋   東成区中本3
        帽子屋Key    〃  東中本1
        大ちゃん      〃  中本1



酒場のあるじ

2008-10-20 13:05:39 | 




再開発でどんどん変わって行く阿倍野界隈。
近鉄ひとり力瘤が入っているが、私らにとってはますます味気のない、
潤いのない街になっている。
ここ「明治屋」もひょっとしたらひょっとする…と思いながら、久々に
訪ねる。 安心した、やっている。



本来ならばここに主人、松本光司さんが立っているはず。
昨年11月にお話しする機会があり、体調を崩されている旨を聞いた。
そして今年の4月に亡くなった。享年65。
私に訃報が届いたのは、この夏も過ぎようという頃だった。



主が不在でも、酒場は同じようにまわり、同じ酒と肴で迎えてくれる。
丼鉢で出される湯どうふには一片の柚子の微かな香り。
そして、きずし。〆鯖を大阪ではきずしと呼ぶ。
割り醤油が染みた大根のつまが、ちょいと甘口の上方の燗酒には合う。



これも名物の焼売。元々はお客が作っていたものを受け継いで
ここの肴に加えたという。敷かれたキャベツも辛子醤油をからませば
おつなアテになる。色取りなどで添えられているのではない。

家庭料理の延長というアテばかり。
世の中が酒に厳しくなり、、酒のみのスケールが小さくなったと、主が
語っていた。
2升ぐらい軽いという客がなんぼもいたと言う。

決してこうでなければならぬ、という小うるさい人ではなかった。
全てなるようになる、という気負いのないところに好感が持てた。
三代目として40年立ち続け、もう疲れました・・・と、本音も聴いた。




主の立ち位置には娘さんが立っていた。
どっかと鎮座するちろりは、この店のトレードマーク。
前を行くちんちん電車が最高のBGM・・・いけねぇいけねぇ、
どうも近年、ここの酒は胸の辺りに滲みてくるようになった。
ず~っと未来永劫続けてなどとは申しません。せめて俺が呑めなくなる
までは続けてほしい。勝手モンか!
がんばれお嬢…一杯傾けながら、小声でエールを送った。



折角こっちまで来たので、返す刀でもう一軒。
大国町の「エノキ屋酒店」。おなじみ酒屋の角打ち。
こんな温かい雰囲気の立ち呑みも珍しい気がする。
主、寺岡盛之助さんは昨年9月に亡くなった。
大酒呑みの豪快な土佐っぽだったので、酒を売りながら
酒にとられた感もある。



鰹のたたきで有名な高知では、鯛もこうしてたたきにして食べると
教わった。この特製ニンニク味噌がよくできている。
料理自慢のお母ちゃんを中心に若夫婦で店を切りまわす。
初めて来た頃、赤ん坊だった孫娘たちもすくすく育ち、愛想よく、大人顔負けの口をきけるようになった。
ときは確実に過ぎていく。




      明治屋  大阪市阿倍野区阿倍野筋2

      エノキ屋  大阪市浪速区大国1