マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

おうちへ帰る前に…

2007-02-18 02:44:21 | 

大阪駅と阪急梅田の間、JRの高架下にある「新梅田食道街」。
食堂じゃなくて食道。道に小さな店が16軒だか軒を並べて始まった。
ここは最も古い一軒「北京」の支店。縄のれんがかかる『樽・金盃』。
その名の通り、樽酒を飲ませる店。
夕方ともなれば、サラリーマンたちが一人また一人とやってくる。
そして黙って酒を飲む。

「エッグ」300円  文字通りの玉子。油と塩だけ。熱々が出てくるので、これを一気呵成に混ぜる。半熟が好みだろうが、じっくりおこげを作ろうが、醤油をちょいと落とそうが客の意のまま。単純だけに面白い。何処でも出せそうなのだが、誰もやらない。

焼き味噌300円、なまこ350円
一見クレームブリュレ、味噌を焼いただけでこの香ばしさは出ない。隠し味のニンニクやら、なかなか手の込んだことをやっている。徳島ではこうした味噌で飲ませる由。蕎麦屋の味噌とはまた違う酒肴の佳品。

なまこ酢、柔らかいもちもちした食感を好む関西人にとって、この噛みしめる味わいはほとんど独壇場ではないか。
先の見えた人生の諦観、職場での憤懣、家庭での辛さ、いろんな思いを込めて、男はなまこを、ツメ物の緩んだ奥歯でグッと噛みしめるのである。

金盃ポテト250円 マヨネーズは大キライ、ソースもおかない主人。
ジャーマンポテトのようなベーコンと塩、粒胡椒をきかせたポテト。
ビールにももちろん樽酒にも。

肩に背負ってるものを5分でもいいから降ろしてからお帰り。そのためにはちょっとずつ譲り合って、少しでも快適に過ごそうよという主人は、ときとして度が過ぎる客にピシリと指導を与える。
そこが小気味よくもある。大阪にはこのタイプ珍しい。

「大声、大勢、大酒」はご法度というが、どの立ち飲みでも通じる。
自分一人の飲み屋ぢゃない。
安く酔おうという限りは、空気がよめなきゃいけない。