亡父が好きだったのが、「美佳味」のお好み焼きだった。
兄も好きで、帰阪することがあれば必ずのように行ってた。
あたしはそこまでのコアな美佳味ファンでもないのだが、
実家が無くなりゃ行かなくなる。ほぼお別れなので、行ってきた。
ちょっと焼きそばの方がスパイシーなソース。
太目のちゃんぽん麺にソースがよくからむ。
やっぱり、我々町っ子はソースだわね。
うちにゃ、いただきものだが4~5種類のソースを常備している。
安かった豚玉も、今やこれぐらいの価格に。
親爺は不自由になってからも、美佳味に行こうやとアタシらを誘った。
車いすで行きにくいので、そうは行けなかったが。
生きてりゃ94歳。
この日、ちょっと高揚して豚チーズモダンなんぞ注文してしまった。
やはり…旨いのはただの豚玉である。
ここのうちのお家騒動に直面したことがある。
久々に行くと、駐車場にいたお兄さんが腕でバツを作っている。
「やってないの?」と聞くと、従業員全員解雇になったという。
それは尋常ではない。突然、閉店すると言い渡されたのだそうで、
明日からどうしようかまだ決まってない…と途方に暮れていた。
その頃の勢いのある厨房が好きだった。
若い衆が次から次へと焼いているこのグルーブ感が良かった。
お母さんがときどき叱咤激励の声を飛ばしていた。
あのおっかさんは、精肉卸やまたけの娘なので、だからいい肉が
今は息子と数人でやっている。膨らんだ人件費を圧縮するために
一旦やめたのかな。数か月後に復活してると聞いて驚いた。
豚玉 300円台だった。これはお得感あった。
青のりも、すじ青のりを使ってるように見える。
経費節約のために、材料に手を付けてはいけませんよ。しらんけど。
それはそれで幸せなことかもしれないけど。
親爺が元気だった頃は、ガラガラ手押し車積んで、車で来た。
人も街も変わって行くが、どうかいつまでも、旨いお好み焼きを