マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

06.7.31   おやじのソース味 

2006-07-31 23:47:04 | 

         
京都建仁寺の近く、大和大路松原界隈は職人の街だ。家具屋、桶屋、竹屋、仏師、金箔師などの家が肩を寄せ合う下町風情が残る一角。ここにある焼きそば専門店『おやじ』。分厚い鉄板のぐるりを客が囲むスタイルで、頑固な親爺が残した味を娘が継いでいる。客が紙に書いて渡す、昔からのやり方を踏襲。「菊乃井」の村田さんも中学時代に食いに行ったと懐かしがる郷愁の味だ。

そば2玉・肩肉・油かす・玉子入りを所望。キャベツ・チクワ・イカなどを一旦沸かしたスープに潜らせてから鉄板の上に。女将の鮮やかなコテさばきを見ているうちに出来上がる。ソースは甘いのと辛いのを少し。上には紅ショウガがパラリ。玉子は生か焼くか…どっちみち火が入るので生を頼む。甘辛いソース味が、そばが玉子を伴って滑らかにスルスルと消えてゆく。ク~ッ、たまらん美味さ!ビールもあるけど、これには水が一番合うのだ。途中でカレー粉をかけて味の変化を楽しむ。最後は激辛ソース!汗が噴出す。
   
昔のガキ共は3玉も4玉も食ったというのに、嘆かわしいがそんなにゃ入らない。これで1000円。女将さん「駐車違反が厳しくなってからお客が来にくくなってね」という。あの辺り、一方通行が多くて駐車場に行くのも大変なのだ。お腹いっぱいで真夏の天空を仰ぐように街路へと出た。満足…


06.7.30    周防町・洋食のかほり

2006-07-30 19:08:02 | 

          
洋食屋の匂いってのはたまんないね。フレンチやイタリアンより直接的に空腹信号を発する中枢神経をえぐってくる。甘いバターやコトコト煮込むドミグラスソースや揚げ油の匂いだ。

周防町の『ばらの木』も街路に誠にいい匂いをさせる一軒。ここには甘酸っぱい思い出があって、ちょいと年上のOLに、高校卒業の記念にと食事を奢ってもらった思い出がある。ほんの少し緊張して、ステーキとここの名物ドライカレーを食べたと思う。そのオネ~サンもさぞいい匂いをさせていただろうに、こっちは隣の女性には目もくれず、目の前の食欲の方に全神経を持っていかれていた。今、戻れたならそんなことはしないだろうけどさ。ばらの棘の如き遠き思ひ出。胸にチクッと滲みるよな。

もう50年近く続く店だから、オレみたいなさまざまな感慨を持って、ここに通うお客がいるのだろう。長いことやってる店ってのは、そんなストーリーがあるからおもしろい。

   
洋食屋のポークカツレツというのがいい。「銀座煉瓦亭」へは一時よく通ったもので、ウスターソースに辛子をつけてかぶりつく。衣と肉の接着の甘いところはあるが、ちょっと薄手の感じがとんかつとは違ってスマートな気がした。ばらの木のとんかつは分厚く、しっかり肉を噛みしめる感じ。本当はジャブジャブ行きたいところだが、皿に敷いたソースで上品に。だけど残ったソースにゃ白いごはんを少量移してグジャグジャとかき混ぜて平らげた。
ドライカレーなんてメニューには載っていない。カレーライスと書いているので注文して慌てぬよう。ステーキの断ち落とし肉、カレー粉がヒリリと辛い。これをアテにウヰスキーが傾けられるオジンになりたい。
                      
ここの2階が「そうるめいと」というお好み焼き屋になっていて、昔パブみたいなことをやっていた時分、演奏に来たっけ。ここのお好み焼きももちろん悪くない。


06.7.28     優良酒場へ    

2006-07-29 15:31:50 | 

久しぶりに大国町の『エノキ屋酒店』。家族一丸となって働いているのが気持ちいい。酒には塩舐めてりゃ充分って人ならいいが、口卑しい呑み助としてはアテ系が充実していないと酒も進まぬと来る。
    

エノキ屋名物の「鯛のタタキ」葉ニンニクを使った酢味噌で食べる。これさえありゃエノキ屋親爺のように体を壊すまで大酒が飲めそうだ。「蛸とキュウリの酢の物」「するめの天麩羅」「ミニお好み焼き」などで麦酒、日本酒(あさ開の冷や)、ホッピーなどを飲む。東京下町職工の味ホッピーは瓶もジョッキも冷やさねばならず、冷蔵庫塞ぎなので嫌う店も多いとか。何でも美味いので、つい長居してしまう。小さな孫たちが「おやすみなさい…」を言って引っ込む。ついつい苦虫を潰したようなこっちの表情も緩んでしまう。

遠来の友人と一緒なので、梯子せにゃおれぬ。

           
ご一家に別れを告げ、大正駅近くの居酒屋『クラスノ』へ。80いくつの親爺がクラスノヤルスクに抑留されていたからこの名前がある。黙って座るとえんどう豆とくぎ煮らしき小皿が出る。これで一杯。豚とエノキ、レンコン肉詰めのくわ焼き。とにかく安いのだ。だし巻き210円には涙が出るわ。

    
近くなら毎日来たい。親爺の柔和な表情がよろしくて、ビール進む。

そして堂山のフォーク親爺の店『Heaven Hill』。親爺宮里ひろし氏と高田渡談義をする。ここは大阪のミュージシャンのたまり場。大西ユカリの事務所社長アベちゃんもしょっちゅう来るらしい。たたみイワシ、ハイボールを痛飲。談論風発。
翌朝、どろんとしていたのは言うまでもない。    

                        


06.7.26  ようよう雨が上がりウチナーで

2006-07-26 17:21:51 | Weblog

 

         

グングン気温が上がっており。暑くなると、体が欲する料理がある。その一つがウチナー料理。扇町の「てぃーあんだー」。手の脂という意味で、韓国にもそんな言い回しがあったような、料理に手の脂を加えると俄然美味しくなるという。愛情をこめる、手塩にかける、そういった意味で、誰でもが使える言葉ぢゃない、かなり自信のいる屋号だといふ。

ラフテーは丸二日がかりで作る逸品で、全く脂のしつこさを感じさせない上品な味わい。さすがは首里の宮廷料理なり。クーブ(昆布)イリチーも美味い美味い。もっと山盛食いたいので、早速帰り道に沖縄物産店で昆布を買い、パクって作る(ヨメがね)。もずくの天麩羅も塩でサクサクと結構なお味。素麺チャンプルーで〆たが沖縄メシに対する、粗雑な大味なイメージが覆されること間違いない。

                  

おばぁの味…と書いているので、中華鍋を握る太田さんをおばぁかと思うだろうが、そんな年ちゃいます。太田さんの育ての親であるおばぁちゃんの味を継承する心意気がそのサブタイトルに現れている。泡盛も50種類以上。濃い料理には泡盛ぐらいキツイ奴で食道にからみつく脂を洗い流したい気がするが、ここの料理はそんな心配ない。でもこれぐらい暑い時は気付け薬みたいに泡が効きそう。 生のシークワーサー酎ハイもサッパリと爽やかでスコブルよろし。

豚肉を食うのは韓国・中国の影響。屠り方は済州島と同じだったそうな。泡盛の原料はタイ米、三線に使うニシキヘビの皮はマレーシアから、文物の行き来、人間の行き来、沖縄は昔から国際都市だったのでありますな。小さな島からアジアが見通せます。 


06.7.24    めしに合うのが大前提の洋食

2006-07-24 13:38:59 | 

          

バイトでとんかつ屋の下働きをしていたこともあるが、ほんの短い間、明大前で洋食屋の小僧をしていたこともある。あまりに汚ねぇメニューだったので、書き換えてあげた。 無愛想で仏頂面の主人だったが、今ならもうちょい学ぶべきこともあったろうに。ラジオがジョンレノンの死を報じていた。

洋食いいねッ! 日本流の洋食。メシに合うヤツ。ソースじゃぶじゃぶかけても怒られへんやつ。渋谷の富ヶ谷に「とき」っていう洋食屋があって、劇団時代にゃそこのカキフライ食いたさに全速力で走っていったもんだ。ありゃあ貧乏な身にゃ美味かったなぁ~。そんな店ももうない。

さて、大阪ミナミ千日前の「しき波」。Aランチ¥1100、ちょっとごっつぉ。近所のうどん屋にふられたので、家具屋街のここまで来てもた。海老フライは大きく見せるため(でしょ)開いて揚げてある。結構な自家製タルタルソース。サクッとした白身フライ、歯など不要なハンバーグ。ポテトサラダもついている。ここはちょいとメシが柔らかめな気がするが、年配客も多いので、問題ナス。
店員が職人の顔してるのがいいのだ。間違ってもシェフなんかぢゃない。忙しい昼どきは越えていたので、小瓶ビールも頼んでしまった。 

おかずが美味いのは言わずもがなだが、メシとの進行状況のバランスが難しいね。福神漬などついてる場合、最後のメシ一口はそれで行きたいわけでしょう。とっととメシがなくなったりするわけで、まだまだ修行が足りないのである。