マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

お嬢様方をお連れした、中崎町隠れイタリアン

2018-12-21 02:40:33 | 大阪キタ

太平洋戦争で焼けなかった中崎町一帯には、まだかろうじて古い町家が生き残っている。

多くはカフェや美容院などに賃貸物件となっているのだけど。 

  

  



 ちょっと入って行くと井戸が残っていたりする。

 中国や韓国の旅行者がカメラを持って、徘徊していたりする。

 住人とのトラブルになっていなきゃいいんだけど。

  

     

 

 路地へ入り込むと、雷で燃えたのであろう大樹があり、白ヘビさんを祀ってある。

 そんな路地を抜け、古いアパートなんぞを縫うように歩き、目指すイタリアンの店、
 
 「ランテルナ・ディ・ジェノバ」へ。

 まず知らないと入ろうと思わないような超穴場級。

 今回の講座のため、10数人で予約済み。


 
 一皿目は乾燥蚕豆のムース・カニとウニのせ。  シブレットが載ると、どこか日本的。

 
 

      

 

 続いては、バーニャカウダ。 イタリア北部ピエモンテ州の冬の鍋料理。

 生クリームと牛乳、そこへアンチョビとニンニク。
  


     


 
 あ、これはシチリアレストランで見たぞ。 お菓子のカンノーロ。

 中にピュレになった、バッカラ(干しダラ)・マンテカーノ(捏ねる)、これはヴェネツィア名物らしい。

 皿を彩るのはヒヨコ豆のピュレ。 



     



 パスタが2種類、少しずつ出てくる。

 手打ちパスタの、シャラティエッティ。

 タコとムール貝、ヒヨコ豆のトマト煮込みソース。

 うましっ!



     



 続いては、すごく食べてみたかった、シェフの故郷・ジェノバを代表するパスタ。

 スパゲッティ・ジェノベーゼ。

 でも本式にバジリコソースのパスタは「ペスト」が正しい。 ペスト・ジェノベーゼ。

 日本人的にはひびきがイマイチだがペーストという意味で、ヨーロッパ屈指の商業港、ジェノバから、

 長い航海に向くように、改良され瓶詰めとして持ち運びよくされたものらしい。


 香りが出色。ジャガイモとインゲンが具になっている。

 


     



 この日のメインは魚料理。キンメダイ(静岡)のカルトッチョ焼き。



   



 こういう取り分けが苦手な人ばかりで、しょうがない私が買って出るしかない。



      

 

 自家製フォカッチャと共に。

 これはゴキゲンだった。

 ドルチェはピスタチオのジェラート、チョコレートサラミ・・・これもイタリア北のお菓子。



      



 誰が若き日の大村崑やねん。

 店主、ボッフェッリ・シルビアさん。

 今では辻調理学校の教壇にも立つ女性。


      


 路地の奥にあるのがウソのよう。 

 「ランテルナ・ディ・ジェノバ」 ジェノバを代表する古い燈台の名前らしい。 

 ランテルナとは、ランタンのことね。

 

        



 

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大阪福島で創作和食ってのを

2018-08-10 15:35:16 | 大阪キタ

環状線福島駅よりも、大阪駅北口の方が近いのかもしれない。

店舗も切れた事務所街みたいなところにポツンとある「福島もう利」。

小洒落たランチがご婦人がたに人気の創作和食の店。 

 




 
 大体、創作フレンチとか、創作イタリアン…創作なんちゃら、と名乗られて

 いいね!と膝を打ったことがない。

 しかし、ここは正直よかったよ!

 小さい料理、一口ずつなので、量感を必要とする人には、まず合いませんがね。



 前菜 グラスのものから、そばチュール・リコッタチーズ・ピスタチオ

    時計回りに、 白海老の海苔巻き 酢めし

    トリュフ入りバスク豚のカナッペ・コーンの新芽

    ホタルイカ・かんずりの酢味噌








 たまらず、エビスの琥珀をいただきました。

 熱い蓋物は、タケノコのスッポンスープ 菜の花・ホタテ

 つい最近、ご婦人がたを連れてスッポン料理を企画して、総スカン喰いました。

 そんなグロテスクなこと一切ございません。いいスープになるんです。






 
 日替わりの日本酒があって、

 毛利つながりで、毛利…いただきましたよ。

 






 造りは、ほんの一口ずつでいいから、異なる食感の魚を食べたいもの。

 その辺り、的を得てますな。

 左上から時計回りに…天然真鯛・伝助アナゴ・ノドグロ・サエズリ。

 鯨喰いの関西人以外、判らないかもしれないが、サエズリとは、鯨の舌。

 脂抜きしてある。トロリと蕩けて行く食感がエロい。







 こちらのスペシャリテでもある手打ちそば。

 宍道湖シジミのせいろ。

 かなりしょっぱいが、そば湯を挿すとガゼン、酒肴となる。





 

 サワラの煮付け エシャロット 南高梅

 関西の人間には馴染みのサワラだが、関東へ行くと宝物みたいな扱いで

 バカ高い料金に化けるそうである。 哀れな話だなぁ。






 
 野菜のメインがこちら。

 煙が充満した蓋もので出て来る。

 アスパラ、ヤングコーンの瞬間くんせい。

 カラスミパウダーがふられ、イクラのひと回り小さい、マスの卵かな。





 
 お肉のメイン 山形牛のステーキ

 ハネシタを低温調理した後、炭火で炙ってあるらしい。

 下世話で申し訳ないが、この5倍は喰いたい。

  





 ご飯は鯛めし 北新地や銀座の「銀平」育ちのこだわりかもしれない。

 ご飯のおかずに、本シシャモ、香の物(白菜・キュウリ・ショウガ・いぶりがっこ)、アオサのお椀。

 日本人に生まれてよかったぁ~、外国人でも食べる分には一緒やけど。

  





 デザート  フランボワーズのブランマンジェとバニラアイス

 キーウイ・チョコレート・抹茶のケーキ






 このお昼のコース(1種類のみ)が、税サ込み¥5940

 ご婦人がたがおしゃべりしつつ、のんびり楽しむにはいい時間が送れますね。







カウンターの背中は松本民芸家具だったかな。

この中に食器が詰められている。

創作ナンチャラを馬鹿にしてはいけないっていうのが教訓。 



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堂島の老舗洋食店に最敬礼

2018-07-29 14:33:13 | 大阪キタ

 困ったもんで、洋食大好き、揚げもん大好きな訳ですよ。

 堂島辺りでお昼に差し掛かるので、絶対ここと決めていた。

 1963年創業の「レストラン・インペリアル」。

 55年にわたって、周辺のビジネスマンの午後の英気を養ってきた一軒。



   

 

 インペリアル…帝国ですよ、帝国。 初代は帝国ホテルで修業したのかどうか、それは知らない。

 たぶん15年ぐらいは来ていない気がする。 

 

   

 

 某放送局へ向かうために、前は通っていたんだけどね。

 使い込んだ感のあるファサード。そりゃ人間だって55年生きてくりゃあ…。

  

   

 
 久々に来たんだから、スペシャル感の響きにやられ、スペシャルランチを所望。

 昼を少し過ぎて来たから、客はまばら。

 店内もいい感じに時を経ているが、よく掃除されていて油っ気は感じない。



   

 

 カウンターの調味料も正しい配置。これぞ、洋食店だ。

 バカでかいフライパンは、デミグラスソースを作る際に、肉や野菜くずを炒めたり

 するのだろうか。 調子づいて振り回してたら、確実に腱鞘炎になるな。
 


 注文と共に、ストーブ前の職人が油にカツを投入。

 もう一人が皿に野菜の付け合せをセットする。

 揚がったカツをパスされて、この人が盛り付けて仕上がる。




   


 
 ほどなく、スペシャルランチ、一口とんかつが登場。

 端正なルックス。

 形がいろいろなのが5枚。

 そこへデミグラス系のソースがかかる。



   


 
 思わず笑みがこぼれるほど旨し。 

 肉は柔らかすぎず、固過ぎず。

 ごはんも結構な具合。 

 洋食はごはんに合わねばいけない。

 極論すれば、ごはんを美味しく食べさせるのが洋食ではなかろうか。


 

   



 丁寧な付け合わせ。

 きちんと巻かれて鎮座するカレー味のパスタに、思わず涙が出そうになる。

 こんな世の中だが、老舗洋食店のプライドというのか、

 良心を見せられたような気がして、じんときた。

 旧弊だか時代遅れだか言う奴はいるだろう。 だが洋食屋はこうでなくてはならない。



   



 ひょっとすると、建て替えやなんかの話もこれまで出ただろう。

 だが、それを跳ね返して頑固にここを守ってきた風に見える。

 いつまで続くかわからないが、いつまでもあってほしい。

 ささやかな城ではあるが、類を見ない威厳のある帝国がここにある。

 
 

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夏限定、しがらきなるものをご存知か。

2018-07-15 22:43:57 | 大阪キタ

 

一枚の写真がある。


 



何の本だったか、さだかではないが、

昭和30年代、屋台のわらびもち屋のおっさんが、ポン菓子屋のおっさんとすれ違う瞬間。

屋台の進行方向で屋台につかまってるガキがいるが、轢かれるぞ。

ボクらもまさにこんな屋台を目の辺りにしていた年代。


親は「あれは衛生的ではないからアカン!」と言ってたが、腹へらし小僧としては興味津々。

ピンクに緑に白、黄色などきれいな粉を積んでる屋台のおっさんの所作を飽きずに眺めたものだ。

あの緑は青のり粉だろう。

だが、わらびもちに使うと聞いたことが無いので、ずっと引っ掛かっていた。

長じて、大島渚の「太陽の墓場」を見た時、冒頭、西成の屋台が出てきて、わらびもちと並び、

しがらき…とあった。これだ!

それから、ずっとしがらきが気になって気になって、この日、出入橋に足を延ばした。





 
 この右斜め上方向に、JR大阪駅の貨物レーンがあり、そこに引き込まれていた水路。

 梅田入堀川にかかっていた、これが出入橋。 

 水路は埋め立てられ、橋はただの道となっている。

 

 



ここに昭和の初めからあるのが、出入橋のきんつば屋。

織田作之助の小説「アドバルーン」にも出てくる。

オダサクはデカダンやなんか偽悪ぶっても、下戸の甘党であった。


ここで、今となっては絶滅危惧種である「しがらき」が喰えるという。

なに、うちの近所には普通にあるよっていう神戸方面の人がいるかもしれぬが、

ここは話を合わせて、進行させてくれえ。



 



昼さがり、店内には女性しかいない。

まかり間違って、オッサン侵入してしまったみたいぢゃねえか。

きんつば焼いてるオッサンと目が合ってしまう。軽く会釈する。む…無視かえ。

左にはかき氷の女性二人。 右にはなんだかあんこものを食ってる二人。


去年フラレたので、一年半ほど待ったことになろうか。

慌てず、騒がず、おばちゃんに、「しがらきください…」

しばし、来たのがこれ。






わらびもちと一緒に売りに来た、夏の菓子と聞いていたので、

もうちょっと、ツルンとした、あんぺいのようなものを想像していた。

ちょっと見にくいから、反転。






 
長いもの輪切りのように見えるのは、半ごろしのもち米。

それ自体には味は無く、砂糖ときな粉・つぶあんが載っている。

昼くった後にこれは、なかなかヘビー。

全体に冷してあるが、 びっくりするほど冷たくはない。



 

 

夏のおはぎ・・・そういってもらえた方が分かりやすい。

もち米のブツブツした質感が、信楽焼きに似ているからこの名前があるとか。



根強いファンはいるだろうが、そないにおはぎが好きではない単なる酒飲みには、

なかなか、どうして、のつこつと、喉の通りが悪い食いものである。 

お茶の存在が、有難い。

しがらきの皿を前に奮闘するおっさん独り。かなり奇異に見えたろう。







好奇心だけで手を出してしまったが、いや、やはり、こいつばかりは喰ってみないとわからない。

しがらき…いつまでも生き延びてくれることを、願わずにはいられない。

 

     
       



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アタシにゃ珍しいのだ。ベトナムめし

2018-07-07 21:24:39 | 大阪キタ

 地震が終わったかと思うと、猛烈な大雨が続いている。

 北摂には瓦屋根に損傷受け、ブルーシートを掛け修理待ちの一軒家が多く、

 そこへ無情の雨。雨漏りで大変な家も少なくないだろう。

 被害を受けた方に心よりお見舞い申し上げます。




  


 

 茫日、訪れたのは淀屋橋ODONAのベトナム料理「インドシナ」。

 東南アジアで最もフランスパンが美味いとか、ベトナムコーヒーがいいとか言われるのは、

 フランス領だった時代があるからだけど。 ベトナム取材もしたけど、どうもピンと来たことが無い。

 メコン川の獰猛な魚の唐揚げを喰ったが、ウロコが逆立って、集合体恐怖症気味の私には

 アンコールはない話。 印象としては豊富な野菜を巻き込んで食べる料理が多い。

 しかも、ベトナムに旅してたら腹減るから食べるけど、日本国内にいてその気になることはまず無かった。
 



    



 しかし、ま、今回は必要に駆られてやってきた。

 この後、ここでゴイクン(生春巻)の取材があるわけで、食べておかねばお話にならない。

 真昼間を外した、ランチ時の最後ぐらいだが、女性たちでほとんど満席。

 すごいな、女性というのは。 淀屋橋界隈のビジネスマンは、もっと直接的に食欲に

 訴えて来るものを食べてそうな気がする。 一人でこういう店に入って来るのも圧倒的に女性。



    



 なんか、セットメニューにして、ゴイクン1本を追加してみようか。

 さらめしセット…NHKの中井喜一がナレーションする番組を思い出す。 

 味がわからんので、どれ喰ったらいいのやら、迷いまくった。 



    
 

 
 「鶏もも肉のタレ焼き」¥950 香ばしく焼いた皮が美味。ピリ辛のソースと・・・

 というキャプションに乗ってみた。

 鶏モモでこの値段はまぁまぁ安くはない。

   

    



 追加の生春巻、1本¥100はお得。

 アッサリしてて、中の春雨やらにもほとんど味はつけられていない。

 甘酸っぱいソースも残りは飲んだほど。


  しかし・・・ しかしである・・・



    



 どう食べ進めばいいのかがわからぬ。 エビせんやドレッシングもかかっていない生野菜は

 当然のごとく、ご飯のおかずになってくれない。

 ピクルスや甘いゼリーみたいなものも、めしには合わんわな。

 とすると、鶏もも焼きのみで喰わねばならんのだが、 どうも両者ともパサついてしまい、

 喉の通りが悪い。 めしとおかずのバランスが非常に取りにくいッ!



 カレーや丼などの汁かけ飯に馴れてしまってるので、こういう渇き系になると、

 途端にめしが進まなくなる。 ついて来たスープだって、どうも薄ぼんやりしたものだ。

 ベトナムめしってこんな感じだったっけな。

 やっとの思いで、残っためしを掻き込んだ。



    


 
 これは特に作っていただいた、ミミガー・パクチー・春雨などのゴイクン。

 ミミガーの食感はゴイクンにしても面白い。

 ただ春雨も戻しただけで、ほとんど味が付いていないので、その部分はツライ。

 自然とソース(付けダレ)に頼る。 それが無いとしんどいほどのアッサリ味。



 アタシが日常、どぎつい濃い味に馴れ切ってしまっているのだろうか。

 はたして、次にアタシがエスニック系の店の敷居を跨ぐ日は、来るのだろうか。

 そんなもん、他人さまに聞くな。 




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