マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

とんかつの油のにじむ接吻をしようよ

2019-08-26 16:45:53 | 大阪


   川島雄三監督 最後の年となる1963年に撮った「喜劇とんかつ一代」。

   ラストは主演の森繁久彌、淡島千景、山茶花究、水谷良重(八重子)らで大団円、歌でしめる。


   



   とんかつの油のにじむ接吻をしようよ

   花が咲いて花が散って 太陽が輝いて 水が光ってる

   たくましく とんかつを喰い 二人で腕を組んで

   大きな鼻の穴で いっぱい空気を吸おうよ ハア~

   とんかつが喰えなくなったら 死んでしまいたい


  「とんかつの唄」 佐藤一郎:詞 松井八郎:曲
   東京映画「喜劇とんかつ一代」 主題歌






  タイトルバックは凝り性の川島らしく、プロのとんかつの手順を見せる。














  森繁・淡島といえば昭和30年「夫婦善哉」が当たり役となった名コンビ。

  本当にキレイだった。晩年、楽屋をお訪ねした際も失礼ながら、美しいおばあちゃんでいらした。
 

        


   とんかつには庶民性と、生命力と、活力と、どこかユーモラスな喜劇性がある。

   とんかつを食べて愛し合おう、生きて行こうという人生讃歌がこの歌にも、

   この作品からも感じられた。



        



   これほどとんかつに愛情をもって作られた映画は空前絶後。

   見た直後から、とんかつの口になっていたのは間違いない。

   とんかつも結構だがね、まあなんちゅうかね(森繁で)…無性にカツ丼喰いたいのであった。



                

 

   こういうものはだね、遠くまで出かけていくものではない。

   家の近所でうまいかつ丼を喰えばいいのである。 歩いて行ける「なかや」。
       


   



   だが、そうそう美味いカツ丼が無造作に転がっているわけではない。残念ながら。

   確信をもってカツ丼を出す店へ。

   カツの揚げ具合。玉子のとじ具合。月にむらくもでないといけない。

   白身と黄身の部分が完全に混じり合っては面白くない。しかも半熟具合。



   


   カツ丼は間髪を入れず一心不乱に喰わねば美味しくない。

   つゆだくなどと無作法なものは好きではないが、白飯ばかりが余る丼は愚の骨頂。

   バランスよく減っていき、タクワンで残りのめしを拭い去るように喰う。

   止せばいいのに、蕎麦まで付けて、腹ぱんちきち~。

   カツ丼ぐらいまだまだどんと来い! これでもう、この夏は必勝であ~る!!



   

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神田鍛冶町の角の乾物屋も喰ったか、笹鮨

2019-08-01 16:34:36 | 東京

 親爺の写真をもって、出生地である神田紺屋町。

 かつては染物業者が大勢住んだ場所だったから紺屋町。

 ここでどんな暮らしをおくっていたのか、想像もつかない。

 古そうな家に飛び込んで聞いてみたが、戦前の話が分かる人がもはやいない。

 気になっていた寿司屋へ。

 

  



 神田鍛冶町の「笹鮨」。古い仕事を残す店として知られていた。
   


  


 なんでもかんでも高くなりやがって、寿司なんて東京ぢゃ3万仕事でしょう。

 なにも、おやつにそんな高いとこへ行くことはない。


  


 昭和23年から、お祖父さんが屋台で闇営業をしていたそう。

 誰もまだいなかったので、カウンターに陣取り、ご主人と雑談。


  


 神田で高山寺の鳥獣戯画ね…w 酒は菊正、文句はない。

 主人は三代目、取手一郎さん 83歳。

 紺屋町の話なんぞをしながら。

 

  


 ことさら高級な構えではない、下町の寿司屋。

 この雰囲気がいいと言うと、

 「いやぁ、時代に取り残されて、だから誰も入っちゃ来ないでしょう?」と

 自嘲気味に言う。 ま、たしかに早い時間は暇そうではあったけど。 


  


 酒肴に〆ものを少しずつ出してもらう。

 タチウオ、イワシ、アジ みな関西以西なのが可笑しい。

 どれも〆過ぎ・・・昔の仕事なんだろうなぁ。

  
 

 
 ちょいと奮発して、にぎりの上をいただく  
        
   

 

 きれいなもんだ。

 鉄火巻きのカップリングの三つ葉の塩揉みのような巻物が気に入った。

 胡瓜巻きよりよほど気が利いている。玉子も昔風の薄焼き。  


  


 修業はどちらで…なんて聞くと、家業でずっと教わったことを

 やってるだけという。そうやんな、代々やってきたことをするだけ。

 それが家業の基本なんだろうな。


  


 でも、今となってはよくぞ生き残っててくれました・・・と言いたくなる。

 店前を急ぎ足で行きかう会社員はどこまで知ってるのだろうか。

 この店に気付いた30年前と、ちっとも変っていない。

 はて、いつまで生き残ってくれるかは誰にもわからない。


   

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