マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

1月10日、十日戎は善哉忌。銀座ルパン

2020-01-12 01:10:29 | 東京
 茫日、銀座。 みゆき通りからちょっと路地へ入ったところにある。

  

  

  

 バー「ルパン」。 若い頃、銭もないのに、自分の中の
 織田作が欠乏した時にのこのこやってきた。

  

 階段を下りて右へ曲がれば、もう店内。
 ここには他の銀座のバーが醸し出す、緊張感やなんかが
 まったく感じられず、ぽっと出の若造でも敷居をまたげた。

  

 もうベテランバーテンダーの姿はなかった。
 女将さんらしき人はなんとなく覚えている。
 ここは知る人ぞ知る、林忠彦の写真で一躍有名になったバー。

  

 スコッチのハイボールを所望すると、デュワーズ。
 いいんではないか。
 キュウリの塩漬けマリネみたいなお通し。

  

 この席、見覚えがある人もあるだろう。
 太宰治が大酔して編み上げ靴で写ってる写真だ。
 林は、死の予感する流行作家、織田作之助を撮っておこうと、
 ルパンに呼び出し、「オダばかり撮らずオレも撮れ!」と
 なだれ込んできた、太宰も安吾も撮った。

  

 この隅のカウンター。 太宰像でもっとも有名な一枚となった。

  

 しかし、この肩の力の抜け方はどうだ。
 クールとかサンスーシーなどのちょっとした緊張感が懐かしい。
 それはこっちが相応に歳をとったということなのか。

  

 そういった意味では、重厚なのは器だけで大阪のバーのようだ。 
 さて、夜の銀座へと繰り出しますかな…。


変わるないつまでも、神保町黒カレー

2019-12-01 12:00:00 | 東京


  神保町にてちょいと古書店のぞいてみる。

  ガラガラ転がして来たので、10冊近く買ってしまう。

 

  


  やはりこれだけ古書店も揃うと、圧巻だ。

  東京に居る頃はあんまり気付いてなかった。



  


  じゃあまぁ、昼飯でも。

  この辺ぢゃあ、いもやの天丼などによく行ったもんだが。

  古い喫茶店があったなと見れば、すごい行列。 さぼうる2という。

  なんでも喫茶店のナポリタンにこの行列、どうかしてるねぇ都民は。

  ここらにもなんかあったぞ…と行ってみた、すずらん通り。

  
  


  またしても行列に腰が引けた。 よく見ると、まあまあ年配客ばかり。

  若い時喰った味を思い出して、来てしまうというクチではあるまいか。


  



「キッチン南海」 下北沢にも明大前にもあった記憶。

  腹へらし学生の大いなる味方だった。

 

 

 

  この価格帯。ロースカツライス¥800 こうこなくっちゃ。

  最近のとんかつは高級料理になりすぎる。

  どこにもヒラメフライのあるのがキッチン南海の特長。

 

  

 

  このむやみに濃い顔の主人が洋食らしく、イイ感じ。

  みんなキビキビと働いていて好感が持てる。

  おねえさんの客あしらいもエッジが利いている。

  付け合わせのキャベツをふんわりと盛るところなんざ、情を感じるね。

  さて、名代のカツカレーと行く。

  
  

 

  真っ黒いカレーソースがいいのだ。

  カツはサックリと揚がっている。

  だいたいカツがカレーソースを吸ってしまい、ルーを追加しなければ、

  最後に白いめしばかり喰わんならん店があるが、あれは寂しい。

  
  


  福神漬けをのせて。

  いざ喰わんかな、噛まんかな、飲まんかな。

  店内に充満するカレー粉…まちがいなく幸せな匂いである。

 

 悔しいことに、コロナの影響で6月某日、閉店。
 

神田鍛冶町の角の乾物屋も喰ったか、笹鮨

2019-08-01 16:34:36 | 東京

 親爺の写真をもって、出生地である神田紺屋町。

 かつては染物業者が大勢住んだ場所だったから紺屋町。

 ここでどんな暮らしをおくっていたのか、想像もつかない。

 古そうな家に飛び込んで聞いてみたが、戦前の話が分かる人がもはやいない。

 気になっていた寿司屋へ。

 

  



 神田鍛冶町の「笹鮨」。古い仕事を残す店として知られていた。
   


  


 なんでもかんでも高くなりやがって、寿司なんて東京ぢゃ3万仕事でしょう。

 なにも、おやつにそんな高いとこへ行くことはない。


  


 昭和23年から、お祖父さんが屋台で闇営業をしていたそう。

 誰もまだいなかったので、カウンターに陣取り、ご主人と雑談。


  


 神田で高山寺の鳥獣戯画ね…w 酒は菊正、文句はない。

 主人は三代目、取手一郎さん 83歳。

 紺屋町の話なんぞをしながら。

 

  


 ことさら高級な構えではない、下町の寿司屋。

 この雰囲気がいいと言うと、

 「いやぁ、時代に取り残されて、だから誰も入っちゃ来ないでしょう?」と

 自嘲気味に言う。 ま、たしかに早い時間は暇そうではあったけど。 


  


 酒肴に〆ものを少しずつ出してもらう。

 タチウオ、イワシ、アジ みな関西以西なのが可笑しい。

 どれも〆過ぎ・・・昔の仕事なんだろうなぁ。

  
 

 
 ちょいと奮発して、にぎりの上をいただく  
        
   

 

 きれいなもんだ。

 鉄火巻きのカップリングの三つ葉の塩揉みのような巻物が気に入った。

 胡瓜巻きよりよほど気が利いている。玉子も昔風の薄焼き。  


  


 修業はどちらで…なんて聞くと、家業でずっと教わったことを

 やってるだけという。そうやんな、代々やってきたことをするだけ。

 それが家業の基本なんだろうな。


  


 でも、今となってはよくぞ生き残っててくれました・・・と言いたくなる。

 店前を急ぎ足で行きかう会社員はどこまで知ってるのだろうか。

 この店に気付いた30年前と、ちっとも変っていない。

 はて、いつまで生き残ってくれるかは誰にもわからない。


   


いよっ!上野アメ横、大統領ッ…

2019-04-07 16:01:13 | 東京

 

   さて東京シリーズも大団円 

  ほんとに30年は来ていない上野へ

  不忍池は荒涼たる景色だった

 

  



   うへ~ ウィークエンドとはいえ、アメ横はえらい人

   人混みが苦手なので、いつもなら近付かないな



      

 

   一際人気なのがここ、居酒屋「大統領」

    中もいっぱい。でもこっちはオオバコなので回転は遅くない

 
 

      

 

    ホッピーと行くかな、下町らしく   

 


      

 

   今回の東上の狙いの一つ、煮込みを

    一味思い切りぶっかけて



      



   もう一つの名物、アカガイのひも

     久保田万太郎の句に 「竹馬や いろはにほへと ちりぢりに」

     小沢昭一の返句  「ちりぬるおはか 赤貝のひも」



      

 
   焼き鳥、行ってみよう~!

 

  



   これ、なんだっけ・・・な


      

 

    ねぎに、小いも



      


   塩ラッキョウ。 甘くないのが東京っぽい



      


 

   居酒屋ひとつでも男っぽい職人世界の歴史が生きている東京

    女性っぽい酒肴が多い上方

   こういう相違がたまらなくおもしろい 


 


根津の晩 中華の宵

2019-04-04 18:24:39 | 東京

  

  谷中、根津、千駄木をあわせて谷根千

   戦前の東京の佇まいは今や偲ぶ術もないが、この谷根千という地区には

   なんとか残っている。 残っているからここへいろんな若い連中が集まる。

   こないだまで町家だったのが、ちょっと目を離すとカフェやら飲食店になっている。

   東京では無理もないことなのかもしれない。 



      


      



  

   

  ご厄介かけっぱなしなのは、谷中の友人夫婦宅。

  どこへ出るにも便利だし、そりゃ新宿・渋谷を中心にしてた若い頃とはちがうけど。

  一夜、連れて行ってもらったのがこの店。

  根津の住宅街にある、上海料理店「BIKA」。

   ここがまた、いい感じのご夫婦がやっておられる。 
 

  
  


   中国式きゅうりもみ、ピータン

   なんでもない前菜だが、気働きがあって気持ちがいい



  


   
   名物の焼売。世の中、餃子ばかりがもてはやされるが、

    日本に伝わったのは焼売の方がずっと古い


  



   春巻。一般的なこの春巻は広東発祥かもしれない

   関西でよく見かける、巻き揚げスタイルは山東・北京料理から来ていると聞く



  

 

  ここの麺がまた繊細

   ニラそばは見事な色彩 上品なスープ ストレートな細麺 



  

 

  これまたけっこう、ザーサイ豚肉細切りそば


  

   

 

 

   とろみのある五目そば

   ここの麺ならば、毎日でもすいすい食べられそう 



   

 

 

   この辺りの静かな佇まいは、やっぱりそっと置いといてほしいな。