マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

仙人、ほぼ最期の日

2014-05-31 23:26:14 | 

仕事がおして、堺に着いた時には昼どきまっただ中。
嫌な予感が的中、まさかの行列が30人以上。






「銀シャリ屋 げこ亭」の飯炊き名人 村嶋孟さん(82)がこの5月いっぱいで引退。

その最後を見届けよう、食っておこうという人で、てんやわんやであった。



   


ところが、である。

店の若い衆が出てきて、「ここまでで、もうおかずはありません」
と私の位置より10人ぐらい前で切られた。げげっ!



   



これより後ろに並ばれても、もうご飯とみそ汁ぐらいしかありません。

それでも良い。ここへ来たのは白いご飯が食べたかったからだ。

でも、並んでいるうちに飯はお代わりに、テイクアウトにと出てしまい、

無くなったと言われた。 早々に帰る客もいたが、もう少し並び、

ご主人に、ご挨拶だけして帰ろうとする。







いつの間にか、めし炊き仙人とマスコミに命名されたご主人。

上から下りてきた仙人に、「お疲れさまでした」とご挨拶すると、

ご飯は…おかずは…?と矢継ぎ早に言われたが、何にも残っていない。

めし櫃を引き寄せて、そこにくっついているご飯でおむすび握ってあげる…と相成った。

いやいやいや、そんなつもりで直訴に上がった訳ではない…


 
   



行列に並んでいる私が見てたら気分が悪い横入りみたいなもの。

でもぼやぼやしてるうちに、サッサッと握って持たしてくれた。

そうそう堺まで行ける立場でなし、ありがてぇ。

仙人と一緒に撮影してもらおうと、家人を呼ぶと…

何か店内の行列に諦め切れず並んでいて、手が離せぬ様子。 なんぢゃい。


暖簾も仕舞われた店内で、彼女が確保していたのが、これだ!


  

   



おでんのこんにゃく…最後の一つ。 ごぼ天は前の男に買われてしまったとのこと。

いやいやいや…奮闘は認めるが、おでんはどうでもいいのであった。


するってぇと、 ジャジャ~~ン!!







おおっ!ぬおおおおお!!!! 

ぬかりなく、ごはんを確保しているではないか!

ぢぇぢぇぢぇっ…! あれほど「ない」と言ってたのに、「ある」とは!?


自家製キュウリのぬか漬け、よこわの造りを必死の思いでゲット、

ごぼ天の男が見落とした、最後の生卵2個を見逃さずチャッカリと手にしていた。

アンタはえらい!(小野田さんのお母さんで) 大拍手!! 快哉オジサン!!


こんにゃくはともかく…白ごはんの美味きこと!

なんだろう、咀嚼して飲み込むに至る一連の動作を1ミリたりとも邪魔するものがない。

何のクセも感じない、それでいてふっくらとして、ご飯の持つうま味がジワッと伝わってくる。

お櫃に一旦移すことで、ご飯の水分が見事に飛び、だけど決して固くなっていない。

そのバランスには唸るばかり。

この「ふつうに美味い」ために、仙人どれほどの留意をしているか。







夜食にいただいたおにぎり。 時間もたっているが、

ただの塩むすびがむちゃくちゃ美味い。

というか、すぐテレビ屋というやつぁ、むちゃくちゃだの、うんま!だのとリアクションしてまう。

こいつはよろしくない。

おむすびは、単純過ぎて簡単に出せない味。 ふつうのすごさというものを改めて感じた。





お櫃にひっついた飯粒で、さっさとおむすびを作るのにも驚いた。

仙人、引退してどうするのかというと、飄々と

「私、二階にいますがな」

そないにわ~わ~騒ぎなさんなというところだろう。







勘定だけは忘れるな 森繁

2014-05-25 13:27:36 | 

いや久々でありまする。FaceBookなどに時間がとられてしまい、
双方立てるのは大抵ではありませぬ。

ただFBとは公道過ぎて好き勝手な好みに走りにくい。
ひとの反応を見るというか、「いいね」が気になったりしていけねぇ。
好きなことをほざくblogに帰りたいと思う。 ぼちぼちね。

ってことで、おでんなんてのはどうでぇ。

北区豊津の「常夜燈」。







ここのおでんのだしがスゴイ。
天然鯛の頭、羅臼昆布、カツオだし、ヒネ鶏ガラスープ、
白味噌、隠し味に白醤油…

鯛は天然だけに焼いたりせず、そのままで臭みなど出ないらしい。

しかも、強火でグラグラ煮返すのが伝統的、大阪のおでん。

 





扁額には、ゆかりの人物、森繁久彌の筆文字。








書というより、デザインだなぁと感慨をもらした人物、安藤忠雄。

このすぐ近くに事務所を構え、しょっちゅう利用されている様子。







二代目主人 池永伸さん 82歳

並の82歳ではない。かくしゃくとしたお姿。肌艶、長命の眉毛。


 




昼のおでん定食。 好きなものを4種類。
豆腐・焼売・大根・厚揚げ…いうことなし。







うっすらと色づく茶めしは固めに炊いてある。

おでんのだしをぬっかけてサラサラと仕上げるのがオツ。







お初天神にあり、満州から引き揚げてきた大阪人、森繁久彌が
よく通ってきて、「これはかんとだきなんかやない、かんさいだきや」と
言ったことから、ここではずっとかんさいだき。
 

森繁久彌はすごい役者だが、「佐渡島他吉の生涯」のVTRを
見ると、才気走り、知恵のある人物に見え、一介の俥引きに見えなかった。
歌を歌わせても、筆を取っても、しゃべりも、元アナウンサーだから、
とにかくマルチな人物だったから仕方ないのだがね。
 






キタにありながら、どこかミナミっぽさのある店。
おやじさん、おかあさん、いつまでも。