マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

遅筆の種を育てましょう

2010-06-29 01:43:17 | Weblog

        
          


3日に一度はアップしなさい、とあるギタリスト兼ホテル部長に忠告される。
社員に見ろと言ってるのだから、と。言いつけは有り難く受け、3日以内にアップすることにした。だが、こちらは一流の三日坊主にして・・・。


さて井上ひさし死して2カ月半。口にするのもおこがましいが構成作家の大先輩である。永六輔、前田武彦、大橋巨泉、木野徹、三木鮎郎、青島幸夫、河野洋などは颯爽と音楽番組などのクレジットに名前を連ねたが、我が井上ひさし師だけはそんなスマートなことができなかった。コツコツとてんぷくトリオのコントを書き、ひょっこりひょうたん島を書き、替え歌に才能を見せ、NTVの井原高忠に呼ばれ、ゲバゲバ90分の構成陣に名前を連ねた。


コントの名手としてはコント55号を書いた岩城未知男氏の台本も見事であったが、やはり井上ひさしのてんぷくがより芝居的で気になる存在となった。その後は、モッキンポット師のシリーズなどの小説、「こまつ座」の一連の舞台で笑わせて、考えさせられた。


井上ひさし宗匠には素晴らしき言葉がある。


    むずかしいものをやさしく
    やさしいものをふかく
    ふかいものをゆかいに


ずいぶん以前、NHKの番組でご一緒した。というか、こっちはぺぇぺぇの構成陣、宗匠(勝手に一方的に呼ぶ)はゲストだった。なんとかサインをいただけないものかと考えていた。


言っておくと、幕内の人間が幕内のゲストにサインを求めることなどまぁない。どんな美女がゲストで来ても、そこは仕事をする同志、握手も記念撮影もあり得ない。でもそこは二度と会えないかもしれぬ。番組がはね、一人玄関へと向かう宗匠のあとを追いかけて、思い切って声をかけた。「すみません、サインをいただけませんか」
恥ずかしそうに、私の持つ台本に「井上ひさし」と書いてくれた。
私の台本がとたんに、師の持ち物みたいに見えた。


何回生まれ変わろうが、近付くことなど無理だろうが、私には一つだけ受け継いでいることがある。それは遅筆。福屋工務店、仕事が遅い・・・なのである。


よって、ブログの更新が滞っている時は、本業の方の仕事が遅れているものと判断してもらえりゃ有り難い。余りに更新が続く時は、「アレッ?本業危ないんぢゃないの?」と思って下すって結構。

遅筆堂は堂々と胸を張り、この道を行くべし。(故人を出して、正当化すなっ!)

井上ひさし師の絶筆が文藝春秋にある。



 過去は泣き続けている――たいていの日本人がきちんと振り返ってくれないので。

 過去ときちんと向き合うと、未来にかかる夢が見えてくる。

 いつまでも過去を軽んじていると、やがて未来からも軽んじられる。

 過去は訴え続けている。



井上さんは、そんな大昔の歴史を学ぼうといってるのぢゃない。過去に起こしてきた失敗から目をそむけることなく、サボることなく、きちんと見つめて知るjこと、感じ取ることが大事なのだと言いたいのだろう。それが歴史を学ぶということなのではないか。年号覚えたりするんぢゃないよ。喉元過ぎれば…の国民だからして。足元の小さなことから…と肝に銘じたい。


福島、焼きとり数ある中で

2010-06-18 12:38:59 | 

福島の名店というと、ここが真っ先に出てくる。
兄が築地勤めだった頃、ここ見て「弟さん、福島県に行ってるみたいよ」と伝えて下さった同僚がいたそうだが、ご安心なさいまし、大阪の福島でさあ。



今でこそ注目の福島界隈。この店辺りから面白くなってきたのではあるまいか。



わりと大阪は焼きとりって弱かったんだが、焼きとりを再発見させたという意味でも、長沼さんの存在は見逃せない。



村尾をロックで。選び抜いた酒、ワインなども揃える。



砂ずり、別名砂ぎも。鶏にしかない内臓で、あいつら歯がないため、この砂ずりでこすりつけるように咀嚼するという。こういうのを持たれちゃ、人間様はかなわない。



火の通しが見事。炭を操る技術が物を言う。



長沼氏は自転車あやつって、あちこち新しい店を発見するのも得意。
仲間内で福島界隈のことを尋ねたりすることも、ままある。



いつも、ここに来たら、たとえカップルだったとしても、ムシャムシャ食い、
ワインや焼酎をグビグビ行ってしまい、「食べ過ぎですよ」と釘を刺されたりする。
性分というのはなかなか治るものでなし。



福島界隈も焼きとり屋が増えた。それに路地にそれとわからぬように大手の店が入り込んできて、そうなるとつまんなくなる。今や福島、飽和状態と言われる。



背ぎも。これはタンニン強めの赤がぴったり。



ええっと、どちらさまでしたっけ・・・?



こんな野菜も美味いのだ。



シメに鶏スープを飲んで、ほっこり。
なんとなく鶏を食わず嫌いにしてるならば、まぁ、行ってごらんな。



2号線、大阪トヨペットんとこで降りて、スグ。
焼きとり、ときどき、むやみに食べたくなる。


      
            炭火地鶏・美酒  あやむ屋    大阪市福島区福島5丁目


 
         


鉄板に手をつきて火傷せざりき男あり

2010-06-17 03:47:04 | 

長ったらしいタイトルだが、これは浅草田島町のお好み焼き屋「染太郎」の壁にあった坂口安吾の色紙の文句。おそらく酔って手をついたのだろう。



ここは福島の高架下。福島OK一番街にある『かく庄』。
昭和の雰囲気を色濃く残す店だ。



使い込んだ、丸い鉄板がいい具合の鈍い光を放つ。
冷たいビールで喉を潤して・・・


ビールのお供には、いかの塩焼きなんぞを。
長閑な平日の遅い昼。見るともなく見るテレビ。ビールを開けて
いか塩でもつまめば、実にしみじみと平和を感じる。



そういえば、噺家月亭八方師の母上、寺脇ヨネさんも福島でお好み焼き屋をしていた。
主人に聞いたら、ヨネさんここへよく来てたらしい。ハハン、ここがネタ元だったか。

お母さん、ある料理番組でお好み焼きを作ってて、鉄板に手を置いてしまい、
「アツアツアツ・・・」 一同、大ウケ。息子が一番笑ってた。

イカ塩がなくなる頃合いを見て、焼きそばが到着ーー。



この花がつおってのがどうも苦手とするのだが、まぁ今回は許容範囲である。
ゆらゆら揺れて、割り箸に絡みついたりして、食べにくいことおびただしい。
生野のガキ風に、一味をパラリとかけてみた。



うんめぇ~! 

麺は噛み応えのある太麺。 甘めのソース。
うどんと見間違うような太麺である方が、適当にソースも落ちる。
太麺はソースがからみやすいのかと思うと、そうではなく、細麺の方が
ソース辛くなってしまい食えないと、麺業者に聞いた。
スルスルスル・・・と吸い込み、しっかと咀嚼したい。



JR福島の高架下にある飲食店街。
その一番はずれ、野田方面にある。
ここは甘党の店だったとは知らなんだ。




         お好み焼き・焼きそば 『かく庄』   大阪市福島区福島7JR高架下




京の老舗小屋&お近く洋食

2010-06-16 00:50:49 | 





京都最古のライブハウスである“拾得”。その名は寒山拾得に由来する。

元は酒蔵だか醤油蔵だったと聞いた。





アングラ全盛時代から、サブカルチャーの殿堂として、その名は東京でも
知られたものだが、何故か縁がなく、今まで訪れたことがなかった。





フォーク&ブルース、ジャズ系ミュージシャンで出たことのない人はいないんぢゃないか。
階段の上は、ミュージシャンの控室になっている。
かつてはきっと蔵人たちの休憩や寝間になっていたのだろう。





この雰囲気・・・いかにもでしょう。新しい店にはこの感じ出せっこないね。

過日、友人のミュージシャンが出演するので、おっとり刀でお手伝いしに行った。





サウンドチェックを済ませて、食事に出かけた。

この辺り、街の真ん中ながら住宅地であって、酒食できる店が少ないのなんの。
ここしかない、と北村謙さんに連れてってもらった、「キッチン・ゴン」。
その名前は以前から聞いていた。でも不便でやっぱり縁がなかった。
一度に二度も、行ったことのない場所に行けるなんて。仏縁でござる。





迷わず、オリジナルメニューのピネライスにしてみた。





チャーハンの上に薄い(これを仏語でピネと称するとの説)カツを乗せて、カレーをかけてあるという、
一度で何度も美味しい、ある意味節操のないメニュー。
カツは牛・豚選べるので、トンカツ仕様にしてみた。
カレーソースは優しい味。もっとピリリとパンチを効かせてもいい気がする。





謙さんのツアーマネージメントをしているTさんが頼んだのはハーフピネ。
カレーとハヤシソースが半々でかかる、合い掛けってぇヤツですな。

冷静に考えると、ソースの個性がキツいので、チャーハンの持ち味が死んでしまう。
ここはプレーンな白飯でもいい気がするのだけど、ちょっと小銭を持った客がいい気になってああせえ、こうせえ言うたんでしょうね。
なんつうのか、貧しき贅沢とでも申しましょうか。もちりん、美味いんですがね。





さぁ、外もとっぷりと暮れました、演奏会の幕開きです・・・。



            拾得   京都市上京区大宮通下立売下ル菱屋町
            キッチンゴン   その近所




冷たい蕎麦よろし

2010-06-09 14:33:55 | 


冷たい蕎麦が心地よい季節になってきた。



ぬる~い風の通らない店で食べる、生ぬる~い蕎麦もそれなりに季節の趣があるが、やはり、キリッとしめた麺をキンと冷たいつゆでたぐり、凛とした気持ちで店を出たいやね。



蕎麦屋に入ったら飲まずにはいられない。飲めない時は行かない。
銘柄は島根の豊の秋を一つ覚えみたいに頼む。
小魚の突き出しが出るが、的を得ている。
蕎麦屋の突き出しなるものは、露払いであるからして、むちゃくちゃ美味い物を出されても困る。程を得た、シブめのものが良いような気がする。
おかわり頂戴…ありません。これでいいのだ。



なめこ辛味大根  蕎麦の実が入る。

こういう逸品があるのが蕎麦屋の妙味だなぁ。



アスパラと雁足 木の芽みそ和え

寡聞にして雁足という山菜、知らなんだ。
調べたらコゴミ(クサソテツ)のこと。な~んだ。



水茄子の翡翠煮  極力色をつけないようにした出汁で煮びたしにしてある。
ほっとする味。ああ、我々は自然のものを食べてるんだなぁ。



時鮭の味噌漬焼き  これはキングサーモンだとか。
焦げやすいのを丁寧に焼いてある。もちろん、皮までいただきました。



最後は悩んだが、ざるそば950円に。



このまんま洗いもんに回さなくても、そのまんま使えそうでしょう。
真に受けられたら困りますが。


スキッといただきやした。会計して、薄暮の街にふ~らふらと出て行く気持ちよさ。
さぁて、天神橋筋商店街へでも回ってみるか・・・。




            なにわ翁   大阪市北区西天満3