マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

Pappaで、まんま

2006-10-30 01:52:03 | 

予約席の味気ないプレートではなく、こんな愛嬌のある人形が
ゲストをウェルカムと待ち構えている。
屋号のトラットリア・パッパのパッパとはイタリア語で幼児語の
「まんま(ごはん)」のこと。

一品目は、「サツマイモとヒシの実の冷製ふわふわスープ」。
PACO JETでソルベ状になった冷たいデザートのような前菜。
それでいてスパイスが効いている。爽やかな滑り出し…

二品目は「カルパッチョの盛り合わせ」。
魚料理をテーマとするPappa、カルパッチョ(刺身)には一際気合が
入る。サワラ、鯛(加太)、ホッキ、ツブ貝、4種ちがったソースで。

目の前の魚ケースにウチワエビ(長崎産)があったので所望。
殻は塩焼き、身はトランペット、ネギなどとタスマニア・マスタードを
乗せて、味を違えた2種類。

最もいま食べるべきは?と問うと、シェフ松本氏即座に「さんま」と
答えた。4品目は「秋刀魚の塩焼き」。これが…という意表のつき方。
ワタを使ったソース、カリカリに揚げた身は骨ごといける。

パスタは松本氏の、「リングイネ・たら白子のトマトソース」。
かつて料理長を務めた、レストラン・ピノのヒットメニュー。
トロリとした白子とトマトソースが抜群に合う。

今夜のメインともいうべきは、「白甘鯛と牡蛎のサフランソース」。
多めの油でウロコのまま焼き揚げにしたグジ。食べた一瞬、メコン川で食べ、ウロコが逆立ちグロテスクだった象耳魚を思い出した。こういう体裁は松本氏が日本料理から得たヒントなのだろう。
ギンナン、枝豆、小蕪、紫山芋。

これにデザート。ラズベリー・メロンのソルベ。ピスタチオのジェラート。
エスプレッソというコース。相当なお値打ちである。
魚ばかりなのが面白い。肉好きならば、隣り合うバールの方へ。こちらで牛肉の煮込みなどを取り、安ワインをグビグビやるのは大正解!
   


カウボーイ・ヨーデル!

2006-10-28 11:45:51 | カントリー

            
おお、音楽のことを書くのは久しぶりや~。
口に関することではあるが、食べ物のことばっかし
書いてきてしもた。まぁ、口卑しいから仕方がない。

さてカウボーイソングってのが好きである。その一ジャンルとも
いえるのがヨーデル。
ご存知だろうか、日本ではセント・ジョセフ出身の歌手、
ウィリー沖山。インドとのハーフだよ彼は、とミッキー安川に聞いた。
横浜バンドホテルに最後まで踏ん張ってた。
彼がヨーデルを歌い始めると、カメラが揺れて、出演者がドドド…と
ズッこけるというのは、「オレたちひょうきん族」のギャグだった。

さてこのヨーデル、ドイツのアルプス地方や
オーストリア・チロル地方で、伝達のために使っていたという。
それが転じて、民謡に使われるようになった。
それが移民によって中西部やアパラチア地方に伝わったのが、
いわゆるカントリー音楽におけるヨーデル。
ジミー・ロジャースのヨーデルがその代表格であるな。
スイスのヨーデルのようにコロコロ回したりしない。
どちらかというと、鼻歌みたいなイメージかなぁ。
ロジャースから、引き継いだビルモンロー、
そしてピーター・ローワンへと受け継がれている。

カウボーイソングでコロコロまわす、本格ヨーデルの第一人者が
エルトン・ブリットである。
            
この人の「Chime Bell」というヒット曲をラジオで聴いて、
ぶっ飛んだ。何処の誰かも知らなかったが、
クライマックスの高音のロングトーン…その間にインストで
藁の中の七面鳥や茶色の小瓶などがメドレーで入る。
着飾った男女がクルクル回るような映像的なシーンが浮かぶ。
それから、ヨハン大公のヨーデルなど、かなりヨーデルは聞いた。

エルトン・ブリット、スリム・ホイットマン…
カウボーイソングのヨーデル、改めて聴いてみたい。


達磨・高橋邦弘氏のそば

2006-10-26 12:10:51 | 

蕎麦の世界で知られた達磨・高橋邦弘氏の蕎麦会が堺であった。
伝仁徳天皇陵近くにある大仙公園内の日本庭園。茶室が舞台だ。

全国でそば会を展開する高橋氏は釜など機材一切を積み、弟子連中も乗り合わせ、このバスでやってくる。達磨の名入り。

今回は、「高橋名人のそばと夢衆を楽しむ会」。かつての酒処堺の伝統をいま一度という願いをこめて去年生まれたばかりの酒。まったりとした酒と高橋さんの蕎麦を合わせようという試み。

私は出遅れたが、大勢のお客が詰め掛けた。よく手入れされた池水庭園の緑が目にしみる。

師匠の蕎麦は二八。八の蕎麦粉に対し、二の小麦粉でつなぎ、喉ごしのいい理想の蕎麦となる。野性味のある香りがいい。するすると喉を通ってゆく、清々しい蕎麦。勧められるまま立て続けに4枚。酒を5杯もいただいた。ちょいと伸びた蕎麦には酒をパッパッとかけるとツツッと解れる。

蕎麦を打っている時は声をかけるのも憚られる厳しさだが、終わると一転してこの笑顔。一茶庵で修行して東京南長崎で翁を開業。その後、山梨長坂へ居を移し、現在は広島の豊平町の山中に蕎麦道場をひらく。蕎麦会となると、各地で一本立ちした弟子達が店を休んで馳せ参じ、一心不乱に働く。それがまぁ見事なもんで、この日も静岡小邨、山梨翁、安曇野翁、なにわ翁(は前日)などなどが集まっていた。

御大自ら掃除もする。これだから、弟子達は走らなきゃいけない。
蕎麦を打ち終えると、酒のコーナーへ自ら酒をもらいに来ていた酒好き。怖いだけではこれだけの弟子は寄り付かない。蕎麦打ちが終わったら、VTRなどを販売するコーナーでにこやかにお釣りまで渡している。師匠、元気である。

右は堺の地酒「夢衆」の蔵元、名醸さかいの西條氏。かつて河内長野の「天野酒」の蔵元だった人物。体調を崩されていたが見事に復活し、大勢の客の中をスイスイと泳ぎ回っていた。この二人のタッグでこの蕎麦会が実現した。まだまだ若いモンの追随を許さず頑張っていただきたい。


PROMSを観て、国のうたを考えた

2006-10-22 23:34:54 | 音楽


英国BBC主催で毎年行なわれるのがPromenade Concert。
通称PROMSを初めて観た。ロンドン、ロイヤル・アルバートホールで6週間にわたって行なわれるクラシック音楽の祭典らしい。深夜TVでやってたLast Nightの模様に釘付けになってしまった。いやぁ~音楽を愉しんでるなぁ。

年に1回のPROMSの歴史は112回にもなる。初代指揮者のヘンリー・ウッドは低価格で最高の音楽に提供しようと、立ち見にしたそうな。
グランド・フィナーレを飾るLast Nightは羽目を外した乱痴気騒ぎをすることで知られる。会場はユニオンジャックの旗やウェールズなどの旗が振り回され、サッカー場のようなホーンも鳴らされ、口笛、歓声…なんだこりゃと思ったが、聴衆は体を上下させながら音楽を楽しみ、オケやコーラス隊も実に楽しそうである。

クラシックというと、きちんと座り静かにマジメに聴かねばならんという日本のファンに比べ、なんと自由でなんと成熟した聞き手なんだろうか。こうでなくてはクラシックの裾野は広がっていかない。日本の音楽教育は道を間違えた。

もう一つ、PROMSとはなんとすごい英国のナショナリズムの場だろうか。エルガーの「威風堂々」に、「希望と栄光の国よ、自由の母よ、いかに褒め称えよう、自ら生まれた国を」と声をそろえる何万という聴衆。「ブリタニア」であり「エルサレム」であり、建国の精神に満ち溢れる歌。ラストは腕を組んでの「Auld Lang Syne(蛍の光)」となる。自国の名前にGreatとつける感覚はわからぬが、国威発揚大いに結構ぢゃないか。この国には国民歌謡ともいうべき歌が多い。「ホームスイートホーム」「ロンドンデリーの歌」もそうだ。「全ての労働者を呼び集めて」という行進曲も初めて聴いて、胸が熱くなった。

ひるがえって、日本には国民が一つになれる歌がない。誰も作ろうとしてこなかった。そのことに悄然とする。やっぱり町人国家なのだ。国連常任理事国なんてなるべき国ではない。君が代…?国家はまぁよしとしよう。英国国家だって大体同じようなことを歌っている。その他に第二国家と呼べるようなものがあるか?
米国にはアーヴィング・バーリンの「God Bless America」や「Beautiful America」などがある。ウッディガスリーには「This Land Is My Land」がある。フランスには革命時の「ラ・マルセイエーズ」がある。 

日本には国民統合の象徴となるものがない。そういうものを戦後の民主主義は反動の名の元に見向きもしてこなかったではないか。守るべき国土、変わらぬ故郷の山河、父祖…そういうものがあったはずだ。Promsを観て感じたのは、その根幹に微動だにしない宗教観が貫かれているということだ。我々は強大な力を持つ…神よさらに力を与え給え。我々は立ち上がる、神のご加護の下…たえずこうなる。

そこが何にもない日本はどうすればいいのか。単純に国家神道を復活せよと言うのではない。ああいうのは勘弁してほしい。だが根幹が空疎、統合の象徴がスカスカでは国民の歌なぞ持ちようがないぢゃないか。いや、暗澹たる気持ちになってきたぞ。

ここに、PROMSの模様が。

http://kayo02.blog53.fc2.com/blog-entry-43.html


おそらく、日本一のステーキ!

2006-10-22 12:59:54 | 

いや、すごいステーキ。「祇園ゆたか」のヒレステーキ、300g。
この店のウリはこのヒレ。神戸牛で、ヒレというのは大抵赤身なのに、
ここのはサシが入っている。





二代目、高田衛はまだ34歳。ここは祇園切通しを上がったところ、巽橋の手前にある。 

 




こういう超一級品の牛肉の断ち落としで、この日は賄いカレーを作っていた。
どれだけ美味いことだろうか。それ食うために就職したい。

 




ヒレは鉄板で各面に焼き目をつけ、ニンニクの上に乗せて蒸焼きにして、
じっくりと脂を溶かしてゆく。鉄板が分厚い!

 





焼き時間、15分ほど。しっかりと周囲を焼き、旨みを中へと閉じ込める。
ヒレというとパサパサしがちなのだが、これが脂を補強しているわけでもないのに、
まったくパサつかない。付け合せを添えて、ソースを下から掛けまわす。
こんな軍艦のようなステーキ食ったことねぇ。

 




完成。ヒレステーキ300g、¥35000 醤油ベースのソースにはバターをきかせてある。
青森産ニンニクは一枚ずつ鉄板で焼かれ乾燥させる。
某食味雑誌の撮影に乗じて、そのまんま照明もお借りして撮る。噫、ピント甘い。

 




ご相伴に預かり少々頂いたが、いやはや美味いのなんの。

柔らかさと肉の風味、旨み。歯など不必要。これをしょっちゅう食べている富裕層を羨んだ。
祇園深層部にはバブル崩壊など関係ないのだ。
これ食ってりゃ、そりゃ仕事も頑張れるにちがいないさ。