マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

ひさびさに中華そばの逸品

2014-09-22 12:40:04 | 

今から20年ほども前、金は無いけどヒマはある。

いや、ヒマもないけどなんとか隙間を見つけてでも呑もうや、と

名古屋の仲間とあちこち呑み歩いたものだ。

その仕上げで行ったのが、ここ「江南柳橋本店」。

滅法うまかったあの中華そばと、久々に会いたい…!

長年の悲願である。

円頓寺商店街を歩いて、柳橋をめざした。







さすがは名古屋だなも。

アンタらの好きな金のシャチホコだぎゃあ。


怒るな、名古屋人。

ワシにも何分の一か、名古屋の血が流れとりゃ~す。







妙にリアルな水戸のご老公。

なんのメッセージもないんだけど。

死んだ牧伸二に似ている。

あ~あ、やんなっちゃった~







中京元祖の文字に、いいなぁ。

ほどをわきまえている辺りが素晴らしい。

そうこうしてる間に柳橋。









ほほう、きれいなビルの半地下みたいな場所になっていた。

以前はへんな地道みたいな場所で、行列を作ること40分。

その間に行列を乱す奴が多数いて、キレそうになるが、

車で来て、車内で喰うやつには先に出していた。


このルールにも「どやねん!」と思ったが、郷に入れば郷に従え、で

ぐっと怒りを呑み込んだのも、懐かしき思い出である。


行列は出来ていなかったが、店内には待ち客が数組。

人気継続中に胸打たれた。

20年変わらないということはスゴイことである。








まだ新しい店内で待っていると、次から次ひっきりなしに客が入ってくる。

いやいや今回は腹など立たぬ。

磨き込まれた厨房で一人一人が黙々と仕事をする。

それを眺めているだけで、待てる。

そして…







ここのエライのは、出世しようが新築しようが、

スケベ心を出さず、うちはラーメン屋という基本のスタンスを

固持し続けている点にある。 その心根は見上げたもんだ。



いろいろ喰いたいも、胃袋には限界あり。

中華そばだけでは侘びしいので、春巻きセットにした。

セットにすんのかよ…。







パリリとクリスピーな春巻き。








豚肉・タケノコ・玉ネギ・シイタケ・春雨だったかな。

パリッと揚げた皮一枚を隔てて、

中は高温アツアツの蒸し料理になっている。

こういうものでも、いい加減に作っているかどうかは、

食べ手にはすぐに判別がつく。

丁寧な仕事に好感が持てた。



そして、やっと会えた~。

江南本店の中華そば、柳麺。









かつて、ここのスープに仰天した。

なんでもない鶏ガラと豚骨、醤油ダレだと思うのだが、

その妙なるハーモニー。

す~っと消えて行く、あと味。









記憶は純化されて行くので、

こうだったかな…といぶかりながら食べ進む。

だが、裏切られることはない。十分に美味い。

フムフム言いながら、一気に啜り込む。


ボクの喰いたいラーメンはドロドロの地獄谷のようなとんこつに非ず、

血管浮きそうな塩でも、クセの強い味噌でもない。

あっさりしている中にコクがあり、食べ続けて飽きない中華そばなのである。

改めて、自分の中のラーメンの軸を確認するに至った。 やっぱコレや。



食べなくていいのに、ザーサイつまみ、茶碗一杯のごはんもたいらげた。

これで980円。

さあて、腹ごなしに名古屋駅まで歩くとすっか。

また来るから、それまで首洗って待っていやがれってんだぁ、べらぼうめ~。




ぶあいそうの愛想

2014-09-17 00:50:22 | 

ほろよいで次に向かったのは、円頓寺。






昔、あっちこっちほっつき歩いてた頃には、寂れた駅裏の商店街みたいなところだったが、

戦争で焼けなかった町家が周辺にいくらも残り、そこへ新鮮に感じる若者の流入もあって、

大阪でいう中津や福島みたいに注目のエリアみたいになっていた。

変われば変わるもので、街なんてものは短いスパンであたふたしてはいけないのかもしれない。

さて、ず~っとマークしてて、ようやく来れた「五條」。



     



ここは死んだ料理研究家 加藤敏彦さんから聞いていた。

どうよ、この佇まい。 ひやかしお断り的な、他の追随を許さぬ孤高の存在がある。







まずは敬意を払って、看板のどて焼き。







八丁味噌がデミグラスソースのようだ。

大阪と違うのは、豚モツであること。

ちょっと甘めの味付け、これが名古屋だ。







一味をかけようとすると・・・・・・見たこともないメーカーだ。

名古屋のローカルブランドのようだ。 これぞ旅の醍醐味なり。







美味なるものは美しきかな…。 

どて焼き ¥280 

続いて、串かつを所望!







これも基本、名古屋ではとんかつである。

1本¥80







バットの中にウスターのプールがある。

いわずもがなの二度づけ禁止。







せっかくなので愛知風に、どて味噌につけてみた。

ソース一辺倒でなく、こっちも好き。

但し、名古屋に来てやらないと、大阪でやっても有難くない。







ちょっと甘ったるくなった口は、ハイボールで洗い流して。







きゅうり昆布漬 ¥250   きゅうりの浅漬けに潮吹き昆布をまぶしてある。

ちょっとおつな、箸休めになる。

釜前の亭主。 妻が接客。 おばさんの愛想は決してよくない。







鶏皮の唐揚げ ¥300

だがね…、飛び込みの一介の旅人に対して余り愛想がいいっていうのも考えもの。

この歳になると、ある程度放って置いてくれた方が親切というか…

いろいろと想像をたくましくすることが大事なので、愛想の悪いのもまた愛想のうちなのだ。

ああ、大人というのは、ややこしいわ。







とん焼き、皮焼き  各¥100

それになんこつを一皿 ¥300







名古屋も棄てたもんぢゃない。

し、失敬な…いいぢゃん、名古屋の気分と言えねぇか。







店をポイッと出ると、いつの間にか陽は落ちかけていた。





      

大阪へ帰りたくないが、さりとて名古屋にゃゆっくり酌み交わす酒友もいない。

まだ帰りの電車までには、十分時間がある。

とにかく、街を歩きだしたのだった。