ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

つらいのは男では無く

2005年10月21日 | 通信-その他・雑感

 先週末、「新潟から山越え東進の旅」に出かけた。新潟で1泊、高崎で1泊、東京で1泊の3泊4日。紅葉見学という目的は達せなかったが、旧友と会え、楽しい旅となった。
 高崎から東京へ向かう途中、浦和で下車し、大学時代の友人2人と会い、酒を飲む。1人はこれまで何度も会っているが、もう1人は卒業以来の再会。1人は額の広さが倍以上になり、もう1人はザビエルのような髪型になっていた。月日は確かに流れている。
 オジサン3人の話は健康のことが最も多く、次に仕事のことになる。カトちゃん禿げの方は大手の出版社に勤めており、最近、課長に昇進したとのこと。そりゃめでたいことだと思ったら、そうめでたいことでも無いらしく、しばらく彼の愚痴が続いた。
 仕事が増えるのにも関わらず、手取りの給料は減る。仕事そのものが精神的にきつい内容のものとなる。でも、仕事は辞められない。息子が来年高校生になる。大学にも当然行かせる。マイホームのローンはまだたっぷり残っている。今、会社を辞めるわけにはいかないのだ。毎日つらい思いをしての仕事、この先10年以上は続けなければならない。
 旅から帰って2日後の夜、友人のTが訪ねてきた。彼は新聞社に勤めていて、新聞社のアンケートに答えてくれとの依頼であった。アンケートを何人分というノルマがあるらしい。いちいち人を訪ねての作業、大変そう。
 じつは、彼は今年の春、長い間嘱託という身分であったが、正社員として採用された。これはめでたいことだったので、ささやかなお祝いもした。しかし、その夜、アンケートが一通り終わって、ビール呑みながらユンタク(おしゃべり)していると、「仕事、辞めようかと思っている」と意外なことを言う。正社員になるといろいろなノルマが課せられて仕事がつらくなったと言う。今までほとんど無かった残業がたっぷり増えて、肉体的にもきつくなったと言う。それでも、夫であり父親である彼は踏ん張らなければならない。
 中年の働くオヤジ達は、概ね彼らのように大変な時期にあるようだ。子供が一人前になるまで、もうあと5年か10年は頑張らなければならない。会社員としては指導する立場になり、しっかり自覚を持たないと、上司にどやされ、部下にはバカにされることになる。毎日、薄氷を踏む思いで励む。仕事そのものがストレスとなる。
 でも、辛いのは男だから、というわけではないと私は思う。世界的に見ればずいぶんと恵まれた生活を、日本の社会はしている。現状の生活レベルをいくらか下げても、明日の米に困るようなことは、この日本においてはそう多くは無い。選ばなければ仕事はある。給料は安くても、精神的な苦痛の少ない仕事はたくさんあるだろう。
 マイホームなんて要らない。ブランド品の服なんて要らない。車も小さくていい。子供たちに私立の学校は要らない。高校卒業までの面倒は見るが、大学の費用までは面倒みない。などということにすれば、彼らもいくらかは楽になれると思う。
 「男は辛いよ」ではなく、「いい生活を維持するために嫌な仕事に奮闘努力するオヤジたちは辛いよ」なのである。たまたま、友人2人の愚痴を聞いたので、今回もまた前回と似たような話題となってしまった。元気出そうぜ、オヤジたち。

 記:2005.10.21 ガジ丸


現在壮年クナン

2005年10月07日 | 通信-社会・生活

 都会では 自殺する 若者が 増えている
 井上陽水の「傘が無い」の出だし。この歌が陽水のデビュー曲であったかどうかは記憶が無いが、彼がデビューした頃の相当古い作品であることは確かである。だから、もう、30年ほど前の歌となる。その頃の都会では、自殺する若者が増えていたようだ。
 インターネットのサイトに「自殺者募集」みたいなのがあって、それに応募した見ず知らずの人々が出会って、一緒に自殺するなんていうニュースを最近、たまに耳にする。そういった人々の中には中学生や高校生も多く含まれているらしい。陽水さん、近頃は都会だけじゃなく田舎でも、自殺する若者は増えているみたいですぜ。
 一週間前だったか、二週間前だったか、三週間前だったか忘れたが、フジテレビの「めざまし」だったか、「とくだね」だったかも忘れたが、ある朝、テレビを観ていたら、母子家庭が増えて、奨学金を利用する学生が増えているというニュースをやっていた。母子家庭が増えている、のには理由(わけ)があって、中高年の、働き盛りの男性の自殺者が増えているからだという。壮年期の自殺者はバブル以降、特に増えたとのこと。陽水さん、近頃は若者よりも、オヤジの自殺がはるかに増えているみたいですぜ。
 たとえ、大きな失敗をしたとしても、昔はそれでも、「なにくそ!負けてたまるか、死んでたまるか!」と思うオヤジが多かったに違いない。男一匹、丸裸になって、イチから出直せば、たいていは立ち直れたのである。と私も思うのだが、現代はそういったことができにくい世の中になっているのだろうか。負けた時は死ぬ時ということになっているのだろうか。まったく、精神の貧しい世の中になってしまったようだ。
 壮年とは、広辞苑によると「血気盛んで働き盛りの年ごろ」とある。いわば、社会の歯車の中心となっているわけである。彼らの力は政治にも経済にも、学問にも文化にも、そして、人類の子孫繁栄にも大きな影響を持つ。そんな彼らが今、苦難な状況に陥っているようである。彼らが弱くなれば、社会も弱くなる。人口も減る。同世代として、私は彼らを応援したい。で、彼らに名前をつけた。彼らの名は、現代壮年クナンという。
 クナンのまたの名はコカンと言う。老若男女に関わらず、マタの名は股間である。が、オヤジのそこには、人口を減らさないための大事なものも収まっている。負けるな!男。負けるな!オヤジ。君たちが頑張らなければ日本の未来は無い。

 記:2005.10.7 ガジ丸