ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

完璧主義者たち

2009年04月10日 | 通信-その他・雑感

 私の血液型はO型だが、父はA型である。科学的な根拠は無いかもしれないが、O型の私は大雑把で、A型の父は几帳面である。几帳面は概ね完璧主義者である。
 父は去年からパソコンを私から習い、ワードで文章を書いている。父にパソコンを教える私の目的は、父の自伝を書いてもらうこと。昔を思い出し、文章を考え、指を動かすことでボケ防止にもなるだろう。そして、自伝の完成は、父の生甲斐にもなろう。
 自伝が出来上がることは、おそらく父も楽しみに違いないと思うのだが、ところが、彼は書いた文章が気に入らないと全て削除する。なので、ワードで文章を書き始めて1年余り経った2月の時点で、残っていた文章はたったの4行しかなかった。

 先月、食事会という形で従姉Mの還暦祝いがあった。食事会は私の姉の提案である。Mの妹Hと私は、お金を集めて記念品でも贈ろうということで意見が一致していたのだが、姉が横槍を出したのだ。それはまあ、それでいい。ところが、「食事会をどのようにするか、どこかで食事しながら協議したい。」と言い、それも行われた。
 外で食事などということを滅多にやらない私にとっては、わざわざ出かけ、集まって飯を食うこと自体が大きな行事となる。還暦祝いという行事はお祝いという大きな目的があるが、そのために食事というのは、行事のための行事である。その必要については全く無用のものとしか思わない。姉はおそらく、行事をより完璧なものにしたいという想いなのであろうが、「何もそこまで」と私は思う。大雑把な私は欠席した。

  完璧主義者ということでは同僚のTもA型で、その典型だ。彼は役所へ提出する書類を完璧に仕上げようとする。役所へ提出する書類に不備があってはいけない。私が作成する場合も完璧を目指す。しかし、Tと私の完璧にはちょっと違いがある。私は数値や文書内容に間違いのないように気をつけるが、Tは、それももちろんだが、全体の体裁、添付する図などにも完璧を求める。彼の書類はカラフルで見やすい。私のは地味である。
 当然、カラフルで見やすいものが良いに決まっているが、問題は作成に要する時間である。「何もそこまで凝らなくても」と私は思い、時間の無駄だと思うのである。
          

  四角いものを丸く拭くという性格の私なので、食卓の上とベッドの上と、それらを繋ぐ通り道などを除けば、部屋はあまりきれいでは無い。食卓やベッドの上がきれいだとは言っても、その上を這い回るアリたちは自由にさせている程度のきれい。そんな私だが、押さえどころは押さえているつもり、それなりに成果はある。
 2月の時点でたった4行しかなかった父の自伝、その時、「細かいことは気にするな、とにかく前へ進め。」という私の進言に父も納得してくれたので、それ以降、とにかく前へ進む。「私は」を「わたしわ」と書いても、「学校へ」を「がこえ」と書いても注意しない。漢字変換もさせない。ひらがなだけでどんどん書いてもらう。
 3月に2度授業を行ったが、その2度で、父の自伝は小学校時代を過ぎ、戦争の最中、旧制中学に合格し、終戦を向かえ、新制高校に通い、卒業して、軍作業に就職し、3年間勤め、退職するまで話が進んだ。めでたしめでたし。
 その時、父は23歳、結婚した年。次回からいよいよロマンスが始まる。
          

 記:2009.4.9 島乃ガジ丸