翅を広げてしみじみ
シジミチョウのシジミについては、『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行にその由来があった。「シジミ貝に、大きさや形、雌では色も似ているところから。」とのこと。
シジミ貝は、味噌汁の中に入っているあのシジミ貝。粒が小さいので食べるのが面倒だが、赤だしの汁はとても美味しい。自分でも、たまにだが作っている。
一般に食用としているシジミ貝が沖縄に分布(西表島に大きなシジミ貝があるということは聞いている)しているのかどうか不明だが、『沖縄大百科事典』にその記載が無く、私も見たことないし、聞いたことないし、キャンプ仲間に「シジミを採りにいこうぜ」と誘われたこともない。ではあるが、ウチナーンチュにとってもシジミはアサリと並んで最も身近な食用貝である。どこのスーパーでもシジミとアサリは置いてある。
そのシジミ貝に「大きさや形」が似ていることについては、まあ納得できる。が、「雌では色も似ている」についてはよく解らない。シジミの表は黒いので、おそらく、似ているのは貝の裏の色だろうと思われるが、シジミは、その身を箸でつまんで口に入れるのも面倒に思うほど小さいので、貝の裏の色がどんなだったか記憶に無い。いつか機会があれば、貝を広げてしみじみ観察してみたいと思う。
アマミウラナミシジミ(奄美裏波蜆):鱗翅目の昆虫
シジミチョウ科 奄美、沖縄、先島、東南アジアなどに分布 方言名:ハベル
翅の裏に波模様があるので裏波(ウラナミ)となるが、ウラナミシジミが世界に広く分布するのに比べ、本種は生息分布が狭く、日本では奄美以南にしかいない。で、アマミウラナミシジミという名前になる。ウラナミシジミより少し大きく、波模様が疎である。
前翅長17ミリ内外。成虫の出現時期は、先島諸島では周年で、沖縄本島は3月から12月。幼虫の食草はモクタチバナなど。
成虫1
成虫2
ルリウラナミシジミ(瑠璃裏波蜆):鱗翅目の昆虫
シジミチョウ科 石垣島、西表島、東南アジア、他に分布 方言名:ハベル
私の写真も文献の写真も翅表が写っていないので確認できないが、『沖縄昆虫野外観察図鑑』の説明文に「翅表の青色が濃く、鮮やかである。」とある。で、ルリ(瑠璃)とつき、翅裏には波模様があっることからウラナミ(裏波)が足され、シジミチョウの仲間ということでシジミ。よって、ルリウラナミシジミという名前だと思われる。
石垣島、西表島では定着しており、沖縄島では「1973、74、76年に偶産している」と同書にあったが、私は今年(2008年)の9月に那覇市首里にある末吉公園で発見した。地球温暖化で、本種も北上しているのかもしれない。
翅長雄13ミリ内外、雌15ミリ内外。幼虫の食草はクロヨナ、タカナタマメ、タイワンクズなど。成虫の出現は周年。アマミウラナミシジミとよく似ている。
成虫
ヒメウラナミシジミ(姫裏波蜆):鱗翅目の昆虫
シジミチョウ科 石垣島、西表島、東南アジア、他に分布 方言名:ハベル
名前の由来についての資料は無いが、ウラナミシジミ(前翅長15ミリ内外)やアマミウラナミシジミ(前翅長17ミリ内外)に比べて、本種は、前翅長12ミリ内外と小さいことからヒメとつくと思われる。ウラナミは翅裏に波模様があるから。
私の日常生活の周りにシジミチョウはたくさん飛んでいるが、本種はまだ発見できていない。沖縄島には生息しないということなのであろう。『沖縄昆虫野外観察図鑑』の説明文には、分布に沖縄島が無く、さらに、「生息地が限られ、主として谷間などの食草の付近でだけ観測される」とある。私がお目にかかれるのは難しそうだ。
前翅長12ミリ内外。幼虫の食草はモダマ、ヒメモダマ、アカハダノキなど、食草も沖縄島ではなかなか見られない。成虫の出現は周年。
記:ガジ丸 2009.4.4 →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行