ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

バショウコクゾウムシ

2017年10月06日 | 動物:昆虫-甲虫目

 小さな象

 ガジ丸という名前でHPを作り、沖縄の草木や動物を紹介するようになって13年が過ぎた。草木については若い頃から興味があって多少のことは知っていたが、動物についてはあまり関心が無く、特に昆虫についてはほとんど知識が無かったのだが、13年も経つと、記憶力の弱い私の脳味噌でもいくらかは知識となって残っている。
 甲虫類には有名なカブトムシ、クワガタムシ、コガネムシの他、カミキリムシ、テントウムシ、タマムシ、ハムシ、ゴミムシなどの種類がいることを知った。そして、ゾウムシなる名前の種類がいることも知った。小さいのに象と名がつく甲虫の種類だ。
 ガジ丸HPの目次を確認すると、ゾウムシの類はこの13年間で7種を紹介している。そして何と、私の軟化脳がその全てのだいたいの見た目を覚えている。その7種は大きいものと小さいものに別れるということも覚えている。具体的には覚えていないので、それは調べる。大きいものは概ね12ミリ内外、小さいものは6ミリ内外であった。
 畑にクワの木が多くあるからだと思われるが、よく見かけるものにオキナワクワゾウムシがいる。これはまた、体長13~15ミリ内外と大きいのでよく目立つ。

 去年(2016年)5月、虫除けネットにしがみついている小さな黒い虫に気付いた。とても小さいが、私の、接写もできるデジカメのファインダーで覗いてみたらゾウムシのようであった。「ゾウムシのようであった」と気付いたのも、この13年間の勉強のお陰である。被写体の小さな虫は鼻(のように見える、実際には口吻)が長かった。
 写真を撮って、後日何者か調べ、バショウコクゾウムシと判明。今まで見た小さなゾウムシ、例えばアリモドキゾウムシやコフキゾウムシに比べても小さい。それらは体長6ミリ内外だが、バショウコクゾウムシは4ミリ内外しかない。それでも鼻(口吻)はちゃんと長い、形としては象の名に恥じない形をしている。それにしても、小さな象である。
 
 バショウコクゾウムシ(芭蕉穀象虫):甲虫目の昆虫
 オサゾウムシ科 沖縄島、奄美大島、ハワイ、、熱帯アジア、他に分布 方言名:不詳
 名前の由来、資料が無く正確には不明。コクゾウムシは米を食うということで有名なあのコクゾウムシ。コクゾウムシは広辞苑にあり、穀象虫と表記され「オサゾウムシ科の甲虫。体長約3ミリメートル・・・幼虫は米粒など貯蔵穀類の中にすみ食害する」のこと。最初私は、本種の体色が黒いので黒象虫かとも考えたが、本種とコクゾウムシは同じオサムシ科であり、見た目もよく似ていることから穀象虫とした。
 本種の寄主はバナナ、イトバショウで、バナナとバショウは同じバショウ科の植物、イトバショウは糸芭蕉と表記し、繊維を採る芭蕉、バナナは実芭蕉とも表記され、果実を採る芭蕉となる。寄主が芭蕉の類なのでバショウと頭に付いたものであろう。
 体長3.5~4.2ミリと小さなゾウムシ、3ミリのコクゾウムシより僅かに大きい程度。バナナやイトバショウなどの腐りかけた茎の内側に生息し、同じような場所に生息するバナナツヤオサゾウムシに比べ個体数は少ないとのこと。成虫の出現は周年。
 
 斜めから

 記:2017.9.21 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
 『日本原色カメムシ図鑑』友国雅章監修、全国農村教育協会発行
 『原色昆虫大圖鑑』中根猛彦他著、株式会社北隆館発行