ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

関わりのある幸せ

2013年01月18日 | 通信-音楽・映画

 ここ数ヶ月、図書館からビデオやDVDを借りてよく観ている。最近は天気の悪い日が多く、そんな日は畑仕事を早く切り上げるので時間に余裕があり、ただいたい週に3、4本は観ている。観ている作品は大きく分けて2種類、沖縄芝居と日本の古い映画。
  沖縄芝居はウチナーグチ(沖縄口語)の勉強のため、勉強になっているかどうかについては、後日報告する。日本の古い映画は、図書館にその類のビデオが多くあるから、という理由もあるが、古き良き時代の日本を確認したかったから。
 「古い映画」と書いたが、観たビデオはだいたい1960年頃の作品、戦後15年を経ている。『下町の太陽』、『キューポラのある町』、『青い山脈』、『名も無く貧しく美しく』など。貧しかったけれど小さな幸せがそこここにあった頃のお話。
          

 私の今住んでいるアパートは琉球大学の近くにあり、住んでいる住人は大学生が多い。賃貸契約する時に「向こう三軒両隣に挨拶した方がいいですよね」と不動産屋に訊いた。前のアパートに越した時はそれが当然だと思って、アパートの他の住人に手土産を携えて挨拶したが、今の若者にそういう習慣があるかどうか不明だったからだが、
 「やらなくていいですよ、却って面倒臭がられるだけですよ」との助言を貰った。で、やらなかった。案の定というか、大学生たちは階段や廊下ですれ違っても挨拶しない、どころか、目を合わせようともしない。オッサンとは関わりたくないようであった。
 アパートには学生で無い住人もいる。服装から建設業関連と思われる若者が2人いて、彼らは会えば挨拶する。同じく元建設業関連肉体労働者の私としては、彼らと親しく声を交わしてもう少し関わっても良いと思っているが、彼らから見るとオッサンの私と関わっても楽しく無いかもしれないので、今のところ遠慮している。

 300坪の畑なっぴばる。12月からホウレンソウが収穫できている。収穫はしているが売れてはいない。商品になるほどの大きさに達していない、市販のそれの三分の一の大きさしか無い。で、自家消費している。でも、売れてはいないが収穫は嬉しい。
 今月からはウズラマメも収穫できている。これは十分な大きさに達しており売れると思われるのだが、量が少なくこれも自家消費。でも、食べて美味しいので嬉しい。
  収穫も嬉しいのだが、畑では他にも幸せを感じることがある。近所の農家たちとのユンタク(おしゃべり)だ。私は孤独癖があり、他人と会ってユンタクすることが好きというわけでは無い。が、けして人嫌いというわけでも無い。ユンタクも苦手では無い。
 北隣のウージ(さとうきび)畑の主Sさん、前歯の無い口を堂々と開けてよくしゃべりよく笑う。その向かいの、ジャガイモ畑のYさんは、太った人によく見られる人懐っこい顔をしていて、会うといつも缶コーヒーをくれる。他にもNさん、Kさんなどが私に声を掛けてくれる。有難いことだと思う。上述したように私はユンタクが好きというわけではない。何が有難いか?・・・私に関わってくれることが有難く、幸せに思うのだ。

 話は映画に戻る。貧しかったけれど小さな幸せがそこここにあった頃の映画の、そこここにあった小さな幸せとは人と人との関わりの中から生まれたのではないだろうかと思ったのである。隣近所の人たちといつも関わっていた、それが昔は普通だったのだ。
          

 記:2013.1.18 島乃ガジ丸