ガジ丸が想う沖縄

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病は心の歪みから

2019年01月11日 | 通信-科学・空想

 300坪の畑を借りて本格的農夫を始めたのは2012年夏、草刈りも耕すのも全て手作業、それから2年も経った頃には腰に痛みを感じていた。「この腰痛、もしかしたらヤバイかも」と思ったのは去年(2017年)の8月、そして、そう心配した通りに11月には「こりゃイカン、ダメだ、畑できない、農夫やめよう」となってしまった。
 当初は、腰痛そのものの痛みによる苛立ちや不安よりも農夫ができなくなったというショック、食物を得られなくなったというショック、「俺はただの穀潰しじゃ無ぇか」という自己卑下と自信喪失によるショックが大きく、生きる元気までも失っていた。
 元気がなくなると体重が急激に落ちていく。酒は飲んでいたが、おそらく食事の量は減っていた。料理する気力は何とかあったが、それを食べる気力が弱っていたのだろう。
 2000年頃まで70キロあった体重を、食事制限と運動(筋トレとか散歩)をすることで減らしていき、10年後の2011年には60キロを切り、その後しばらく56~58キロで推移していた。その体重が自分にとっては適正体重で、体調は良かった。
 しかし、強い腰痛を感じた2017年6月に56キロを切り初め、2018年1月には52キロ台にまで落ちた。「こりゃイカン、痩せ過ぎだ」と食べる量を増やし、3月、現住所に引っ越してから元気も戻って、4月には56~58キロの適正体重に戻った。
     

 300坪の畑を始めた2012年夏から畑仕事に追われて散歩する機会がぐんと減ってしまったが、それ以前は1時間以上の散歩をほぼ毎週末やっていて、時には3~4時間の散歩もあった。その頃、私は元気だった。血圧が時々高くなることはあったが、それも140台で、昔言われていた「正常血圧は年齢プラス90」という数値内であった。便秘は全くなく、下痢も滅多になく、程よい硬さと色の快便が毎朝続いていた。酒も旨けりゃ飯も旨いという快食でもあり、毎晩、7~8時間はぐっすりの快眠でもあった。
 体が健康だと悪いこともあまり思わない。誰かを憎んだり恨んだりすることもない。降りかかる火の粉は払っていたが、そういうのも淡々とやっていた。心身の調子がいいと他人のことなど気にすることもあまり無かったのだと思われる。
 快食快便は概ね続いているが、腰痛で気が滅入った頃から快眠が無くなっていた。それもしかし、体重が増えると共に、去年10月からは概ね快眠となっている。腰痛のせいで天を恨むことがたまにあるが、快眠のお陰で心はのんびり穏やかに過ごせている。
     

 2016年の12月、畑の近くに引っ越した。新居は畑へ歩いて通える場所にあり、車だと5分くらいで行ける。当初はのんびり歩いて通勤しようと予定していたが、畑仕事が間に合わなくてのんびりができなくなった。夜明けには出勤し、家に帰って昼飯食って昼寝して、再び出勤し夕方まで働く、1日10時間労働もしばしばあった。そんな働き過ぎが災いして腰痛になった。のかもしれないが、もう1つ理由があると私は考える。
 新居の大家さんは隣に住んでいて、たびたび私の部屋のドアをノックした。用事はたいてい「これ食べて」という親切であった。差し入れは有難いのだが、昼寝している時起こされる、夜、疲れている時に立たされる、それが次第に私の負担になり、「煩ぇ、疲れているんだよこっちは!」と心が思い、いつか大家さんを憎むようになった。人を憎む、私の心は歪んでいたであろう。その歪みが腰痛を引き起こしたのかもしれない。

 記:2019.1.11 島乃ガジ丸