ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ヒメキトンボ

2018年07月06日 | 動物:昆虫-トンボ目

 旅先の出会い

 ヒメキトンボは、『沖縄のトンボ図鑑』によると南方系のトンボで八重山に1980年頃定着が見られるが沖縄島には分布しないようである。しかしながら、同書は2007年の発行、以来、地球温暖化は進んでいる。沖縄の気温も上がっている。1980年に八重山なら、それから40年近くも経った今、沖縄島にも定着している可能性は高い。
 ということで、先日(6月25日)私が勝手にそう名付けたトンボ公園へ数年ぶりに出掛けた。トンボ公園の一角に池があり、その池にはアシやガマなどの植物が生えていて、周りにはいろんな種のトンボがたくさん飛んでいた。なのでトンボ公園と命名。
 しかしその日、アシやガマは残っていたが、モンシロチョウは飛んでいたが、トンボの類は飛んでいなかった。池の水が干上がっていた。早々と引き上げる。

 そこから近くにある県総合運動公園へ移動。そこにも池がありトンボが飛んでいる。池の傍の一角に陣取って30分ほど観察したが、そこで私が確認できたトンボはハラボソトンボなど4種だけで、ヒメキトンボはいなかった。
 そこは近くに売店があり、傍を歩く人も多くいる。トンボの類には恥ずかしがり屋のトンボも多くいるだろう。ヒメキトンボは恥ずかしがり屋かもしれない。
 あるいは、ヒメキトンボが沖縄島へ定着するには、温暖化はまだまだ十分ではないのかもしれない。今のところ、ヒメキトンボは旅先でしか会えないのかもしれない。

 
 ヒメキトンボ(姫黄蜻蛉):トンボ目の昆虫
 トンボ科 八重山地方、台湾、東南アジア、他に分布 方言名:アーケージェー
 名前の由来は正確には不明だが、『沖縄のトンボ図鑑』に姫黄蜻蛉と漢字表記があり、「翅は、・・・雄では広い橙色斑があり」ことからキ(黄)、比較的小さい(腹長19ミリ内外)ことからヒメ(姫)ではないかと想像できる。
 見た目の特徴としては他に「腹部は、成熟した雄では鮮やかな赤橙色になる」とあり、翅については、「雄では広い橙色斑があり、成熟すると赤みを帯びる」であるが、「雌ではほぼ透明」とのこと。
 その他、「平地から低山地の池沼、ダムなどに生息、成虫の出現は3月中旬~11月下旬」、「成熟した雄は水辺の植物などにいて、縄張りを持つ」と同書にあった。
 中国、台湾、東南アジア、インドなどに広く分布し、国内では1980年頃から石垣島や西表島に定着しているとのことで、沖縄島には分布していないようである。上の私の写真も沖縄島では無く、2011年9月の八重山の旅の途中、石垣島で撮ったもの。

 記:2018.7.6 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
 『沖縄のトンボ図鑑』尾園暁・渡辺健一・他著、ミナミヤンマクラブ株式会社発行