ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

キツネアザミ

2017年08月22日 | 草木:雑木雑草

 今年春(2012年3月)の宜野湾の畑、シマラッキョウの畝とウズラマメの畝との間に今まで見たことの無い草が生えているのに気付いた。雑草だとは思ったが、それが何者かを調べるために引き抜かず、そのまま放って花が咲くのを待つことにした。
 そんなある日、畑を訪れた従姉の亭主(地主)がそれを見て、
 「フーチバー(ヨモギ)が生えてるね」と言う。確かに葉の形はフーチバーに似てはいるが、生え方が全然違う。「フーチバーじゃ無いと思う」と応じると、
 「そうか、あー、そういえばアザミにも似ている」とヒントをくれた。

 シマラッキョウの畝とウズラマメの畝との間に生えている不明草は真っ直ぐ伸びて、高さ5~60センチになり、そこからさらに数本の花茎を出し、そして4月中旬、花を咲かせた。従妹の亭主のヒントの通り、アザミのような花だった。
 紫色(文献には紫紅色とある)の花、アザミの一種、という2つの手掛かりから不明草の正体はすぐに判った。キツネアザミ。沖縄で特に珍しいものでは無いようだが、私は初対面、・・・いや、恋人が髪を切っても、化粧や匂い(香水)を変えても、「気付かなければ」と注意していない限り気付かない私だ。きっと何度か見ているに違いない。
 
 キツネアザミ(狐薊):野草
 キク科の越年草 方言名:不詳
 名前の由来、『沖縄植物野外観察図鑑』に「アザミに似ているがアザミではなく、狐に騙されたという意で名づけられたといわれています」とあった。広辞苑でも狐薊と漢字充てている。アザミとは同じキク科だが別属。アザミのような棘は無い。
 根生葉はロゼット状につき、その中心から茎を真っすぐ伸ばし、高さ30~100センチほどになる。草全体に白色の綿毛が生えていて、葉裏は白く見える。
 茎の先に花を付ける。頭花は全て管状花で紫紅色。開花期について資料は無いが、私の写真は4月で文献の写真は6月、ということで沖縄では4月から6月としておく。
 
 花

 記:島乃ガジ丸 2012.8.27 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行