真面目なオジサンである私は、60年前の悲劇を体験はしていないが、聞いて知っていて、人が人で無くなる悲惨な状況は、二度と繰り返してはいけないと強く願っている。にも関わらず私は、「ひめゆり」という言葉を聞いて、「ひめゆり学徒隊」や「ひめゆりの塔」よりも先に、「ひめゆり通り」を思い浮かべてしまう。
那覇市の安里十字路から与儀十字路までの直線の道を「ひめゆり通り」と呼んでいる。現在は無いが、以前、安里十字路近くの栄町に「沖縄師範学校女子部」と「沖縄県立第一高等女学校」(注1)があったことから通称としてそう呼んでいるとのこと。
私の実家は那覇市泊にあって、「ひめゆり通り」までは歩いて15分もかからない、今から思えば我が庭のような範囲にあるが、「ひめゆり通り」は、中学生の私にとって恐怖の道であった。その通り沿いに神原中という学校があって、そこは不良の多い学校で、私は2度ばかり、「ひめゆり通り」でカツアゲにあっている。で、「ひめゆり通り」という言葉は心の奥の記憶に強く残っている。「ひめゆり」が「ひめゆりの塔」では無く「ひめゆり通り」を真っ先にイメージするというのは、それに起因する。
「あかぎ」という言葉を聞いて、「赤城の山」や、それを今宵限りとした「国定忠治」を思い浮かべる人が倭人には多いだろうが、私は真っ先に「ひめゆり通り」をイメージしてしまう。中学の頃そうであったかは記憶に無いが、だいぶ前から「ひめゆり通り」の街路樹はアカギの木であった。アカギは今もあり、もう大木になっている。
注1:「沖縄師範学校女子部」の交友会誌の名前を白百合といい、「沖縄県立第一高等女学校」の交友会誌の名前を乙姫といった。両校が併置された時、両者の交友会誌も統合されて名前が姫百合となった。「ひめゆり学徒隊」もここから来ている。
アカギ(赤木):公園・街路
トウダイグサ科の常緑高木。原産分布は沖縄、台湾、インド、他。方言名:アカン
高さ20mにもなる。成長が速く、萌芽力が強く、枝が混みやすいので、特に街路の場合は適宜の剪定を必要とする。切り口から腐朽しやすいので、蝋などを塗って予防する。
大木になるので民家の庭には不向きだが、枝が横に広がり、良い形の緑陰樹となるので、公園や街路樹に多く用いられている。陽光地を好む。
与那国島に生息する世界最大の蛾、ヨナグニサンの食草でもあるが、直径1センチほどの実が多数つき、鳥の好餌木ともなっている。結実期は10月から4月。
樹皮や材が赤いのでアカギという名前。その材は有用で、建築材、家具材として利用されている。
首里金城町の大アカギ群は国の天然記念物。
花
記:島乃ガジ丸 2005.7.2 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行