ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

チラチチカリンドウ

2010年12月31日 | 沖縄04行事祭り・生活風習・言葉

 「チラチチカリンドウ」と聞くとウチナーンチュはビビるのであるが、「チラチチカ」は字面も良く、音も良い。星がチラチラ揺れて、チカチカ眩しく煌いているような印象を受ける。そんな名の付いたリンドウが沖縄にはあるのかと倭人は思い、何でそんな素敵な名前のリンドウに、ウチナーンチュがビビるのか不思議に思うかもしれない。
 ウチナーグチ(沖縄口)のチラチチカリンドウは、正確にはチラチチカリンドーと発音され、チラ、チチカリン、ドーと分けられる。チラはツラ(面:顔のこと)、チチカリンは言葉としては「突かれる」に近く、意味としては「叩かれる」ということになる。ドーは「何々するぞ」の「ぞ」に近く、前に述べる行為の強調となる。よって、全体では「顔を叩かれるぞ!」ということになる。

  高校生の頃、私は首里バスを利用していた。このバスが時刻表通りにやってくることは滅多に無かった。首里バスだけで無く、他のバスもそうであったと思う。ウチナーンチュの多くは、時間を守ることを大切な事だと思っていない。バスの運転手も同様である。まあバスについては、道路の混雑が酷かったという理由もあるが。お陰さまで、私は高校一年で30回ほど、2年ではその倍ほど学校の始業に間に合わなかった。
 沖縄のバスは時間も守らなかったが、運転手の運転も荒かった。急発進、急停車、急ハンドルなどは日常茶飯にあった。運転手はまた、その性格も荒かった。
 ある日、私の友人がタダ乗りをした。金を払わずに後のドアから降りた。運転手がバスを降りて、鬼のような形相で友人を追いかけ、捕まえた。そして、言った。
 「チラチチカリンドー!」
 まるでヤクザの物言いなのである。公共交通機関のバスの運転手ではあったが、少年たちにはヤクザのように怖い人たちであった。
 なお、写真の植物はクラリンドウ。チラチチカリンドウとは何の関係も無い。

 首里バス
 1935年、首里市営バスとして設立。戦後、1950年から民営(米軍のではないということ)バスの一つになる。1951年、米軍の指示により、市営バスから民間会社に移行。株式会社首里バスとなる。那覇市内のバス運営は、銀バスとの競合が多く、1974年、沖縄総合事務局の指導により、銀バスに吸収合併される。
 その銀バス、外観に銀色が多いことから銀バスという愛称で、正式名称は那覇交通株式会社という。去年だったか一昨年だったかに、経営難から福岡のバス会社に経営権が委譲され、現在は那覇バスという名前になっている。さすがに福岡の会社だけあって、社員教育も良いようで、昔のような運転手は、今はもういない。
     

 記:ガジ丸 2006.4.24 →沖縄の生活目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行