去年の11月頃からマミナ先生がユクレー屋にあまり顔を見せなくなった。正月に久々にやって来た時に、「最近顔を見せないね、忙しいの?」って訊いたら、絵本作りに没頭しているとのことだった。
「絵本って、絵も描いてるの?」
「いや、絵はあんまり得意じゃないからね、ガジ丸にお願いしてるさあ。」
後日、ガジ丸にそのことを訊くと、
「話ができたら、それを読んで絵は描くつもり。」との答えであった。
それから二週間ばかりが経った昨日、ガジ丸がユクレー屋にやってきて、まあ、普通に酒を飲んでいたのだが、私が絵本のことを思い出して、尋ねた。
「そういえばさ、マミナ先生の絵本はどうなったの?」
「あー、あれか、絵はとっくにできて、マミナに渡してあるよ。」
「どんな内容なんだい?」
「たぶん、もうできているだろうから、今日か明日にでもマミナがその絵本を持って、見せに来ると思うぜ。」
「それまで、話の内容は秘密ってわけ?」(マナ)
「そういうことは無いんだが、俺が話すより実物を見た方がいいんじゃないか?」
「そりゃあそうだな。」とケダマン。
で、話は別の話題に移ったのだが、それから1時間もしないうちに噂のマミナ先生がやってきた。ガジ丸の予想通り、手に絵本を持っていた。
「やー、マミナ先生、それが噂の絵本だね。」と私が訊くのに答えず、
「あー、良かった。ガジ丸もいたんだね。一等最初にガジ丸に見せなくちゃっと思っていたんだよ。」と言って、手に持った本をガジ丸に渡す。みんなが覗き込む。
「おー、手作りにしちゃあなかなか上出来じゃないか。」(ケダ)
「はいな、私の処女作だよ。もっとも、私は40年以上も前に処女ではないけどね。自分で言うのもなんなんだけど、素人にしちゃあ、まあまあだと思うよ。それよりさ、ガジ丸が唄も作ってくれたんだよ。そっちの方が面白いね、悔しいけど。」
ということで、今回の瓦版はマミナ先生の絵本『かばのかばん屋』の紹介。
ちなみに、「かば」はカバ(河馬)のこと。アフリカや東南アジアに生息するウシ目カバ科の哺乳類で、主に水中生活をしている口の大きなあのカバ。
記:ゑんちゅ小僧 2008.1.25