今年(2011年)2月中旬、海洋博公園を訪れ、公園内の植物園を散策した。植物園には名札がかけられてある植物が多い。今まで知らなかった、あるいは見つけることのできなかった植物に出会い、その写真を撮れると期待できる。
その期待通り、図鑑を観て名前は知っているが、実物にはまだ出会っていない植物がいくつもあった。しかも、期待通りにその多くには名札があり、家に帰って写真と図鑑を見比べて、これは何者かと調べる手間も省けた。
図鑑を観て名前は知っているが、実物にはまだ出会っていない植物の中でも、エゴノキは花が下向きに咲き、純白で芳香があるということで、図鑑の写真とともに私の記憶にあり、出会いたいと思っていた植物の一つ。
大きな看板にエゴノキの名前があり、この一角にエゴノキがあると判った。そう広い一角では無かったので、エゴノキを探して3周する。しかし、私の記憶にあり、その特徴でもある花が見つからない。樹木に掛けられたどの名札にもエゴノキという名前は無い。よって、どれがエゴノキか判らない。「花の時期じゃ無いのか」と諦める。
家に帰って図鑑で確かめると、エゴノキの開花は12月から3月とあった。「なら、今が盛りじゃ無ぇか」と思って、ハタと気付いた。おそらく、エゴノキはそこにあって、花も咲いていたのだ。ちょうど、ヒメサザンカも花の盛りで、同じ白い花で、その近くにエゴノキも花を咲かせていたに違いない。しかし、注意深さに欠ける私は、どれもヒメサザンカと思い込んで、その存在に気付かなかったのであろう。
エゴノキの写真は後日(約一ヶ月後)、平和創造の森公園へ出かけ、撮った。
エゴノキ(斉○果):公園・添景
エゴノキ科の落葉高木 原産分布は北海道南部以南、沖縄、他 方言名:ロクロギ
広辞苑に「斉○果の字を当てるが、・・・」という記述があったが、○の字が難しい字で、当用漢字では無い。ゴチャゴチャしていてどういう字なのか老眼鏡をかけても判らなかった。エゴノキという名前の由来は『野外ハンドブック樹木』に「実の皮が有毒で、これを食べた時、喉を刺激してえごいところからでたものと思われる」とあった。別名をロクロギと言い、これは方言名にもなっているが、挽物細工の材に使われるところから轆轤木だと思われる。もう一つ、シチャマギという方言名もあるが、これについては不明。
果皮は有毒で魚毒に使われ(魚毒による漁は、今は禁止されている)ていた。種子からは油が採れ、また、サポニンを含んでいて、石鹸としても利用された。材は床柱などに使われ、挽物細工・玩具などにも利用されるとのこと。
高さは10mほどになる。陽光地を好み、乾燥地でも湿地でも土壌を選ばず、成長は速い。自然に円錐形の美しい樹形となり、剪定は好まない。花は白色、芳香があり、房状となって下向きに咲く。開花期は12月から3月。採種期は9月から11月。
花
実
花の群れ
記:島乃ガジ丸 2011.3.22 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行