ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

不倒翁

2013年10月25日 | 通信-環境・自然

 今年は台風が多い。6月下旬から2ヶ月半ほども続いた干ばつがあって、作物がほとんどできないという試練を新米農夫は経験したが、干ばつが終わったと思ったら今度は台風だ。10月になると23号、24号、26号、そして今週水曜日から大東島を暴風圏に巻き込んだ27号。27号は沖縄島にも強風の影響を与えた。
  台風が来るたんびに私は、実家へ行き、宜野湾の畑へ行き、ナッピバルへ行きそれらの台風対策をやっている。もちろん、住まいであるアパートのそれもやっている。台風が通り過ぎると同じ個所を全て回って、台風の被害状況を確認し、補修するところがあれば補修している。そういったことによる時間的損失は大きい。
 今回の27号に関して言えば、火曜日に宜野湾の畑の台風対策、水曜日にナッピバルの台風対策、昨日は実家の台風対策と我が住まいの台風対策をした。宜野湾の畑ではたいした対策は無く、そこまでの往復の約30分。ナッピバルでは、飛びそうなものを飛ばされない箇所へ移動し、テントをたたむなど約1時間。実家も対策はたいしたことないが、往復の時間が約1時間。被害状況確認も同じ時間なので計5時間の損失となる。
          

 5時間、たいした時間では無い。だけれども、台風が来なければ使う必要の無い時間、また、実家が早く売却できていれば台風が来ても2時間の損失は無い。いや、そもそも実家が早く売却できていれば、実家の管理、荷物の整理処分、ツイタチジュウグニチの神事などのために実家に通い、作業に費やす多くの時間も無くて済む。「無駄な時間だぜ」などと考えて少し面白くない気分になる。が、しかし、「待てよ」と思い直す。
 「無駄な時間」なんてもしかしたら存在しないのではないかと思い直す。実家の管理などに費やす時間は私の収入(金を儲ける)にはならない。収入にならない労働は無駄だと考えれば無駄に違いないが、収入にならない労働だけど何かの役に立っていると考えればちっとも無駄では無い。何かの役に立っているか?・・・立っている。
 家を売却するにあたって、家の中のモノの整理処分は必要なこと。家の売却は私のこれからの生活が快適になるために必要なこと。よって、実家の管理などに費やす時間は私の幸せのために役に立つこととなる。淡々とやっていけばいいのだ。
          

  そう考えれば、台風対策している時間も無駄では無い。畑小屋が倒れないため、畑の作物が無事育つための作業だ、将来の私の幸せのために役立っている。台風が来るたんびに同じことを何度も繰り返しているが、それも淡々とやるしかない。抜いても抜いても生えてくる雑草の除去も淡々の作業だ。土を耕し、種を播くのも淡々だ。
 広辞苑で面白い言葉を見つけた。それが表題の「不倒翁」、フトウオウと読む。字の意味から考えると「倒れない爺さん」となるが、「起上り小法師」のこと。起上り小法師は知っている人も多いはず、オキアガリコボウシと読み「達磨の形に造った人形の底におもりをつけた玩具。倒してもすぐに起きなおる」(広辞苑)のこと。
 干ばつで農作物に多大な被害が出たとしても、挫けずにまた一からやり直す。台風で被害が出ても淡々とやり直す。それを1年に何度も繰り返し、何年も同じことを繰り返す。倒れても倒れてもその都度起き上がる。そんな中できっと幸せに浸れる時間もあるはず。不倒翁だ、倒れないオジーだ、そんなオジーに私はなりたい。

 記:2013.10.25 島乃ガジ丸