沖縄の、今年の梅雨はいかにも梅雨で、雨の日が多い。雨の日は、不快指数の高い蒸し暑い日も稀にあり、少し肌寒いと感じる日も稀にあるが、平均すると概ねは過ごし易い。肌寒いと感じる日になるともう、私にとっては天国にいる(行ったこと無いけど)ような気分。気持ち良く寝られて、ぐっすり眠って、すっきり目覚めることができる。
平均すると概ね過ごし易い梅雨時、晴れた日中も「少々暑くなったなぁ」といった程度で、畑で肉体労働をしても汗が少々滲む程度である。梅雨時はまだ、暑さが“少々”で済むのである。“少々”の付かない暑さは6 月下旬の梅雨明けからとなる。梅雨明け後には“非常に”とか“死ぬほど”とかの形容詞が付く暑さがやってくる。
旧暦4月から5月(今年は4月29日が旧暦4月1日)頃のことを沖縄では若夏と言う。若夏の頃は梅雨でもあるが、梅雨の合間の晴れた日はとても過ごしやすい。その前、旧暦2月から3月を”うりづん”と呼び、うりづんから若夏にかけては、晴れていればとても爽やかな気候となる。東村ではツツジ祭りがあり、伊江島ではユリ祭りがあるなど花の季節でもある。人は何だか楽しい気分になり、動 物たちは恋の季節だ。
その頃の花については『折々の花その1(春)』で紹介したトベラ、サンゴジュ、ネズミモチ、ゲットウ、ピンクダチュラ、テッポウユリ、カイエンナットなどの他、うりづんの頃はバンマツリ、キワタノキ、クチナシ、ミカン類、ミッキーマウスノキ、ウコンラッパバナ、カエンボクなどがあり、若夏の頃はブッソウゲ、ゲッキツ、キントラノオ、アリアケカズラ類、ゴールデンシャワー、オオムラサキシキブなどがある。
今(5月下旬)は若夏の頃、私の畑なっぴばるでも野菜や果物の花が咲いている。も ちろん、タンポポやカタバミなど雑草の花も咲いている。畑の近所ではテッポウユリやゲットウの花が満開になり、向かいの森の中へ入っていくと、ギョクシンカの花がひっそりと咲いていた。畑の果物、グヮバやパパイヤ、バナナなどは実も着けだした。
動物たちの恋の季節については、先週の『蟲の季節』で書いた通り、そこで紹介したいくつもの交尾写真で証明した通り、若夏の頃はいろんな種類の虫たちがあちらこちらで愛を交わしている。ガジ丸HPでは『子作りの季節』でキオビエダシャクやオビキンバエの交 尾、オウゴマダラの産卵など、『子育ての季節』ではヒヨドリ、メジロ、ズアカアオバトなどの巣を紹介している。いずれも今、若夏の頃の写真である。
動物の内である人間もまた、若夏の頃には恋をしたくなるはずなんだが、私の友人たちはもう老年に近いオッサンだからか、そんな話はとんと聞かない。ただ一人、東京の友人I氏が、この5月に結婚した。彼が恋をして、その結果の結婚だったのか、老い先の寂しさに不安を感じての結婚なのかは、確認していないので不明。
かく言う私は、老年に近いオッサンにも関 わらず春夏秋冬関係なく恋をしている。恋の季節がほぼ決まっている虫たちに比べると心はふしだらなのである。恋が成就した試はないので、体はふしだらとはなっていない。威張って言えることではないが・・・。
若夏、雨が多くて鬱陶しい日々が多いが、晴れた日はウキウキ楽しい日々。若夏の季節が終わる頃になると、梅雨が明けて灼熱の日々となるので、今それを想像するだけで気が滅入ってしまうほどだ。若夏が終わる頃、沖縄戦が終わった。その日は梅雨らしく雨だったようだが、人々の気持ちは泣きたいほどホッとしたに違いない。
記:2014.5.27 ガジ丸 →沖縄の生活目次