私は、だいたい10月から6月までの9ヶ月の間は、低血圧の女子高生のように朝が弱い。7時過ぎに目は覚めるが、体はだるいのでベッドの上でだらだらし、起き上がるのは8時前。それから朝食を作って、食って、片付けて、歯を磨いて、髭剃って、顔洗って、糞して、ゴミ出しなどをして出勤する。出勤時間の9時に、いつもギリギリだ。
6月の下旬、梅雨が明けると沖縄に夏が来る。そうなると低血圧の女子高生は、早起き症の老人に変身する。朝、5時頃、目が覚める。天然の目覚まし時計のせいだ。
寝ている私の頭から約2m右斜め上方向にトベラの高木があり、その並びにヨウテイボク、クロキ、クロトン、ヤドリフカノキ等々の樹木が、大家の庭からアパートの庭にかけて植えられている。トベラには小鳥たちも多く寄り付くが、セミにも好まれている。アパートの駐車場には高さ3mほどのトウネズミモチがあって、これにもたくさんのセミが寄り合う。この時期、朝の5時頃、ギャーギャーとセミたちが一斉に喚く。
玄関を出て、1階へ降りる階段へ向かうと正面に隣の家の庭が見える。その庭の中心に植栽された樹木は、高さ6mほど、枝張り8mほどの大きな木。ホルトノキという名前。この木はまた、けたたましくセミの声を発する。ベッドの傍のトベラにしがみついている数の10倍以上、セミがしがみついているにちがいない。
センダンと共に、ホルトノキもセミが好む樹木として知られている。セミの盛りにはぎっしりとホルトノキの幹を覆う光景が見られる。ヒッチコックの映画「鳥」を連想したりして、セミ色に変化したホルトノキの幹を眺めていると、気味悪くなったりもする。
ホルトノキ:緑陰樹
ホルトノキ科の常緑高木 国内では関東南部以南に分布 方言名:ターウルサー
方言名のターウルサーは田を潤すという意。葉が田畑の肥料になったのだろう。方言名は他に、ターラシ、ターラシサー、チンダーサー、ツンナマキなどがあって、沖縄に自生していたことが解る。ところが、関東南部以南の他府県にも元々あったはずなのに、ホルトノキ(ポルトガルの木に由来しているらしい)と江戸時代に和名が付けられたとのこと。なぜだか不思議。各地方地方に行けば、その土地の方言名があるのだろうか。
浦添市の市木となっている。
花
実
記:2004.7.14 島乃ガジ丸 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行