猿は無視
知的生命体の住むある星に体色が緑色の猿がいて、名前はその見た目通りミドリサルといった。そのサルから進化した生物がいて、それがその星を支配する知的生命体。ミドリサルより体がずっと大きいので、生物としての名称はオオミドリサル。
チタマ(地球)に住む知的生命体はヒトという名称だが、ヒトは概ね好戦的で、しかも傲慢であった。恒星間移動もできるほど科学が発達したヒトは、資源を求め他の星へどんどん進出していき、その星の資源を、ある場合、例えばその星の知的生命体が十分進化していた場合は武力でもって強引に不公平貿易をし、別の場合、例えば、その星の知的生命体が十分進化していないと判断した場合は、有無を言わさず資源を略奪した。
ある年ある日、ヒトはオオミドリサルの住む 惑星へ降り立った。その星を代表する知的生命体がオオミドリサルであることを知ると、ヒトは貿易の話などまったくせずに、圧倒的武力を背景に、好きなままにその星の資源を略奪していった。
オオミドリサルはその見た目で「進化が不十分」とヒトに判断されたのだ。オオミドリサルはその名の通りサルに似ていた。「猿は無視」とされたのであった。
映画『猿の惑星』は壮大な想像力から生まれた映画だと思う。内容は哲学的でもあり、優れた作品だと公開当時評価されている。あー、それに比べ、私の想像力の何と貧困なこと。上記はオオミドリサルハムシという名から貧困な想像力が生んだ話。
オオミドリサルハムシ(大緑さる葉虫):甲虫目の昆虫
ハムシ科 南西諸島に分布 方言名:不詳
小さなカナブンかと思うくらい大きめのハムシなのでオオ(大)、体が緑色をしているのでミドリ(緑)、葉を食べるのでハムシ(葉虫)などというのは解るが、サルが不明。見た目が猿に似ているということはない。木登りが上手なのかもしれない。
体長は8~11ミリ内外あり、よく見かけるウリハムシ6ミリ内外、カミナリハムシ5ミリ内外に比べて大きい。16~26ミリあるリュウキュウツヤハナムグリ(子供の頃それをカナブンと呼んでいた)に比べるとずっと小さいが、本種の体背面はリュウキュウツヤハナムグリのように強い光沢があり、で、「小さなカナブンか?」と間違う。
琉球列島原名亜種と沖永良部島亜種がある。琉球列島原名亜種は背面が青緑色、沖永良部島亜種は背面が紫青色をしているとのこと。
成虫の出現は4月から6月。寄主はリュウキュウテイカカズラ。
交尾
記:2013.5.28 ガジ丸 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行