ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

決定権は我にあり

2008年05月09日 | 通信-社会・生活

 前に、ウフソーについて語ったが、その中で、「『沖縄大百科事典』によると、ウフは大きい、ソーは性根、思慮で、思慮が大まかで細かいことに気が回らない人をいう。」ってことを書いた。その時じつは、大きな性根ならば、肝っ玉の据わった人、つまり、泰然自若の人とも言えるんじゃないかと思った。で、広辞苑を引く。
 『泰然自若』は「ゆったりと落ち着いて平常と変らないさま。」とあって、鷹揚とか寛容とかいうイメージだ。どうも、大雑把とは違うみたいである。

 さて、大雑把である上に泰然自若の風貌、というか、容姿をした女友達が二人いる。二人とも常々、「痩せなきゃ」とか「痩せたいなぁ」とか仰っているが、その希望はここ何十年も叶えられていない。「痩せたい」というのは口先だけのことだと私は見ている。二人とも、痩せる努力をしているのを見たことが無いからだ。
 その内の一人、三重顎K子がいつだったか、模合(理由ある飲み会、K子もメンバーの一人)の席で、ビールガブガブ飲みながら、肴ガツガツ食いながら、
 「お腹空くとイライラしてくる」と言った。そうか、なるほど、イライラは精神衛生上良くない。健康に生きるためにはお腹を空かせてはいけない。ということは、彼女にとって痩せることは健康でない。よって、彼女が痩せることは金輪際無理となる。
 ※金輪際:底の底まで。どこまでも。とことんまで。断じて。(広辞苑)

 私に美しい映画『中国の植物学者の娘たち』を勧めてくれた友人のSは、一日一食という食生活を続けている。「現代人は食い過ぎ」という彼の見解には私も賛成である。
 先月のある日、泰然自若の容姿をした女友達のもう一人、三段腹E子と「Sは一日一食を続けている」という話になった。そこから、「俺は、平日の晩飯はたいてい豆腐と野菜だけで、週末の三日間は昼飯を食べない。」と、私の食生活を語ると、三段腹は、
 「お腹空いたら我慢できないでしょう」と言った。そうか、なるほど、「我慢できないから食べる」は容認しても、「食べるから太る」は容認していないわけだ。だから、ちょっとお腹が空くと間食をする。よって、彼女が痩せることは金輪際無理となる。

 E子の「お腹空いたら我慢できないでしょう?」との問いに、私はこう答えた。
 「お腹が空くというのはお腹の問題だが、ものを食べるというのは俺の問題だ。食べるかどうかはお腹が決めるんじゃなくて、俺が決めることだ。」と。

  先日、そのE子に会ったので、「今度HPにあんたとK子の話を書くつもりだ」と言って、上記の話をした。すると、「痩せようとは思うのよ」とE子は言う。
 「痩せようと思って、食事の量を減らそうと決心したことは何度もあるさあ。明日からそうしようと思うわけさ。そしたら、今日が最後だからと、その日にたくさん食べるわけさあ。そんなことを繰り返している内に胃袋が大きくなったのさ。で、量がどんどん増えていったのよ。大きな胃がたくさん食べたいと望むんだよね。」とのこと。どうやら、食べものをどれだけ摂るかという決定権は彼女では無く、彼女の胃袋にあるようだ。
 「痩せようと思うたびに食事の量が増えるんだよね。太りたくない人は痩せようとするなって私は言いたいさあ。」とも彼女は言った。食事の量が増えて、その結果として体重が増えたのは彼女のせいでは無く、胃袋のせいみたいである。
          

 記:2008.4.25 島乃ガジ丸