「ヤンバルとは山原と書いて沖縄島中北部の通称」と私はこれまで何度もこのガジ丸HPに書いてきたが、『沖縄大百科事典』を見ると「沖縄島北部、国頭郡の俗称。俗に島尻を下方(しもかた)、中頭を田舎と呼ぶのにたいして・・・」とある。
国頭郡とは太平洋側は金武町、東シナ海側は恩納村以北の町村(名護市は除く)のことで、宜野座村、本部町、伊江村、今帰仁村、東村、大宜味村、国頭村などが含まれる。金武町の南隣の石川市、恩納村の南隣の読谷村からは中頭郡となる。
※注 金武町、石川市は現在うるま市。
というわけで、これまでは読谷村もヤンバルと私はしてきたが、今後は上記のことを心に留めて、ヤンバルという言葉をきちんと使うことにする。
今回紹介するヤンバルクルマバナはヤンバルと名は付くが、ヤンバルクイナのようにヤンバルにしか生息しないものというわけでは無く、沖縄のどこにでもいるらしい。私が見たのも読谷村(これまではヤンバルに含めていたが間違い)と那覇市。なのに何故ヤンバルか?については不明。ヤンバルには俗に「田舎臭い」という意味もある。で、「田舎臭いクルマバナ」とも考えられるが、「じゃあさ、都会的なクルマバナってどんな姿形なのさ?」と問われたら答えようが無いので、その考えは頭から消去。
ヤンバルクルマバナ(山原車花):野草
シソ科の多年草 奄美以南の南西諸島に分布 方言名:バシグサ(八重山)
名前の由来についてはっきり示した資料は無いが、クルマバナについては『沖縄大百科事典』に「花は白色、葉腋に輪散状につく」とあり、この「輪散状につく」からきているものと思われる。輪散状という言葉は広辞苑に無いが、おそらく「花が輪になるように連なってつく」だと思われる。花の輪を車輪に見立ててクルマバナ(車花)。
ヤンバルについてはもっと不確か。ヤンバルは沖縄島北部の通称だが、本種はヤンバル以外でも見られる。比較的にヤンバル地方に多かったのだろうか?しかし、文献の写真は沖縄市で、私の写真は読谷村と那覇市首里。いずれもヤンバルでは無い。
低地の道端、野原に生育する。枝は散開、または地上を這うようにして伸び、長さ30センチほどになる。花は白色で葉腋に数個つける。開花期については資料が無く不詳。文献の写真は12月、私のは首里で6月、読谷村で7月。
花
記:島乃ガジ丸 2013.7.3 →沖縄の草木目次
参考文献
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『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
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『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編