折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

ドキュメント・『ザ・株主総会』④

2006-10-25 | 仕事・職場
第4回 株主総会開会  いきなり「ハプニング」、波乱の幕開け


開会時刻3分前、社長を始め全役員、監査役が入場し、それぞれ所定の場所に着席する。
場内は、水を打ったように静まり返っている。
緊張がひしひしと伝わってくる。


<株主総会会場 ひな壇が役員席、正面が議長席、議長席の右に事務局席>


定刻、小生おもむろに立ち上がる。緊張のため、唇は乾き、のどはカラカラである。

「大変お待たせいたしました。定刻となりましたので、始めさせて頂きます。社長は議長席へお願いします。」とマイクの力を借りて、どうにか開始の口上を述べた。

社長が議長席に立ち、おもむろに水差しからコップに水を注ぎ、「ぐびっ」と一口飲む。社長も緊張しているに違いない。

手元に広げた台本に目をやり、本日出席の株主の人数とその株式数、議事進行上の注意事項等を読み上げ、当期の会社の活動状況を示す「営業の概況」の説明に入ると、場内がにわかに騒がしくなってきた。

総会屋がヤジ攻勢を強め、それを牽制しようとする社員株主との間で激しい応酬があり、険悪な雰囲気が漂い出している。

すかさず顧問弁護士から小生にメモが入る。「議長、『静粛に』と注意されたし」
そのメモを議長に届けて、事務局席に戻ると、会場の総会屋が、「そこの事務局の『ギョロ目』(小生のこと)、チョロチョロするんじゃない」と大きなヤジで事務局の動きを牽制しようとする。

『静粛に願います』とすかさず議長が総会屋のヤジを遮る。先ほどの、メモの効果である。

開会から約15分、「営業の概況」の説明が終わり、監査役の監査報告が始まろうとした矢先に、そのハプニングが起こった。

70歳過ぎの年配の総会屋で自己流の会計論を延々と開陳し、総会を故意に長引かせることで会社側の顰蹙を買っているIと言う株主がいきなり立ち上がって、監査役の所に行き、一言二言何か言った。

それを近くで見ていた社員株主が、I株主を席に連れ戻そうと手を引っ張ったところ、何せ体力の無い老人のこと、体のバランスを崩して、その場に倒れ込んでしまった。

それを見て、待ってましたとばかりに、何人もの総会屋が一斉に立ち上がって議長席の前に詰め寄り、口々に「暴力総会だ」、「この総会は無効だ」、「休憩だ」とがなり立て、「蜂の巣を突っついた」ような騒ぎとなる。

それまで、みんなで声を出して議長をサポートしていた社員株主も思わぬ事態の発生と、それをきっかけに、一気に攻勢を仕掛ける総会屋の勢いに押されて、株主席で沈黙してしまう。

かくして、株主総会は、はなから波乱の幕開けとなり、早くものっぴきならない場面を迎えた。

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