はじめに
愛犬「パール」との散歩コースの途中に1本の大きな柿木がある。
昨年の秋、その木がたわわに実をつけたが、季節が移り、年が代ってもたわわなままでいる、この柿木はこの先どうなっていくのだろうと興味を持って観察していた。そして、先日ついに鳥たちにその命を捧げて一生を終えた。
そこで、この2ヶ月間の観察の経過を写真と文章と俳句で紹介したい。
平成20年11月中旬
愛犬「パール」との散歩コース。
家を出て約5分ほどで柿がたわわに実をつけている場所を通る。
いつもこの道を通って思うのは、誰も柿の実を収穫している気配もうかがえないし、鳥が食べている様子もない、きっと渋柿なのだろう、そして、実が熟して落ちるまで、こうしてたわわのままなのだろうと。
渋柿や たわわのままに 季節行く
枝がしなるほどに実をつけた柿木
平成20年12月下旬
12月下旬のある日。
夕方の散歩で、この場所を通ると、すっかり葉を落として赤い実だけをたわわにつけた渋柿が折からの夕日に輝いていた。
その光景を見て詠んだ句
赤々と 生命(いのち)燃やして 柿たわわ
柿たわわ 夕日に映える 生命(いのち)かな
同時に、そんなに生命(いのち)の炎を燃やして輝いても、人間はおろか鳥にさえ見向きもされない渋柿の姿は、小生の目には哀しく映った。
渋柿は 未だたわわで 哀しけれ
すっかり葉を落として、真っ赤な柿の実だけがたわわに陽に映えている様は実に美しい。
平成21年1月中旬
1月中旬のある朝。
「ガアー、ガアー」と鳴き声をあげながら、渋柿に群がる鳥たち。
朝の散歩でこの場所の近くまで来ると、いつもと違って「ガアー、ガアー」と鳥の声がやけに騒がしい。
何事かと目を凝らすと、何とあの渋柿の木に鳥たちが群がっているではないか。
電線には順番を待つ鳥たちがいっぱい。
そして、すぐそばの電線には鳥たちがたくさん止まって、入れ替わり、立ち代わり熟した柿の実目がけて飛び交っている。
とうとう、渋柿も食べごろの「旬」を迎えたのだと感慨ひとしおであった。
あなうれし 渋柿ついに 旬となり
平成21年1月下旬
それから約10日間。
連日、鳥たちに代わる代わる啄ばまれて、あんなにたわわに実っていた渋柿があっという間に姿を消してしまった。
柿木は「葉」と「実」を落として「枝」ばかりとなってしまったが、また来年には、きっとその枝にたわわに実をつけることだろう。
たわわに実った渋柿が気にかかって、注意して観察してきた2ヶ月間。
期せずして、繰り返される自然界の営みの一端を垣間見た思いである。
渋柿や 鳥に託して 生命(いのち)終え
渋柿や 鳥に託せし その生命(いのち)
葉と実を落とした柿木
来年もたわわに実をつけることだろう。
愛犬「パール」との散歩コースの途中に1本の大きな柿木がある。
昨年の秋、その木がたわわに実をつけたが、季節が移り、年が代ってもたわわなままでいる、この柿木はこの先どうなっていくのだろうと興味を持って観察していた。そして、先日ついに鳥たちにその命を捧げて一生を終えた。
そこで、この2ヶ月間の観察の経過を写真と文章と俳句で紹介したい。
平成20年11月中旬
愛犬「パール」との散歩コース。
家を出て約5分ほどで柿がたわわに実をつけている場所を通る。
いつもこの道を通って思うのは、誰も柿の実を収穫している気配もうかがえないし、鳥が食べている様子もない、きっと渋柿なのだろう、そして、実が熟して落ちるまで、こうしてたわわのままなのだろうと。
渋柿や たわわのままに 季節行く
枝がしなるほどに実をつけた柿木
平成20年12月下旬
12月下旬のある日。
夕方の散歩で、この場所を通ると、すっかり葉を落として赤い実だけをたわわにつけた渋柿が折からの夕日に輝いていた。
その光景を見て詠んだ句
赤々と 生命(いのち)燃やして 柿たわわ
柿たわわ 夕日に映える 生命(いのち)かな
同時に、そんなに生命(いのち)の炎を燃やして輝いても、人間はおろか鳥にさえ見向きもされない渋柿の姿は、小生の目には哀しく映った。
渋柿は 未だたわわで 哀しけれ
すっかり葉を落として、真っ赤な柿の実だけがたわわに陽に映えている様は実に美しい。
平成21年1月中旬
1月中旬のある朝。
「ガアー、ガアー」と鳴き声をあげながら、渋柿に群がる鳥たち。
朝の散歩でこの場所の近くまで来ると、いつもと違って「ガアー、ガアー」と鳥の声がやけに騒がしい。
何事かと目を凝らすと、何とあの渋柿の木に鳥たちが群がっているではないか。
電線には順番を待つ鳥たちがいっぱい。
そして、すぐそばの電線には鳥たちがたくさん止まって、入れ替わり、立ち代わり熟した柿の実目がけて飛び交っている。
とうとう、渋柿も食べごろの「旬」を迎えたのだと感慨ひとしおであった。
あなうれし 渋柿ついに 旬となり
平成21年1月下旬
それから約10日間。
連日、鳥たちに代わる代わる啄ばまれて、あんなにたわわに実っていた渋柿があっという間に姿を消してしまった。
柿木は「葉」と「実」を落として「枝」ばかりとなってしまったが、また来年には、きっとその枝にたわわに実をつけることだろう。
たわわに実った渋柿が気にかかって、注意して観察してきた2ヶ月間。
期せずして、繰り返される自然界の営みの一端を垣間見た思いである。
渋柿や 鳥に託して 生命(いのち)終え
渋柿や 鳥に託せし その生命(いのち)
葉と実を落とした柿木
来年もたわわに実をつけることだろう。