折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

美空ひばり・オン・ヴァイオリン

2006-11-26 | 音楽
今日も先日に続き、美空ひばりを聴いている。
と言っても、彼女が歌っているCDを聴いているわけではない。

今、聴いているのは『川の流れのように』幸田聡子 美空ひばり・オン・ヴァイオリンというCDである。

このCDは、クラシックと演歌のコラボレーションの成功例のお手本とも言える素晴らしいできばえであり、小生の「愛聴盤」の一つである。  


<今日の1枚 「幸田聡子」川の流れのように 美空ひばり・オン・ヴァイオリン>

さて、その聴きどころであるが

『愛燦燦』
マスネーの「タイスの瞑想曲」を思わせる、美しさと、やさしさと、祈りにあふれた世界だ。

『私は街の子』
この曲では、アレンジメントの妙が遺憾なく発揮されている。ヴァイオリンとピアノのかけあいによる、緩急の表現は、サラサーテの「チゴイネルワイゼン」を思わせる。

『お祭りマンボ』
軽快な乗りは、モーツアルトの「トルコ行進曲」を連想させる。

『津軽のふるさと』
これはもうチャイコフスキーの「哀愁」、「憂愁」の世界そのものだ。

『悲しい酒』
この曲だけ、幸田のソロである。技巧の限りを尽くして千変万化するヴァイオリンの音色は、バッハの「無伴奏ヴァイオリンソナタ」の世界を髣髴とさせる。
まさに、「恍惚」の世界に誘われる思いだ。

『川の流れのように』
この「川の流れのように」は、ビバルディ「四季」の冬・第2楽章のイメージに重なる。
このアルバムの最後を締めくくるにふさわしい、優美で、詩情豊かな旋律が繰り広げられている。
全曲を通じて、最も美しい曲に仕上がっている。


このCDが、1999年の日本レコード大賞企画賞を受賞したのも、大いに頷けるところである。


それに気を良くしてか、類似の企画が相次いだ。


小生も、萩原貴子『愛燦燦』美空ひばり・オン・フルート、樋口あゆみ『悲しい酒』美空ひばりオン・ピアノ、『川の流れのように』塩田美奈子・美空ひばりを うたうの3枚のCDを購入し、それぞれ入念に聴き比べて見たが、アレンジメントの良さ、ヴァイオリンという楽器との相性の良さで幸田聡子盤に軍配を上げ た。