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<今日の1枚> (上)ザ・ビートルズ1 (下)ビートルズ・オン・コンチェルト
ビートルズが来日した1965年、小生は大学3年生であった。
当時、ガチガチのクラシック党であった小生は、頑なに彼らの音楽を拒絶するアンチ・ビートルズファンであった。
一方、弟は小生と違ってジャズやロックが大好きで、大のビートルズ・ファンであった。
ある時、その弟と音楽談義になった。
「兄貴は、一度でもビートルズの曲をちゃんと聴いたことあるの。一度も聴いていない人が、批判するのって、おかしくない。」
まさに、きつ~い一発だった。
その時を契機に、ビートルズを聴き始めたが、フルトヴェングラーのベートーヴェンや、マイルス・デイビスの「枯葉」を聴いた時のような、強烈な興奮は味わうことが出来なかった。
そんな小生が、柄にもなく息子が高校生の頃、誕生日のプレゼントにビートルズのベストアルバムのカセット・テープを贈ったことがある。
高校生にもなれば、ビートルズぐらいは聴くだろうと、プレゼントしたのだが、まさか、これが彼のビートルズの音楽への伝道役を果たすことになるとは、その時は夢にも思わなかった。
この間、息子の家に行ったら、CDラックの中にあの時小生が贈ったカセット・テープが、中央に鎮座していた。
まだ、大切にしてくれているんだ、と嬉しかった。
息子とは、一度だけビートルズの話をしたことがある。
その日、小生が羽田健太郎がビートルズ・ナンバーを古今のピアノ協奏曲の名作とドッキングさせた、「ビートルズ・オン・コンチェルト」のCDを聴いていると、息子が入ってきて、
「何、これビートルズなの?」と聞いてきた。
「ビートルズとピアノ協奏曲とをアレンジしたもので、結構気に入って最近良く聴いているんだ。ビートルズって、こんなに美しい曲だったんだと再認識したよ。」
「おれ、ピアノ協奏曲知らないから、何とも言えないけど、シンプルなオリジナルの方がいいな。」
彼の答えを聞いて、確かに、本物のビートルズ・ファンはこんな聴き方は、きっとしないのだろうなと、思ったことを、今懐かしく思い出している。