折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

80年もの風雪に耐えて

2006-08-03 | オーディオ談笑会
名曲喫茶ライオン、今も健在!

「今、ネットを検索していたら、『ライオン』と言う名曲喫茶を見つけたんだけど、そこにしない。」

「何!!『ライオン』まだやってるの!懐かしいな!」
「談笑会」のメンバーKさん、Mさんとのメールでのやり取りである。

Mさんが、ウイーン、プラハ、ブタベスト等に旅行するので、その壮行会をやろうと言うことになって、小生が場所を探すことになっていた。

Kさんも、Mさんもその昔、大学時代に渋谷にある名曲喫茶「ライオン」には足しげく通ったとのこと、場所は文句なく「ライオン」に決定。

当日は、先ず「美登利寿司」で腹ごしらえ。
この寿司がまた格別にうまかった。

続いて、昔の恋人に会いに行く心境?で一同期待に胸を膨らませて「ライオン」に向かう。

店内に入ると、木造の床は歩くたびに、みしみしと音をたて、椅子は今にも壊れてしまうのではないかと、心配になるほどの年代物。

何か、昔の形に一切手を加えて欲しくない、とそれぞれの調度類が、自己主張しているような、80年と言う長い風雪に耐えてきた店の歴史を物語る、そのたたずまいに、先ずはびっくり。

ここだけ「時間が止まっている」世界のように思えてくる。

コーヒーを飲みながら、店内に流れるブラームスのクラリネット五重奏曲に耳を傾ける。

リクエスト可と言うことで、持参したカール・ベーム指揮、ウイーンフィルによるモーツアルトの「レクイエム」を聴く。

やわらかで、大らかで、ゆったりと心地よく耳に響く音である。決してリスナーを疲れさせない音でもある。聴いていて、「ああ、求めている音が、ここにある。」と感じた。

店には、ぼちぼちとお客さんが入ってくる。
中には、昼寝をしていると思われる人もいるが、ここに来る人は、一杯500円のコーヒーで、それぞれの「至福の時」を過ごす人が大半なのだと思う。

そのような人たちがいて、その人たちに支えられて、きっと「ライオン」の今があるのだろう。

小生は、「ライオン」は初めてだったが、このような店が80年も続いてこれたこと自体が一つの「奇跡」のように思われ、この奇跡がこれからも、ずっと続くことを心から願った。

今度は一人で来て、半日ぐらいゆったりと過ごしたい。