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折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

言葉の重み

2007-07-24 | 武道
先日開催された『居合道特別講習会』に参加した。

この特別講習会は、範士八段クラスのご高名な先生をお招きして、先生の含蓄に富んだ講話をお聞きできると同時に、親しく先生のご指導が受けられる、貴重な機会ということで、毎回県下から多くの居合い愛好家が参加している。

小生が所属している居合いサークルも、遠路2時間かけて参加した。

今回講師をつとめられた、先生は範士八段で、現在居合道委員会の幹事をされており、全日本剣道連盟が製作した『全日本剣道連盟制定居合』と言うビデオの演武をされるなど大変ご高名な先生である。

深い修行に裏打ちされたお話しは、どの話しも一々言葉に重みがあって、深くうなずきながら拝聴した。

ご高名な方にもかかわらず、気さくなお人柄とお国言葉の交じった朴訥とした話し方は、或る時はユーモアを交えてわかりやすく、また或る時はご自身のシリアスな体験をさりげなくお話になるなど、話の中身にすっかり引き込まれて、講話時間の1時間がまたたく間に過ぎてしまった。

そんな先生のお話の中から、印象に残った話を断片的であるが要約して紹介したい。

武道についての全般的なお話の要約

・ 武道には、入りはあっても終わりはない。一生が修行
→19歳でこの道に入り、爾来40年余未だ修行途中の身で、この道の奥の深さを痛感している毎日。

・ 武道は、偉大な先達が残してくれた『文化』

・ 武道の文化は、精神文化
→武道の本質は『切りあい』、『殺し合い』にあるが、多くの先達たちによって剣の理念が極められ、それが精神文化に昇華されて現在に受け継がれている。
→武道は、心身の鍛錬を通じて養われる『人間形成』の場。
     
・ 武道国際化の流れ
→この武道の精神文化を正当に評価しているのは外国。  
→外国の人たちは、この武道の心を素直に理解し、共感してわざわざ日本まで修行に来る者までいる。
うかうかしていると、日本人は外国に遅れを取ることにもなりかねない。
→今や、日本の武道は世界で注目されている。その、武道に携わっていることにわれわれは誇りを持たなければならない。

先生は、外国から見た日本の『品格』を現すものとして、

『茶道』、『華道』、『書道』とならび『武道』が堂々と入っていることを上げて
心身の鍛錬を通じて養われる、人間形成の場としての武道の役割が世界において認知されているのは、うれしいことである、と述べられた。

・ 今こそ武道を
  
 →反面、わが国の現状を見ると『親殺し』、『子殺し』など、精神の荒廃が顕著になっている。
このような時代だからこそ、人間形成の場としての武道の役割が求められている。
→武道での『世直し』。
→日本の親たちの中には、武道を暴力と結び付けて考える人たちがいるが、武道には、『対すれば、和す』と 言う言葉もあるように、相手を思いやる『慈愛』の心が武道の心である。

武道の修行、稽古についてのお話の要約

・ 他人と同じことをやっていたのでは、うまくなれない
→『居合馬鹿』、『居合狂い』と奇人、変人扱いされるほど生活のすべてを、修行、稽古に打ち込んだ末にようやく『背中で風を感じる』境地を得た。  
 
→真夜中の稽古 
先生は、自分の稽古時間を作り出すため、夜中の12時から1時までの1時間明かりを全て消し去った真っ暗闇の道場で無心に真剣を振られているとのことである。

・ コツコツと『常』の稽古を積み上げていく努力
→審査会や試合の前になって一生懸命稽古しても、常の稽古を積んでいない人は一目見てすぐにわかってし まうものである。毎日の稽古が大事。

・ 心の内に『敵』を想定する
→形だけでなく、形の中にある心を学べ、技に命を吹き込め。
→心の内に『敵』を想定しない居合は、刀を振る踊り。

講話に続く実技でも、これまでお招きした先生方とは一味違った指導方法で、『目から鱗』の思いを何度も味わうなど、午後3時半まで行われた特別講習会は有意義な1日となった。

初稽古・初試斬

2007-01-25 | 武道

<居合い・初稽古風景>
居合いの稽古は月・水・金の週3回
午後7時から午後9時までの2時間
おこなわれている


1月22日は、居合道の初稽古、抜刀道の初試斬
の日であった。

紋付・袴・白足袋で威儀を正した3人の先生方
(7段1名、6段2名)の姿を拝見して、身が引き
締まると同時に、日本古来の着物の持っている
美しさに心引かれ、いつかは自分も揃えて見たい
と言う思いを強くした。

当日は、先生のほかにも2人のメンバーが紋付・
袴を着用、当日の出席者11名のうち5人が正装
と言うことで、稽古場も自ずと粛然とし、緊張感
をはらんだ初稽古となった。
先ず、各自が基本練習で体をほぐした後、今年の
初稽古ということで早速、全剣連制定居合12本
を全員で抜いた。

正月休みが長かったため、この2ヶ月くらい刀を
抜いていないので、最初のうちは中々思うように
体が動かず、調子が出ないまま初稽古は終了。



<抜刀・初試斬風景>
抜刀道範士8段の先生の
袈裟切りで見事に両断された巻き藁


その後は、居合いと抜刀に分かれて、それぞれ
稽古を行った。

抜刀も居合い同様、しばらく練習から遠ざかって
いたこともあり、思うようには斬れずにこちらも
不完全燃焼。

今年の初稽古は、意気込みとは裏腹に不出来な
スタートとなった。

高い壁

2006-11-29 | 武道
先日、今年最後の居合道の公式大会(出場選手277人)があり、小生も参加した。

今年の目標である大会での『初戦突破』は、今回も叶わず、「有終の美」を飾れなかった。残念!!

初戦で敗退したため、その後はこれから自分が目標とする 段、 段クラスの世界がどんなものか自分の目で確かめるべく、彼らの試合の「見取り稽古」に専念した。



落ち着いた所作、背筋がピンと伸びた美しい立ち姿に自ずと風格がにじみ出ている。
そして、速くて、正確な「抜きつけ」、「切り下ろし」、見とれるほどに美しい「納刀」、「仮想」の敵を的確に捉えている「目付け」どれ一つをとっても、自信に溢れ、見ていて圧倒された。



昇段審査会では、3段まではほぼ全員が合格しているようだが、4段以上になると全く逆で、合格者は数名で、ほとんどの人が不合格である。

以前から3段と4段以上との間には、超え難い『高い壁』 があると言う話を耳にしていたが、今回4段以上の試合の見取り稽古を通して、そのことを実感 した。

4段の審査を受けるためには、3段受有後3年以上経過していることが必要であると審査規程に定められている。

しかし、今まで、どうして3年間も必要なのか、その意味が今ひとつわかりかねていたが、この年という期間には実に重い意味 があることを今回初めて理解できたように思う。

即ち、それは、ただ漫然と練習を繰り返すだけでは絶対にこの『壁』 を克服することはできない、と言うことをはっきりとわからせてくれたように思う。

そして、日頃の修行の質と量即ち、『修行の深さ』 と言うべきものが問われているのが4段審査会であり、そのためには最低 でも3年間の修行が必要なのだ、それほどに4段と言う段位は『価値』 と『重み』 のあるものなのだと言うことを、奇しくも彼らの試合が教えてくれていた。

今日は初戦突破の壁は乗り越えられなかったが、勝つこと以上に、もっと、もっと大きな収穫があった大会であった。

新米3段にとって、その道はとてつもなく険しく 果てしなく遠く 思われる。

ちょっと寄り道②

2006-07-26 | 武道
居合道講習会


「形に、生命を吹き込む」

定年退職後始めた趣味の一つに「居合道」がある。

来る10月に昇段審査会があり、小生は今回、3段に挑戦すべく、精進している。
しかし、この年になると、どうしても「このくらいでいいか」と、「楽」をしようという気に陥りがちになる。

これではいけないと、大会の試合や講習会に参加することで刺激を受け、自分自身を奮い立たせることにしている。

今回の講習会は、7月23日(日)に行われ、県下から愛好家150人が参加した。

茨城県の著名な先生が、特別講師として見えられ、「講話」と「実技」のご指導をいただいた。

以下、先生の「講話」の要旨をご披露したい。

「仏作って、魂入れず」と言うことにならないようにして下さい。
制定居合12本の形を覚え、しっかりと身に付けることは勿論大切ですが、形をおぼえること、そればっかり稽古していると言うことはないですか。

それだけでは、進歩がありませんよ。
例えば、「切り下ろし」一つをとっても、「手の内」が習得できているかどうかで

天と地の開きが出てしまいます。
「手の内」を習得できていない「切り下ろし」は、形は切り下ろしでも、本当の切り下ろしではありません。「似て非なる」ものです。

この点一つを見ても、その人の修行の程度がわかります。
形をなぞるだけの稽古では、進歩しません。

形は、一つの結果です。大切なのは、結果が出るまでの過程です。この過程の中に
学び、身に付けるべきところがいっぱいあります。

ですから、この過程に目を向け、そこを意識して稽古することが大切です。
難しいことかもしれませんが、「形に生命を吹き込む」つもりで稽古してください。

そうすれば、形にとらわれない、おおらかで、伸び伸びとした居合いが身につくはずです。

今の話を、心の片隅において、修行して見てください。


「目から鱗」の思いであった。

朝10時から午後4時まで、ハードな練習でくたくたになったが、沢山の刺激を受け、収穫の多い、充実した1日であった。

講師の先生の実技指導を見守る受講生