生きていて、何が生きがいですか、と聞かれて、ただちに返事ができない。何となく、生きているだけで、そのくせ、生身の自分自身の身体や本心は、貪欲に自分の命を守るべく、全身の各機能をフル回転させているようである。
本人の自覚や、配慮とは関係なく、各部分で自主的にその作業、仕事がなされている。そもそも、身体の見栄えや、心持ちなど、本人の努力なり、意識的な生活が反映される部分も多いが、まったく、本人の自覚を要することなく、基本的な、生命維持の活動がなされていて、まさに、生かされている状態である。
無自覚で、気付けば世の中におり、親がいて、周囲の人の影響をうけつつ、自我が芽生え、用意されたレールの上を、時折選択をしながら、生きてきた。
大きな選択誤りがあったわけでもないが、言ってみれば、大したことのない人生ではある。それでも、ホームレスになることもなく、悲劇のどん底にいたこともない。大恋愛をしたわけでもない。映画やドラマにはなりそうもない人生である。
では、生きがいはないのか。ところが、過去はともかくこれからについては、それなりに、生きがいといえるものを持ちたいと思い始めている。そう思った以上、それは、そのうちに実現するかもしれない。まずは、その気にならなければ始まらない。