文藝春秋は、分量がたっぷりで、なかなか全部を読み通せない。関心のあるところを次々読んでいくというやり方になるのだが、現役時代のケネディと性的関係があったとされる愛人の告白記事には、驚いた。そして、それがどうした、とでもいうようなマスコミの無反応ぶりにも驚く。およそ、ニュースにもならない。
クリントン大統領も、似たような事件があった。それでも、そんなに大きな事件にはならなかったし、ヒュウマンネーチャーということだろう。とすれば、タテマエとして語られるあれこれは、ほとんどウソであって、真相はとても明らかにはできないこともある、ということになる。
身の回りの人間や、学校時代の同級生の人生を垣間見ても、公平とはいえない人生がある。早死にしている者は、何か悪いことをしたのかといえば、まったくそんなことはなく、まさに不条理という他なく、人間というのは、そういう存在であると思うしかない。
品行方正、学力優秀、人類愛に満ちた、世界平和に貢献した人でも、19歳の若き女性を、「合意」のもとに、セックスの相手としての愛人にしてしまうという実態がある。愛人となった女性が、そのキズから立ち直るのは、つい最近なのである。
たいへんな労力をかけ、資金をかけて、選挙戦をたたかい、勝利を得て、大統領になった人物のナマの姿がでてくる。副大統領のジョンソンとの関係も、恐るべきものがある。それらが、この愛人の告白のなかから飛び出してくる。
人間社会が、どのように進展していくのかは、このような風景の現実からおしはかると、どうなっていくのだろうか。腰の悪い、しかし、セックスの強い大統領。愛すべき人なのか、ペテン師なのか、それが自然というものか。