(原題:Redacted)
----あれっ、この映画ずいぶん前に観てなかった?
もう話してくれないのかと思っていたけど…。
「うん。実はどこから話すか迷っていたんだ。
というのも監督が、かつては“映像の魔術師”と言われた
あのブライアン・デ・パルマ。
『キャリー』『フューリー』『殺しのドレス』と、
めくるめく映像で
ホラーやサスペンス、あるいはミステリーなどを
撮っていた監督。
ぼくは東京国際映画祭第一回目の
『アンタッチャブル』上映で彼が来日したとき
その姿が見たくって渋谷まで駆けつけたくらいのファンだったからね」
----へぇ~っ。だったら真っ先に話してくれてもいいじゃニャい。
「う~ん。ところがね、
これが舞台をイラクの戦場に移してのフィクショナル・ドキュメンタリー。
実際に起こった事件をもとに、
米兵による15歳の少女のレイプと
彼女を含む家族惨殺の蛮行を描いたもの。
これまでとはかなり様子が違うんだ」
----あれっ、デ・パルマって
似たような映画を、
前に作っていなかった?
「うん。『カジュアリティーズ』だね。
あれはベトナム戦争での集団強姦殺人。
それと同じ題材をまた撮らなくてはいけないところに、
この世界の救いようのなさがある。
デ・パルマは、さすがに時代へのアンテナは鋭敏で、
今回はフランスのドキュメンタリー、
アラブ系TVやヨーロッパのTVニュース、武装派集団によるネットの映像、
YOUTube、兵士の家族のチャット、軍の監視カメラなど、
異なる視点で事件を検証していくんだ」
---- 『LOOK』を少し思い出すね。
「うん。ただあちらは
監視カメラだけだったけどね。
こちらはさまざまな映像フォーマット。
その中でも軸となるのが
兵士が撮影したプライベートビデオ。
彼はこれでビデオ・ダイアリーを撮り、
映画学校に入学しようと考えているんだ」
----つまり体験によってチャンスを得ようということ?
「そうだね。
彼が任務にあたっているのは検問所。
その中には文学青年もいれば弁護士もいれば、
女と戦争にしか目がないものもいる。
戦争という極限状況の中、
それぞれが本来もっている内面的な性質が
どういう形でねじ曲げられながら外に暴発するか、
またそのときの仲間うちの力関係は?
そしてついに起こった悲劇。
それをまたプライベートビデオが撮り続けるという
このありえなさ。
いま、思い出してもこれは“狂気”そのものだね」
----うわあ。
もっと早く話してくれてもよかったのに…。
「う~ん。
この映画は、そのあとの報復映像まで見せることで、
いま世界が抱える問題をさらに先まで提示。
そういう意味でも、これは確かに問題作ではあるね。
あと、フランスのドキュメンタリー部分では
ヘンデルの『サラバンド』が流れることをつけ加えておこう。
キューブリックの『バリー・リンドン』でも使われたあの曲と
こういう形で再会するとは……」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「こういう映画が作られる時代であってはいけないのニャ」
※正直、観ているのが辛い度
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※画像は「カイエ・ドゥ・シネマ」誌のカバーを飾った本作より。
----あれっ、この映画ずいぶん前に観てなかった?
もう話してくれないのかと思っていたけど…。
「うん。実はどこから話すか迷っていたんだ。
というのも監督が、かつては“映像の魔術師”と言われた
あのブライアン・デ・パルマ。
『キャリー』『フューリー』『殺しのドレス』と、
めくるめく映像で
ホラーやサスペンス、あるいはミステリーなどを
撮っていた監督。
ぼくは東京国際映画祭第一回目の
『アンタッチャブル』上映で彼が来日したとき
その姿が見たくって渋谷まで駆けつけたくらいのファンだったからね」
----へぇ~っ。だったら真っ先に話してくれてもいいじゃニャい。
「う~ん。ところがね、
これが舞台をイラクの戦場に移してのフィクショナル・ドキュメンタリー。
実際に起こった事件をもとに、
米兵による15歳の少女のレイプと
彼女を含む家族惨殺の蛮行を描いたもの。
これまでとはかなり様子が違うんだ」
----あれっ、デ・パルマって
似たような映画を、
前に作っていなかった?
「うん。『カジュアリティーズ』だね。
あれはベトナム戦争での集団強姦殺人。
それと同じ題材をまた撮らなくてはいけないところに、
この世界の救いようのなさがある。
デ・パルマは、さすがに時代へのアンテナは鋭敏で、
今回はフランスのドキュメンタリー、
アラブ系TVやヨーロッパのTVニュース、武装派集団によるネットの映像、
YOUTube、兵士の家族のチャット、軍の監視カメラなど、
異なる視点で事件を検証していくんだ」
---- 『LOOK』を少し思い出すね。
「うん。ただあちらは
監視カメラだけだったけどね。
こちらはさまざまな映像フォーマット。
その中でも軸となるのが
兵士が撮影したプライベートビデオ。
彼はこれでビデオ・ダイアリーを撮り、
映画学校に入学しようと考えているんだ」
----つまり体験によってチャンスを得ようということ?
「そうだね。
彼が任務にあたっているのは検問所。
その中には文学青年もいれば弁護士もいれば、
女と戦争にしか目がないものもいる。
戦争という極限状況の中、
それぞれが本来もっている内面的な性質が
どういう形でねじ曲げられながら外に暴発するか、
またそのときの仲間うちの力関係は?
そしてついに起こった悲劇。
それをまたプライベートビデオが撮り続けるという
このありえなさ。
いま、思い出してもこれは“狂気”そのものだね」
----うわあ。
もっと早く話してくれてもよかったのに…。
「う~ん。
この映画は、そのあとの報復映像まで見せることで、
いま世界が抱える問題をさらに先まで提示。
そういう意味でも、これは確かに問題作ではあるね。
あと、フランスのドキュメンタリー部分では
ヘンデルの『サラバンド』が流れることをつけ加えておこう。
キューブリックの『バリー・リンドン』でも使われたあの曲と
こういう形で再会するとは……」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「こういう映画が作られる時代であってはいけないのニャ」
※正直、観ているのが辛い度
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※画像は「カイエ・ドゥ・シネマ」誌のカバーを飾った本作より。