----またまた間があいたと思ったら、
再開の一発目がこれ?
「う~ん。
喋りやすいということかな。
こういうテレビドラマが元になっている映画は、
基本設定や人間関係は
すでに観客の頭の中に入っていることが前提。
その分、本作における物語の主軸を語るだけですんじゃう」
----確かに、それはあるニャあ。
でも、テレビを観ていない人は
おいてきぼりになっちゃう。
「それはそうなんだけど、
もともと、そういう人たちは
『さあ、休みだから映画でも…』となったとしても
この作品は選ばないと思うよ」
----じゃあ、なぜこの映画を取り上げたの?
「それはね、
これが、観方を変えれば
なかなか興味深い作品だったから」
----スケールが大きいということ?
「いやいや。
それは
この手のテレビドラマの映画化では
よく行なわれていること。
カ―アクションが派手になるとか、
ロケ地が海外に飛び出すとか…。
この『相棒 -劇場版III-』 においては、
交通のアクセスが悪い離れ小島が舞台。
しかもそれは私有地というのがミソ」
----タイトルもそれを売りにしてるよね。
『巨大密室!特命係 絶海の孤島へ』。
でも何が起こるの?
「じゃあ、簡単にストーリーを。
東京から約300キロ離れた島・鳳凰島。
そこでは元自衛隊員たちが訓練のために共同生活を送っていた。
ところがある日その島で
馬に蹴られた男性が死亡する事故が発生。
もとより妙な噂が絶えないその島の実態を調査させるべく、
警察庁次長・甲斐峯秋(石坂浩二)は、
元警視庁匿名係、
現警察庁長官官房付・神戸尊(及川光博)を通して、
特命係・杉下右京(水谷豊)、甲斐亨(成宮寛貴)のふたりを現地へ向わせるよう仕向けるが…」
----へぇ~っ。
その元自衛官たちは
どうしてそんな訓練をやっているの?
「日本が危機的な状況に陥ったとき、
民兵として役立とう、
彼らはそういう使命感で結ばれているワケだ。
ところでフォーンは“予備自衛官”って知っているかな?」
----知るわけニャいじゃん。(笑)
「ゴメンゴメン。
彼ら予備自衛官は非常勤の特別職国家公務員。
ふだんはそれぞれの職業に従事しながら、
一方では訓練に応じ、
有事の際に自衛官として活動する。
今回、島で死んだ男もその予備自衛官の会社員。
これらのことでも分るように、
彼らの共通の目的は“国防”にある」
---それって、最近よく聞く言葉…。
「確かに。
ここ数年、近隣諸国との国境問題が火種となり、
いまや国と国が互いに罵り合うような事態にまでなっている。
この映画は、
そんないまの日本の空気から生まれたと言っても過言ではない。
日本は戦後、長らく平和憲法の下で暮らしてきた。
ところが一部にはその憲法を変えようという動きが出てきている。
彼ら言うところの“普通の国”として軍備も増強し、
有事に備えようというワケだ。
あまり喋ると、
ミステリーの要素もあるこの映画のネタバレになっちゃうから
少し抑えるけど、
この鳳凰島で訓練を行なっているのは、
『もう国任せではダメだ、
自分たちで“平和ボケ”している国民の目を覚まさせよう』という人たち。
しかし、そのことでも分るように
彼らは目的のためなら手段を選ばない」
---ニャるほど。
でも、それは国としても
どう扱っていいか微妙だね。
「うん。
自衛隊、警視庁、
それぞれの思惑が入り混じってくる。
しかも、彼ら民兵は戦いのプロ。
ぼくは、途中までこのドラマが
どういう結末を迎えるのか想像がつかなかった。
なかでも民兵組織のリーダー・神室司(伊原剛志)が、
この国を覆う“平和ボケ”を右京に問い詰めたときには、
いったい、彼がどう返すのか、もう心臓バクバク」
---どう答えたの?
「これは
その目で実際に確かめてもらった方がいいだろうね。
と言うのも、
このシーン、この一言があったから、
今回、この映画を取りあげたというのがぼくの真意。
いやあ、胸のつかえがとれたよ。
正直言って、東映からこのような名セリフが飛び出すとは…。
『男たちの大和 YAMATO』のときもそうだったけど、
東映の監督たちは与えられた題材の中で、
自分の言いたいことを堂々と主張する。
とりわけ今回の右京のセリフには拍手を送りたいくらい。
この映画は大ヒット間違いないだけに、
けっこう大きなインパクトを与えるんじゃないかな」
フォーンの一言「監督はベテラン和泉聖治だニャ」
※『相棒』シリーズのメイン監督だ度
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