ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『クロユリ団地』

2013-04-06 15:05:26 | 新作映画

----オカルトって苦手なはずなのに、
なぜかよく観に行くよね?
「結局、
恐いもの見たさなんだろうなあ。
ぼくが最初に、夜寝られなくなったのは
その昔、NHKテレビでやっていた『耳なし芳一』。
あそこに、自分の恐怖の原点がある気がする」

----夜、平家の亡霊たちが芳一の琵琶を聞くために
盲目の彼を自分たちのところへ連れてくるって話だよね。
「うん。
実は、一時期話題になったジャパニーズ・ホラーも、
そこに原点がある気がするんだ。
ハリウッド映画のように、
うわっ!と驚かせるワケじゃなく、
ただ、何もせずにそこにいる怖さ…。
『リング』は、
貞子がテレビからにじり寄るという
有名なシーンこそあれど、
冒頭から“そこにいる”怖さが映画を支配していた」

----で、これはその監督でもあった
中田秀夫の新作ってワケか。
『リング』はハリウッドでリメイク。
彼も自分で『ザ・リング2』を作ったよね。
「うん。
その彼の作品でも“最恐”
と聞いていたけど、
意外やぼくには大丈夫だったね。
物語は
前田敦子扮するヒロイン、二宮明日香が
“出る”と噂されるクロユリ団地へ越してくるところから始まる。
隣に引越しの挨拶に行く明日香だが、
隣人は姿を見せようとしない。
ただ、毎朝、5時半に目覚ましが鳴り続ける。
いったい彼は?
やがて、明日香は団地の砂場でミノルという少年と出会い、
その隣人が、一人暮らしの老人と知る。
ある日、隣のドアを思いきってあけて中に踏み込んだ彼女は、
そこで老人が死んでいるのを見つける。
そして、その日から不可思議なことが明日香の周囲で起こる。
『オマエ、シヌ』と耳の奥で囁くその声は…」

----ぶるる。
いやだ。やはり怖いじゃニャい。
あれ、でもプレスには
『誰か、ぼくと遊んで』って書いてある。
「いやあ、
これは見せない方がいいと思うけどね。
ぼくはなにも知らずに観たからよかったけど、
結局、これじゃあ、
ラスボスの正体を明かしているようなもの。
この映画、ぼくが怖さを感じなかったのは、
ひとつには、
そのラスボスが少年だったこと。
やはり、とり憑かれるとしたら女性の方が怖い。
長い黒髪というビジュアルもそうだけど、
やはり男性からすると
ただでさえよく分からない女性の方が
霊的存在としては怖い。
それと憑かれることに因果関係があること。
『リング』はたまたま回ってきたテープを見たこと、
そして『呪怨』はその家に憑いている。
いずれも、
自分が恨みを買われるようなことをしたわけでもないのに、
呪われてしまう」

----避けようがないってワケだね。
「そう。
あと、この映画がそれほど怖くないのは
ミステリーだの
ヒロインの心的外傷だのを入れているから。
ホラー意外の要素もあるわけだから
意識がそっちの“謎”の方も追っていって、
怖さを感じる気持ちが半減してしまう。
それと、メイク&音響だね。
ぼくは無音の方が怖いタイプ。
でもハリウッドはこのノリで
『ザ・リング2』を中田監督に作ってほしかったんだろうな」



「床に引きずり込まれるシーンもあるらしいのニャ」2009.4.7フォーン


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