ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『NEXT-ネクスト-』

2008-04-03 22:44:36 | 新作映画
※ちょっと辛口。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。


(原題:NEXT)

「今日は、チャチャッと話しちゃおうかな」
----えっ。これって原作がフィリップ・K・ディックだよね。
そんなことできるの。
「うん。
プロットは実にシンプル。
2分先の未来が見える男クリス(ニコラス・ケイジ)。
しかし、それはあくまで自分に直接関係のあることだけ。
他人や、世界全体の未来を読むことはできない。
だが、そんな彼にFBI捜査官フェリックス(ジュリアン・ムーア)が眼をつける。
というのも核兵器を持つテロリストが
ロサンゼルスを爆破しようとしていたんだね。
彼女は、その陰謀を阻止するべく
クリスの力を借りようとするが…」

----ほんとだ。
フィリップ・K・ディックって
かつては映画化が困難と言われていたのに、
これは分かりやすいね。
「うん。『ブレードランナー』に始まって、
『トータル・リコール』『バルジョーでいこう!』
『スクリーマーズ』『クローン』『マイノリティ・リポート』
『ペイチェック 消された記憶』『スキャナー・ダークリー』と、
これまでに8本も映画化されている。
ただ、それらが原作通りなのかどうか、
この映画を観て、ちょっと疑問に思ったね」

----どういうこと?
「うん。
『博士の愛した数式』のときにも話したけど、
<時間>を扱った映画というのは
いつも引っかかってしまう。
今回も『2分先』が分かると言っているけど、
それはピッタリ『2分先』のことなのか、
それとも『2分先』までの好きな時間を観ることができるのか?
そして、その『時間』は自分で選べるのか?
このあたりが、どうも釈然としないんだ。
もしかしたら、原作にははっきりと記されているんじゃないかと…。
映画では、もちろんこの『2分先』も出てくるけど、
どちらかというと、ほんの『数秒後』が中心となり、
襲撃や銃弾を交わすなど、アクションの軸として使われるんだ」

----mmmmm。
「しかも、映画が進むつれて
この『2分先』ルールが崩れていく。
まあ、これは運命の人として出てきた
リズ(ジェシカ・ビール)によって
その能力が開花したととれなくもないけどね」

----ニャるほどね。
でも、ニコラス・ケイジって不思議だよね。
とてもオスカー俳優とは思えない。
「昨年の日本公開作だけでも
『ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記』はともかくとして、
『ゴーストライダー』『ウィッカーマン』
よほどB級のノリが好きなんだろうね。
でもまあ、こういう俳優が一人くらいいてもいいんじゃないかな。
そうそう、ピーター・フォークがちょい役で出演。
これは嬉しかったなあ」



           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ピーター・フォーク、『刑事コロンボ』だニャ」身を乗り出す

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18 コメント

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最近の原作付って… (よろ川長TOM)
2008-04-04 00:01:29
毎度です。先だって脚本家の全米的ストが話題になって、「なんや、そんなことまで脚本がないとでけへんのか」と驚くと共にあきれたんですが、どうもその脚本面での創作力というか、脚本家のアレンジの腕が昔に比べてすごく低下している気がしてなりません。
聞けばこの作品も『ブレラン』同様に原作とはずいぶんかけ離れた内容だとか。
とすれば、原案としてあとは脚本家の腕次第だと言うことで、つまりはオリジナルストーリーを創りだし膨らませ検証する段階に色々問題がある、というところなんでしょうね。

まあ私はこの作品、期待しなかったせいか楽しめたクチですけど。
返信する
■よろ川長TOMさん (えい)
2008-04-05 13:43:44
こんにちは。

この映画、原作では未来に設定してあるようですね。
フィリップ・K・ディックというと、
難解なインナートリップもののイメージが自分にはあるのですが…。
映画化するとには、
細かいことには眼をつぶって「えいやっ!」と
脚色してるのでしょうか?

そういえば、よろ川長TOMさんのレビュー・コメントの中で、
「評価できない場合は記事そのものを書きません」
というのを見つけて、
あ~あ。これってぼくと同じだなと思いました。
これからもよろしくお願いします。


返信する
困った映画でした (ノラネコ)
2008-04-05 23:16:23
この映画だいぶ前に観たんですけど、どう書いても酷評になってしまい、未だにアップしてないんですよ。
原作は読んでないのですが、仰るようにせっかくの二分間という括りが殆ど生かされてなかったり、まるで一本の話の途中でバスッと切られたかのようなオチといい、本国公開から一年も放置されているのがわかる出来ばえでした。
う~ん、ニコラス・ケイジって本能的にこういうのが好きなんでしょうかねえ(笑
返信する
仰る通りだと思います (よろ川長TOM)
2008-04-06 14:33:16
再びスミマセン。私もF・K・ディックは小説を読んだ個人の脳内でこそ世界観を具現化できる作品で、フツーに考えたら『2001年』かソ連製『ソラリス』並の映像実験映画みたいになって当然なネタだと思うのです。
ある意味、ブレランが飛躍解釈というか、ほとんど原案扱いにしたことでこうした“道が開けた”状態になったのではないかと。

逆に言えばハリウッドではもう原作のテイストを活かした抽象的で哲学的な映画は無理で、やはり欧州とか、むしろPCグラフィックの進化と個人クリエーターが激増している今こそアマチュア作家が生み出してくれそうな土壌ができている気がします。
まあ要するにこの映画において原作は“なかったこと”として観た方がよいのでしょうね。
こちらこそ、これからもよろしくお願いします。えいさんの評はいつも注目&参考にさせていただいています。
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■ノラネコさん (えい)
2008-04-07 12:36:23
こんにちは。

>未だにアップしてないんですよ。

ということは、今後アップの可能性があるということですね。
どういう切り口になるのか、とても興味があります。

ぼくは酷評になるときには、ここで紹介していないんです。
多くの人に映画を楽しんでいただけるきっかけになればというのが、
ここでの基本的な立ち位置なので。

そう、考えると、この映画、
いろいろ疑問点がありながらも
結局、紹介しているということは
それなりに楽しめたってコトなのかも。
それでも、あのラストはないなあ。
「2分間」縛りはどこへ…。
返信する
■よろ川長TOMさん (えい)
2008-04-07 12:45:12
2008-04-07 12:43:51
こんにちは。

そうか、タルコフスキーが
フィリップ・K・ディックを撮ったら
これはとんでもない世界ができあがるでしょうね。

ディックって、
勝手に、自作の映画化の許可を出さない
というイメージを自分の中で作り上げていたために、
こんなに次々と出てくるのが
最初は不思議でした。

やはり映画は別ものと割り切っているのかもしれないですね。

こちらこそ、
今後ともよろしくお願いします。
生前の淀川長治氏の想い出とか、
いろいろお話したいです。
試写室でお隣が淀川氏のときは、
それは緊張したものでした。
返信する
こんばんは (ノラネコ)
2008-04-09 00:41:03
私は建設的な事が書けたと思った時は、酷評でもアップします。
まあ余りにも酷くて、怒りに任せてアップしてしまった事もありますが(苦笑)、酷評できると言うことは、自分にとってはそれなりに印象的だった作品なんです。
むしろ自分の中で毒にも薬にもならないと思ってしまうと、書いても結局アップしない事もあります。
この映画の場合、途中はそこそこ面白いにも関わらず、ほめどころが見えないんですよ。
原作を読んでいたら、何か言える所もあるかもしれないですけどね。
どちらかと言えば、書いてはみたものの、余り関心の無い類の映画だった様な。
う~ん、どうしようかなあ・・・
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■ノラネコさん (えい)
2008-04-10 10:18:46
こんにちは。

そうですね。
ぼくはノラネコさんが書かれた『紀元前1万年』を読んで、
あ~あ、そんな見方もあるんだと感服しました。
もしかしたら、この映画もその延長線上で考えることもできるかも。

思うに、いつの間にか映画はツッコミを入れるのが
あたりまえのような感じになってきましたが、
かつては、みんな科学性や歴史的な考察を無視したその世界を受け入れていましたものね。

ハリウッドの史劇なんてリアリズム無視が前提だった---
今、そういうことを思い出したりもしています。



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Unknown (mig)
2008-04-16 10:49:02
えいさん☆

こんにちは~
細かい事言うときりがない作品でしたね~
えいさんおっしゃるように
2分先ってのが曖昧でした
だってずっと二分先観てたら今がないし(笑)
ストーリー自体よりニコラスの行動、もろもろで楽しみました
ラストはええ~って感じでしたケド。
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■migさん (えい)
2008-04-16 23:48:16
こんにちは。

時間を扱った映画というのは難しいです。
ただ最近、
自分の望みうる最高のラストを作り出すために
タイムパラドックスも何もまったく無視した作りの
『僕の彼女はサイボーグ』を観て、
こういう開き直りも案外いいなと思っています。
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