ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『わが家の犬は世界一』

2005-02-24 23:52:05 | 新作映画
「戌年でもないのに、今年はなぜか犬の映画が多い。
しかもこれまたフォーンの前では話しにくい映画。
というのもこれは
未登録で飼っていた犬を公安(警察)から取り上げられた男ラオが、
犬を取り戻すために孤軍奮闘するお話。
夜の公園で犬を取り締まる警察、犬の肉を売り買いする業者など、
ペットと暮らす者にとっては正視できないシーンが続出。
いったいどこの国のどの時代の話?と言いたくなるが、
なんとこれはお隣り、中国の現在(いま)。
中国では1990年代に入ってから、犬をペットとして飼うのが大流行。
ところが95年に衛生上の問題から
犬の飼育に厳重な制限がなされたのだとか。
その登録料が5000元-------と言われてもピンとこないが、
日本円で換算すると約70000円にもなるのだとか」

-------ふうん、ぼくのためだったらその金払える?
「あちゃっ、フォーンいつ戻って来たんだい。
(これは話をシフトせねば…)
いや、この映画はね。大事な犬を助けるため、
タイムリミット18時間の中、
あの手この手をつくす飼い主ラオの姿を描くんだ。
彼はコネも使えば、替え玉作戦も行う。
若い警官にタバコ代と称して賄賂を贈っては
『いい年して恥ずかしくないのか?』とあきれられる。
でも、このお父さんラオに取っては
口うるさい妻や反抗的な息子より、
無条件で慕ってくれる愛犬カーラがかわいくて仕方がないわけ。
犬だけが自分を認めてくれる…」

-------もしかして、それって自分と重ねてない(笑)?
ま、それはともかくとして、これまた涙、涙の映画ってわけ?
「いやいや、それが全然違うんだ。
映画は生き別れの悲しみといった
センチメンタルな情緒へは向わない。
北京市(権力)が一方的に決めたことに
理不尽と思いながらも従わざるをえない犬愛好家たち(庶民)。
監督は、むしろこのラオの奪還作戦を通して、
現代中国社会への<違和感>を表明している気がする。
おそらく、ぼくも含めてこの映画を観た多くの人たちは、
当局に対して怒りを感じる-------というより、
それ以前にあきれてしまうに違いない。
胡同(フートン)の空き地で警棒を叩き、手を打ち鳴らして
犬を誘き寄せる警官たちの滑稽さと不気味さ。
これって、声高に当局を批判するプロパガンダより、
よっぽど効果的な画だと思うよ」

-----このお父さんもいい感じだにゃ。
「うん、チャン・イーモウの『活きる』で有名になったグォ・ヨウ。
『活きる』撮影の時も村中の犬から慕われた(本当か?)ほどの犬好きなのだとか。
一説には『中国の寅次郎』とも言われているらしいけど、
この飄々とした風采は捨てがたい味があるね」

      (byえいwithフォーン)

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