それにしても、あのチンチン電車の
運転手はこわかったなあ。
「はあ~なんという天文館通りの思い出なんだ」
と指宿枕崎線の電車に揺られながら
しゃべりあう我々でした。
電車の中では次の旅のことに
思いを募らせます。
「あのさあ、このまえ社会の先生が言ってたけど、
次に行く指宿は砂風呂とかあるんやろ。
僕らもそんな砂のところに
テントを張ったら、テントの横で
風呂に入ったりできるぞ」
「そうやなあ、テントの中も
あったかくなるかもなあ」
とかいいながら、はしゃいでいたのでした。
周りで聞いてた九州の人たちも
「よか、よか」
とかいいながらわらって
聞いていたんでしょうねえ。
で指宿の駅に到着です。
電車を降りて、テントを張るべき
場所を探して、買い物とかしながら
海辺の方に向かって行った我々でした。
で、ふと河原を見ると、
砂の気持ちよさそうな砂州があります。
あそこにテント張るかあと
一瞬なりましたが、その先で
指宿の大きなホテルの
中庭みたいなところに、
気持ちよさそうなところがあったので、
そこに貼ることにしました。
なんか言われたらまた砂州にいこう
ということだったのでしょう。
ここは砂場じゃないよ~
砂風呂はいれないよ~
とかいいつつ、そんなに砂風呂に
熱い興味を持たない我々は、
まああまり目立たない森の片隅でしたが
そこにテントを張ることにしました。
で、その日の料理は焼肉でした。
途中のスーパーで肉を買い、
ホテルの片隅の庭の中で焼肉しましたねえ。
うまいなあと、三人とも大騒ぎでした。
たぶん今だったら、
もうホテルの人にとっちめられて
いたでしょうねえ。
頭から砂風呂に投げ込まれていたかも
しれません。
南国の人々の温かさなんかも
あったのかもしれませんね。
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え~っと、三日前から変な旅行の
話しを書いていますが、
これは我々が高校生だったころの
思い出話なので理解しといてくださいね。
今の歳でそんなことしてたら
「高齢のおっさんたち、無謀な旅行」
なんて新聞に載るかもしれません。
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そうして指宿の夜をキャンプで過ごして、
次の日は八代(やつしろ)の方へと向かいました。
「あ~砂風呂には入らんかったけど、
楽しかったねえ」とかいいながら
駅まで向かって歩いていると、
「あれ?これは何のにおい」
どうもなんか変なにおいがします。
ああここは温泉地だから、
蒸気でも出てるのかなあ
と思ったらそれは大間違い。
doironのリュックの中で、
きのう焼肉用に買った
しょうゆの便が割れて
残ったしょうゆが漏れていたのです。
ああ、これはいかんわあ、
ちょっと待ってなあ、
川でタオル濡らしてくるわ
といって行った川を見て
またまた超ビックリ!
昨夜、中州にテント張ろかあ
といってた川が超満水です。
海辺が近いので、潮の満ち引きで
河川水が増減するんですねえ。
「ああ~きのうあそこに
テント張らなくてよかったなあ。
神様に守られたなあ」とかいいつつ、
鹿児島で参ってきた神社に
敬意を払う我々だったのでした。
テントで寝ていて
水があふれてきたら
どうなってたやろ~
とかいいながら
「俺は泳げないぞ~」
「わしは泳げるから引っ張り上げたるよ」
なんていうのんきな会話を
交わすわれわれ。
「高齢者の変な話題どころではなく、
無茶な大阪の高校生が
川に流されて大騒ぎ」
なんていうニュースが流れたかもねえ。
そんな話をしてたら、
ここらで家に連絡を入れとかなあかんな、
とかいいながら海の近くの食堂で
公衆電話に行きました。
しかしねえ、細かいお金がありません。
10円で「元気にしてるから、ガシャ」
と電話しようとしました。
家の電話番号を回し、
つながったと思ったところで
頭の上で大音量の放送が流れ始め、
何も聞こえないまま
「元気にしてる」と連絡した
doironだったのでした。
続く