田代ルートを登り始め、
しばらく行くとこんな祠があった。
なかなか端正な地蔵さんが中にいた。
沢には結構水も多く、
いつもはトレランシューズのところ、
今回は初めての山だから
何があるかわからないので
登山靴できたのは正解だった。
木漏れ日が気持ちいい山道を
どんどん登って行くと、
道端にはチゴユリ、
ホウチャクソウ、
マムシグサ、
ミズヒキの姿を見かける。
相変わらずヒメカンアオイもたくさんあるし、
こ、これはもしかしてカタクリ?
ますますギフチョウとの遭遇の予感が高まるのであった。
こんな祠を過ぎたところで、
ようやく尾根道に出た。
ここが麓で見上げた
もっこりした形の飯盛山への
分岐となる田代峠である。
と、その時林の向こうで
ひらひら飛ぶ蝶の姿が見えたが、
逆光で種類まではわからなかった。
ギフチョウだったらいいのになあ。
再度出会うことを期待しておこう。
やがて大きな岩が行く手に見えてきた。
「磁石岩」である。
このあたりの山には「蛇紋岩」という岩が
ところどころで露出していたり、
登山道にガラガラ埋まっていたりする。
造山運動によって噴出した
マントル上部を形成するカンラン石が
変性したものだそうだ。
変性の過程で、このカンラン石は
磁力を帯びたりする。
その典型的な岩がこの
「磁石岩」
なのだ。
登る前に調べたら、
この岩は方位磁石を引き付けるほどの
磁力があると書いてあったので、
最近はもっぱら携帯GPSに頼っていたけど、
久しぶりとなる方位コンパスを
引っ張り出して持ってきており、
さっそく実験をしてみた。
すると・・・、
おお~確かにコンパスの針が、
岩頭に引き寄せられていくではないか。
そこに建てられてあった説明書きによると
北側がS極を吸引し、
南側がN極を吸引すると書かれてあった。
となると、北がN極を吸引する地球とは正反対?
あ、でも石そのものを
コンパスの針と見なしたらいいわけか。
頭の中で???がめぐってわけがわからなくなった。
こ、これも磁力の作用なのか?
この岩は山から少し突き出た感じで
そこにあるため、
眺めもなかなか良かったぞ。
ミツバツツジの咲く尾根道を気持ちよく歩き、
スタートから1時間50分後に
ようやく龍門山の山頂に到着した。
やった~富士山に頭頂だあ
いよっ、「日本一!」
いやいやここは紀州富士
それに「和歌山一!」でもありません。
「富士」と名がついているので
360度の見晴らしかと思いきや、
見えていたのは紀ノ川とその周辺、
そして和泉山脈といった
北側の景色のみであったが、
まあとにかく登頂である。
標高は本物の富士山より3000m以上低い755.9m。
山頂には三等三角点もあるし
あちこちにプレートも貼られている。
こんなプレートは楽しそうだし、
案内も兼ねているから
貼りたい気持ちはわかるが、
みんながそれぞれ貼り付けたら、
自然環境に負荷がかかるよなあ。
微妙なところだ。
さあ、ここで時刻もちょうどお昼だ。
食事にしよう。
今日はガスコンロを持ってきていないので、
こんな感じ。
いやいや~いつもながらの山ごはん。
ちょっとマンネリかな。
さらなる改善を考えてみよう。
食事を終えて、歩きはじめるとすぐに
中央コースへの分岐に出るので、
右に進む。
このあたりの植物も意外に豊富だ。
もう少し先の初夏の頃になると、
「キイシモツケ」という白い花で
山に雪が降ったようになるらしい。
ヤマブキでも眺めておこう。
と、その時である。
目の前をひらひらと1頭の蝶が飛んで行くではないか。
黄色っぽい羽根に黒い模様。
まさかアゲハではないだろう。
出来れば写真を撮れるほど
間近に見てみたいものだ。
にわかに色めき立つdoironであった。
す、するとまたこちらに向かってきて
10mほど先の枯葉の上に
舞い降りたではないか。
そーっと、忍び足で近づいていき、
とりあえず一枚をパチリ。
そしてさらに近づいて、
飛び立つ直前の状態でもう一枚パチリ。
肉眼ではしっかり確認できなかったので
カメラの画像を再生してみると
そこには、春の女神といわれる
ギフチョウがしっかり写っていた。
てふてふと続く。