よく歩道なんかを歩いていると
ある街路樹の下だけ
異常に汚れているところがあります。
よく見ると、そのヨゴレの正体は鳥のフンで
それはその街路樹に
ムクドリが集団ねぐらを形成することによるものです。
特に今の時期のムクドリは
小規模の集団を作りがちで
あちこちの街路樹をねぐらとして
集団による天敵への備えをしているそうです。
そのムクドリ、街路樹だけでなく
電線にも大量に飛来し
フン害だけでなく
「ギャギャ、ギョーギョー」と
やかましく鳴くことで
騒音扱いをされるという困った鳥なんです。
そのムクドリが、1週間ほど前
我が家の前の電線、といっても
一番高い電柱に張られた電線なんで
高さは20m位あります。
物干しざおでも全然届かない高さの電線に
夕方、大量に飛来してくるようになりました。
それを見たミセスが
「てえへんだ、てえへんだ」と叫びながら
原稿執筆中のdoironの部屋に入ってきました。
執筆中は気が散るので
よほどのことがないと
入らないでといってあったので
よほどのことがあったのだろうと思い
「どうしたん?」と聞くと
「鳥が、鳥が、鳥が」と、鳥みたいに
唇を尖らして言う。
「わかった、今夜は鳥鍋なんやな」というと
「ヒ、ヒッチコックの「鳥」みたい・・・」という
いやいやコックはあなただろうなどと突っ込んだのだが
彼女は真剣な表情のままだ。
「とにかく来て」というので
仕事を中断し、襟首をつままれてついて行って
玄関先で指さす方を見ると
じぇじぇじぇ~
家の前の電線に
びっしり鳥がたかって
ギャーギャー鳴いてるではないですか。
我が家の庭の木がねぐら候補に
あがっているのか?
いやそれより前に、あんなところから
車に大量のフンを
落とされてもかなわない。
いずれにしても、その場所に
陣取られては、うかうか道も歩けない。
その数は、ざっと数えただけでも
300羽ほどいたでしょうか。
このままじゃ家の中がフンだらけになる。
祭の仮設トイレの事件といい
近頃はトイレネタが多い。
ウンがついてくる前兆かもしれんよ。
などという冗談が通じないほどミセスは真剣だ。
だって、家の中にフンが落ちるし
それ以前にあのヒッチコックの映画を
彷彿させて不気味なんだそうです。
「追い払って」といわれたものの
電線ははるかかなたの高さ。
棒切れで届くはずもなく
石なんかは住宅地なので投げられない。
さてさてどうしたものかと思案しつつみていると
ご近所で、車のドアを「バタン」と占める音がした時
2~3羽が驚いたように飛んでいった。
これだ!と思い
試しに「パチン」と手をたたいてみると
4~5羽が飛んでいった
でもまだ電線は真っ黒だ。
ミセスと二人で
手をたたきまくって
集団は半分くらいになったでしょうか。
それでもまだしぶとい奴は半数ほどいます。
そのうち、手のひらが痛くなってきたので
その日は、何羽か驚いて
飛んでいったのでそれくらいにしといてあげた。
あまりになりふりかまっていなかったので
通りかかった通行人に
変な宗教家だと思われなかったかと
あとで二人で反省をいたしました。
そして次の日の夕方・・・
またまた家の前の電線は前日と同じようにムクドリで真っ黒
同じように手を叩いてみても
今度は全然逃げる気配がありません。
生意気に学習しよるんやね。
う~ん。音が小さいからかな?
と思ったので
薄い紙袋を膨らませて作った紙風船を作り
それを手でたたいて破裂させてみた。
パン!
子どもの時に
友達を驚かすのにみんなよくやった
あの紙風船の破裂音は効果てきめん。
大半のムクドリが飛んでいきました。
でも残ったムクドリもいて
それを見た仲間がまた舞い戻ってくる始末。
もうこうなっては
そのあといくら「パン!」としても
一瞬集団がびくっとする程度で
ほとんど飛んでいかなくなった。
「こ、これはまずい」ともう一度考え直して
知恵を絞った。
長い木の先に
以前カラス除けに買ってあった
目玉風船を結び付け
ミセスがパン!とすると同時に
その木をできるだけ高い位置で
振り回してみたのだ。
これが大成功!
一瞬で、ムクドリの集団は
どこかに飛び去って行きました。
しかし、まったく夫婦で
何をやってるんだか。
今頃もしかしたら
ナニコレに投稿されていたりしてね。
しかし、そんななりふり構わぬ
夫婦共同作業が功を奏したのか
以来、ムクドリは一羽もやってきません。
勝った!
自然に対して人間の英知が勝っていたことを
見事に証明することができた。
大自然の脅威に勝つことができた。
もうスズメバチだって怖くない。
よしよし、と思って満足していると
二日後、近所の友達が家の前で空に向かい
ぱちぱちと手をたたいているのを見て
くくくっと笑いをこらえきれなかった
doironなのでした。
あしたの彼が見ものである。
苦労しているようだったら、
目玉のついた最新兵器を
貸してあげることにしよう。