山本兼一著"千両花嫁 とびきり屋見立て帖"を読みました。
"ええもんひとつ とびきり屋見立て帖"、"赤絵そうめん
とびきり屋見立て帖"のシリーズの1冊目です。
最初に手に取ったのが最後の巻で発刊の逆に読んでしまい
ました。
その順でも違和感はないのですがやっぱり順番に読んだ方が
いいでしょうね。
"千両花嫁"
真之介は奉公していたからふね屋のお嬢さんのゆずと
恋仲になり結婚の許しを主人に求めましたが1年後に
店を構え千両の結納金を持って来いと言われました。
真之介は火事で焼けた蔵を中を見ずに借金して買い
ました。中のものは焼けておらずお金を得ました。
とびきり屋という店も構え奉公人も7人います。
千両持ってゆずとの結婚を許してもらおうと、からふね屋に
行きましたが許してもらえません。
真之介は夜にゆずを略奪してきました。
からふね屋に置いてきた千両を壬生浪の芦沢が奪って
いってしまいました。
ゆずは芦沢のところへ千両を取り返しにいきます。
"金蒔絵の蝶"
祇園で芸子をしていた小梨花が身請けされ呉服屋の千倉に
嫁ぎました。
千倉では姑にさんざんいじめられました。
とびきり屋の前で小梨花に会い話を聞きました。
姑は小梨花が持ってきた嫁入り道具にけちをつけます。
金蒔絵の蝶の付いたりっぱなものですが家風にあわない
派手なものだといいます。
道具の手配をしたのはゆずの実家のからふね屋です。
ゆずはなぜ合わないことがわかっていて作ったのかと
実家に交渉にいきます。
自分のために用意されていた道具と交換するよう
説得します。
"皿ねぶり"
皿ねぶりとは猫があちこちの皿の餌を食べるように
仕事先をいくつも変える人のことをいいます。
店の者達は皆皿ねぶりです。
手代の鶴亀はお金を持って買い付けに行ってボロボロの
鎧兜を買ってきます。
売りつけたのは坂本竜馬です。
勝海舟をとびきり屋にかくまってくれるよう頼まれます。
夜に真之介は出かけました。
その夜にとびきり屋に勝を探して侍が三人押し入って
きました。
鶴亀を除いて全員縛られてしまいました。
鶴松は鉄砲を探し出して侍達に向かいます。
縛られた番頭の伊兵衛が体当たりして形勢を変え
侍達を追い出しました。
皿ねぶりでもいいではないかという話です。
"平蜘蛛の壺"
高杉晋作から平蜘蛛の壺を預かって坂本竜馬に渡して
欲しいとたのまれます。
平蜘蛛の壺は偽物ですが実際は箱に隠されたものを
渡したいのです。
連絡の不備から真之介が平蜘蛛の壺を売ってしまいました。
平蜘蛛の壺は巡ってゆずの婚約者だったお茶の宗匠の
元に渡りました。
ゆずは宗匠の所へ取り返しに行きました。
宗匠に目利きの勝負を挑みます。
"今宵の虎徹"
真之介が13振りの虎徹の刀を持って帰りました。
本物は1振りだけだといいます。
店の者を集めてどれなのかよく見て見抜けといいます。
あたったら刀をやる、外れたら一生ただ働きでどうだと
持ちかけます。
受けたのは俊寛です。
三日間刀を眺め続けています。
近藤勇がやって来て1振りをお金は後で払うと奪って
いってしまいます。
俊寛は一度目ははずします。
近藤は奪った刀が折れてしまい奪ったにもかかわらず
文句を言いにきます。
またしても別の1振りを持っていきます。
それも偽物です。
俊寛に再度目利きの機会が与えら得ました。
"猿ヶ辻の鬼"
坂本竜馬の知り合いだという男たちが訪ねてきて公家が
喜ぶものを探せといいます。
公家が日本をいとおしく思うものを探しています。
坂本竜馬が帰ってきてゆずに公家の姉小路公知に
贈るいいものはないかと問いかけます。
軍艦に乗って広い海を見て攘夷の意見を覆して
欲しいのだといいます。
真之介とゆずは反対の立場の人から同じ人に贈る物を
探す約束をしてしまいます。
二人の間は険悪となります。
しかしゆずが真之介から貰った貝合わせを差し出し
真之介はゆずに貰った遠眼鏡を差し出して仲直りを
しました。
結局依頼者には物では人は動かせないと断りました。
姉小路は船に乗りましたが数日後に暗殺されてしまいました。
"目利き一万両"
真之介は捨て子で拾われた時に辻が花染めのお守りを
持っていました。
その生地と同じ古い烈を市で見つけ買い取ります。
ゆずの兄の長太郎と宗匠と表具屋の藤村の三人が壬生浪に
市中撹乱を図ったとして捕まえられてしまいました。
真之介が解放するよう芦沢に会いにいきました。
真之介が手にした裂は長太郎が持ち出し売ったものでした。
元は赤ん坊の真之介に付けられていたものでした。
三人を明日処刑するとの書付をもらい真之介は再度
芦沢に会いに行きます。
真之介は剣の稽古をしている壬生侍の中で誰が
強いか1番と2番を当てて見せるから当たったら
3人を解放してくれと芦沢に持ちかけます。
真之介の目が勝ちました。
ゆずの父親がとびきり屋へやってきて二人を
許してくれました。
幕末の話で近藤勇、坂本竜馬、高杉晋作、勝海舟等
聞いたことのある人達が登場します。
いつかは幕末の話を読んでみたいと思いますが今は
幕末の史実はよくわかりません。
この本に出てくる芦沢は人間として最低だと憤慨する
ような人物です。
真之介とゆずはいい夫婦です。
店の奉公人たちの間もゆったりとした雰囲気でいいですね。
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