宇江佐真理著"夜鳴きめし屋"を読みました。
いい雰囲気の本でした。
"夜鳴きめし屋"
本所に鳳来堂という居酒屋があります。
前は古道具屋でした。
店主が亡くなって息子の長五郎が継ぎましたが古道具屋を
続ける力はないと居酒屋に変えました。
母親が生きている内に料理を教えてもらいました。
母が亡くなってから店の開店はどんどん遅くなっていき
閉店は明け方というふうになりました。
そんな時間でもお客さんは多く繁盛しています。
ツケで飲む侍がいっこうに支払いに応じません。
請求すると怒り出しました。
連れの侍の浦田が引き返してきて一部を払ってくれました。
浦田とはこうして出会いました。
長五郎は18歳の時に17歳の芸者のみさ吉と付き合って
いました。
みさ吉は湊屋の隠居に身受けされました。
みさ吉とは一度だけ関係を持ちました。
隠居が亡くなりみさ吉は子供を連れて元のお内儀の
ところへ帰ってきて芸者に戻りました。
子供は長五郎の子ではないかと駒奴はいいます。
"五間堀の雨"
浦田が店にやってくるようになります。
友人のかまくらという料理屋が客の入りが悪く、
みんなが心配しています。
駒奴の置屋の芸者の子供たちが鳳来堂へ夕飯を食べに
くるようになります。
長松と惣介です。
惣介がみさ吉の息子です。
"深川贔屓"
鳶職の丈助が鳳来堂の近所の普請場へ手伝いに来ていて
毎日鳳来堂へやってきます。
鳳来堂にはよたかもやってきます。
よたかのおしのは他の客がいる時には遠慮して入ってきません。
お金がない時でも来てくれと長五郎は言っていますが
おしのは決して来ません。
丈助を追ってみねという娘が訪ねてきます。
結婚の約束をしているのに父親に会いに来てくれないので、
丈助をあきらめようとしています。
"鰯三昧"
鰯がよく取れ、魚屋が売れ残ったのを買ってくれと
魚樽ごと置いていきました。
処理に困っていたら友人が蒲鉾の作り方を教えてくれました。
長松は幇間(たいこ持ち)の家に弟子入りしました。
惣介は奉公に行くことになりました。
行き先は長五郎が以前奉公に行っていた叔父の家で
質屋です。今は従兄弟の代になっています。
みさ吉が店にやってきました。
自分が惣介の父親なのかと問いただしても返事をしません。
"秋の花"
浦田は国に妻がいます。
しかし吉原の妓に夢中になり身請けをしようとまで
思いつめています。
しかしお金はありません。
浦田は藩邸へのお出入りを望んでいる商人からお金を
もらって便宜を図ってやろうとしています。
駒奴や長五郎は浦田のことを心配しています。
火事が発生して駒奴やみさ吉の店の和泉屋も燃えて
しまいました。
みさ吉の息子の惣介と長五郎とは親しくなっています。
おしのが川に浮かんで死んでいるのが発見されます。
"鐘が鳴る"
惣介が訪ねてきます。
長五郎が父親なのかと訊ねます。
違うと答えてしまいます。
浦田は妓が放った言葉で気持ちがいっぺんに覚めてしまい
一人で国に帰っていきました。
惣介が店に帰ってないことが店の知らせでわかります。
長五郎やみさ吉はいっしょうけんめい探します。
やがて友達の長松のところに惣介がいることがわかりました。
長五郎は父親だと惣介に言ってやります。
長五郎とみさ吉はいっしょになることになります。
長五郎の雰囲気いいですね。
突然父親になってしまってとまどっていますがうれしそうです。
みさ吉はなんであんなにつんけんしているのでしょう。
苦労をしてきて素直になれないのでしょうか。
鳳来堂へやって来る人たちは優しい人たちです。
鳳来堂で出される食べ物の描写はおいしそうです。
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