書く仕事

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伊坂幸太郎「魔王」

2006年07月21日 16時49分51秒 | 読書
面白かったですよ.
何度も直木賞候補になるくらいの方の本ですから,面白くないわけがない.
しかしですよ.
しかし,...
すっきりしないんですよ.読み終わった後.
伊坂幸太郎さんが何を言いたいのか,結局わからなかったんですよ.
日本には犬養首相のような強力なリーダーシップを持つ政治家が必要だと言いたいのか?それは違うよね.
じゃあ,強力なリーダーシップにはともすると将来のファシズムに通じる危なさが隠れているといいたいのか否か?
それもはっきりしない.
何を言いたいの???
たぶん,小説の主人公が誰なのかがはっきりしないからかもしれません.
前半の「魔王」は「俺」(名前は安藤)という一人称で語られ,後半は「私」(詩織)にバトンタッチされます.しかし,両人とも明らかに主人公ではない.
単なる語り部です.
主人公は,「犬養首相」?それとも安藤の弟「潤也」しかし,どちらも主人公というほど台詞も多くないし,存在感もない.
いったい何なのか?っていう思いです.
昨年の衆議院解散選挙の直後に読んでいたら,この本かなりのインパクトを持って読めたかもしれません.
明確かつ構造改革の象徴的な焦点である郵政民営化を掲げて,「わかりやすさ」で国民に訴える小泉首相が一時的にも犬養首相に重なるような気がしたからです.しかし,経済が上向いて景気が快復したとこまでは良かったですが,小児が犠牲となる殺人事件,冬の雪害,梅雨に入って各地で水害が相次ぎ,国際的にはイラクの派遣が終了し,北朝鮮のミサイル発射問題と国連の決議などあわただしい課題が次々に起きてくると,この小説に語られる政治家のリーダーシップみたいなものでは,世の中は救えないなあと思ってしまい,そう思うと,逆の意味で今の日本にはファシズムが台頭するのは難しいなと,変に安心もしてしまいました.
ファシズムが台頭するには問題が単純かつ深刻じゃなきゃだめです.

私が小説に求めているものは違うんです.もちろん,私が勝手に決めているだけだから,小説家の皆さんに強制できるはずのものではありませんがね.
こんなこと書いちゃって,全国の幸太郎ファンの皆様,ごめんなさい.
でも,うそはは書けないので,ご勘弁を.
でも,面白いことは間違いないです.それは保証します.
そういえば,小泉首相の息子が幸太郎だったな.違った,孝太郎でした.

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2 コメント

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私にとっては (もりちえ)
2006-08-04 11:20:30
この作品は伊坂さんに引っ掛かりを感じた記念の作品でした。

coollifeさんが仰ってるとおり、読む時期が良かったからかもしれませんが・・・

あと、私は自分に良いように解釈する癖があるみたいなんで、coollifeさんの感想を読んで「なるほど。こうゆう風に思うんだ。」と発見させてもらいました。



池袋にいらっしゃったんですね。私は池袋でよく買い物&食事をしてます。IWSPはよく知った場所が出てきて好きな作品です!
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>もりちえさん (coollife)
2006-08-04 18:35:36
投稿したあとで,好き勝手に書きすぎたと後悔していたんです.

でも,上のようなコメントをいただけてうれしかったです.ありがとうございました.



池袋は久しぶりでした.

この次機会があったら,誠の果物屋さんのモデルになった場所を探して見ようと思っています.

でも,うろうろしているとあぶないかも?
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