書く仕事

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「朝霧」北村薫

2014年08月24日 14時32分15秒 | 読書
「朝霧」北村薫




円紫さんと「私」シリーズ第5作
「六の宮の姫君」で一気に文学ミステリー路線に走りましたが,この朝霧もその延長.

「私」は大学を卒業し,社会人になっています.

勤務先は,学生時代にアルバイトしていた出版会社.

好きな本と文学に囲まれて仕事できる,ある意味理想的な職場に就職を果たします.

今回のテーマは「俳句」と「忠臣蔵」

それぞれ,歴史と文学の謎に迫ります.
といっても大げさなものではなく,ちょっとした言葉の陰に隠されたちいさな謎.

事件と呼べるほどですらない.
しかし,そこには男女の愛や裏切り等,「永遠のテーマ」的なものが見え隠れしている.
その控えめさが,この小説の魅力だと思う.

大向をうならせる歌舞伎の「見栄」みたいなものだけが小説の魅力ではないということ.