風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

エリアス弦楽四重奏団 ベートーヴェン・サイクル Ⅳ,Ⅴ,Ⅵ(6月10,12,14日) @サントリーホール・ブルーローズ

2023-07-09 21:41:47 | クラシック音楽



 ヴァイオリン:サラ・ビトロック
 ヴァイオリン:ドナルド・グラント
 ヴィオラ:シモーネ・ファン・デア・ギーセン
 チェロ:マリー・ビトロック

【6月10日】
弦楽四重奏曲第12番 変ホ長調 作品127
弦楽四重奏曲第7番 ヘ長調 作品59-1「ラズモフスキー第1番」
【6月12日】
弦楽四重奏曲第6番 変ロ長調 作品18-6
弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 作品135
弦楽四重奏曲第8番 ホ短調 作品59-2「ラズモフスキー第2番」
【6月14日】
弦楽四重奏曲第4番 ハ短調 作品18-4
弦楽四重奏曲第10番 変ホ長調 作品74「ハープ」
弦楽四重奏曲第13番 変ロ長調 作品130「大フーガ付」


たまった感想のアップ、サクサクすすめます。サクサク。
エリアス弦楽四重奏団のベートヴェンサイクル、後半3公演に行ってきました。
なぜ行こうと思ったかというと、ハイティンクが引退後にビシュコフに宛てて'My own empty days since I stopped conducting seem to fill up surprisingly easily, there is always something to read or hear. I am indulging my passion for Beethoven quartets at the moment, the scores of late ones seem as complicated as Mahler 7 to me sometimes. The more I look at these things, the more I realise that I don't know anything.' (slipped discと言っていて、またバレンボイムも「作曲家には生涯を通じて手がける、日記とも呼ぶべきジャンルがあります。モーツァルトならピアノ協奏曲、シューベルトなら歌曲…。ベートーヴェンはピアノ・ソナタと弦楽四重奏曲でしょう」と言っていたので、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を機会があればちゃんと聴いてみたいとずっと思っていたからでした。
今回はそのうちの半分を聴くことができました

今回のサイクルでは、各日1曲ずつ、第一ヴァイオリンのサラから曲についての説明が英語でありました。
ベートーヴェンの弦楽四重奏は私は全く聴き慣れていないので、とても参考になりました
たとえば第12番については、「ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は普遍的な曲も多くあるが、この曲はとても親密(intimate)で、私的(private)な曲」だと。
また第8番(ラズモフスキー2番)については、以下のように言っていました。
・とてもダークな曲
・スロウムーブメントは、暗闇の中の希望を表している
・私にとって特別なのは最終楽章。本来はホ短調で開始されるべきなのにハ長調で開始される。ベートーベンはこの頃自殺を考えていた。でも自殺しないと決めた。そんな彼の心境がこの曲の全ての音符に書かれている。最終楽章は単純な喜びではなく、より複雑な、逆境の中での喜びを表していると思う。

さて、サイクル後半の全8曲を聴いた感想としては、とても勢いよく瑞々しい演奏をするカルテットのように感じました。
4人の雰囲気もとても親密な感じで、見ていて気持ちがいい。
もちろん演奏の息もピッタリ。
8曲の演奏を短期間で聴くとその緊張感の連続のようなエネルギッシュな勢いが少々ワンパターン気味に感じられてきてしまったのも正直なところではあったけれど(ふっと息抜きしたくなったりもした)、一方で、その情熱的な勢いにベートーヴェンの曲がもつ今まで知らなかった面を気づかせてもらえたようにも感じたのでした。
たとえば13番ラストの大フーガ。ストラヴィンスキーが「絶対的に現代的な楽曲。永久に現代的な楽曲」と言った意味が、彼らの演奏を聴いているとよくわかった。本当にまるでストラヴィンスキーを聴いているようだった。ハイティンクがThe more I look at these things, the more I realise that I don't know anything.」と言っていた意味が、おこがましいけれど、ハイティンクの1000分の1くらいはわかったような気がしたり。

13番は今年の秋にハーゲン弦楽四重奏団でも聴ける予定なので、楽しみです








どう見ても紫に見える「青いバラ」。
当時この花が開発されたとき、「青いバラを作るのって本当に不可能なのだな」と実感したものでした笑。
この花の名前は「アプローズ(喝采)」、花言葉は「夢 かなう」だそうです。サントリーらしい素敵な名前ですね
小ホール(ブルーローズ)で公演があるときは、いつもこの花瓶が飾られているのかな。今まで気づかなかったけれど。

というか、サントリーホールの小ホール(ブルーローズ)があの場所にあること、実は今回初めて知りました。。。
ずっと「ブルーローズってどこにあるんだろ~?」と不思議に思っていたんです。
あんな目の前にあったとは。
あそこって、スポンサー関係者や招待客のためのドリンクサービスの部屋かと思ってた

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